夏の風物詩である高校野球。
そこにはあらゆるマーケティングのヒントが隠されていた。
高校野球はマーケティングの宝庫だ
高校野球選手権大会が8月6日に開幕する。甲子園と言えば夏の風物詩であり、注目を集めるイベントである。さらに今年は高校野球100周年となっておりますます盛り上がりを見せることだろう。
そんな高校野球は実はマーケティングの宝庫である。もちろんスポーツとしても高いレベルにあり、素晴らしいスポーツの場ではあるがビジネスとしても非常に高いレベルを誇っている。
メジャーリーグと日本のプロ野球で言うと残念ながらメジャーリーグの方がレベルが高いと言われている客観的に見てもそれは間違いないように思える。ところが、高校生で比べるとアメリカの高校生と日本の高校生では日本の方が野球がうまいとされている。それには理由があり、日本には甲子園という1大イベントがあり、そのために死に物狂いで練習をするから相当なレベルになるのだという。それだけ甲子園というものに魅力があるのだ。
王者大阪桐蔭を破った大阪偕星学園のストーリー
同校野球部はこれまで用具メーカーを通さず、ユニホームや道具を購入してきた。「ダイレクトメールで来る“廃盤”を使ってました。去年のデザインで在庫処理になるものを格安で売ってもらっていた」と山本監督。練習用のユニホームは上下500円、試合用でもストライプ柄にKのマークが入ったもので上下1万円。スパイクは980円だ。就任当初、このデザインにしたのも「お金がかからないんですよ。倉敷高のときも同じデザインだったんですが、Kのマークはマジックで書いていたんです」と説明する。
出典 http://headlines.yahoo.co.jp/
2012年には現阪神藤浪晋太郎投手を擁して春夏連覇、2014年にも夏優勝を誇る今最も強いと言って間違いない大阪桐蔭を今年破ったのが大阪偕星学園である。
この大阪偕成学園について記した記事が上記である。同校は圧倒的な練習量を誇ることもさることながら、もともと強豪校ではないゆえに練習環境には多くの強豪校ほどは恵まれず、そんな環境でも大阪桐蔭を破ったことで高く評価されている。
そこには山本監督のある理念がある。「スポーツってね、国籍、肌の色、お金持ち、貧乏とか関係ないんですよ。野球がうまい奴が勝つ。貧乏でもお金持ちに勝てるんです。野球をしてるときくらいは、子供たちにそういう夢を見させてあげたい」。さらに「前任の高校で突然、部員が来なくなった。何でかと聞いたら部費が払えないから。僕がその子の家に行くと、母子家庭でお母さんが真っ黒に手を汚したまま出てきた。ガソリンスタンドで働いてたそうです。なのにプッチンプリンを出してくれて…。もう涙が出ましたよ。それでお金はいらないから、野球をやろうと言ったんです」と懐かしそうに当時を回想した。
出典 http://headlines.yahoo.co.jp/
大阪偕星高校は、野球の実力はあるもののやんちゃな学生などを積極的に集め、猛練習を課して甲子園出場を遂げた。そんな姿は『リアルルーキーズ』と呼ばれる。不良高校生が甲子園出場を遂げるルーキーズに姿を重ねるようなストーリーがそこにはあるのだ。これもまた高校野球が多くの人を魅了する1つの要因であろう。
人はストーリーに心を動かされる
人間というのはその場の熱狂よりもリアリティのあるストーリー含めたドラマに心を動かされるものである。この大阪偕星学園の話も同じである。ただただ彼らの試合を見るよりも先程のような舞台裏を知った上で試合を見たらその熱狂、感動はひとしおであろう。
人間は共感できる、感動できるストーリーに対して夢中になるようになっている。高校野球とはそのストーリーの宝庫なのだ。各校にそれぞれストーリーがある。だからこそ高校野球は人を魅了してやまない。レベルではプロ野球よりも劣るにもかかわらず高校野球があれだけの人気を誇る理由はそこにあるだろう。
マーケティングにはいくつかの方法があるが、その中にはストーリーマーケティングというものがある。高校野球はまさにそのお手本とも言えるようなストーリーマーケティングの宝庫であろう。少なくとも野球部員たちはそんなマーケティングや人からどう見られているかなど興味はないだろうが、テレビ局などマスコミはそうしたストーリーを題材にする。それが高校野球人気を支えている。