2015年9月末に二子玉川へと本社を移転した楽天。
圧倒的な成果を残しながらも今まであまり注目を浴びることのなかった楽天という企業の革新のきっかけはこの本社移転なのかもしれない。
あまり語られない楽天という存在
日本に数多くのベンチャー企業が、IT企業がある中で、楽天という企業はここまで巨大ながらも実は未だあまり語られることがない。ソフトバンクなどは孫正義氏の後継者問題しかり非常に多くの注目を浴びた。決して小さなベンチャー企業ばかりが注目されているわけではない。
世界的に見れば、AppleやGoogle、amazon、Facebookの挙動は常に注目されているし、それは彼らがまだまだ発展途上ゆえに可能性を秘めているからではない。世界的にもう頂点に君臨するレベルの企業でありながらもそれらは非常に注目を浴びている。
なぜ楽天はそこまでに注目を浴びることがないのだろうか。楽天という企業の数字を見ればそのレベルの高さは言うまでもない。創業は1997年にも関わらずすでに日本の企業の中で50番目に入る。ちなみに、社内起業や持ち株会社化などの純粋でない起業の事例を除いて、日本では楽天よりも大きくて楽天よりも若い企業は存在しない。
これほどまでに圧倒的な実績を持ちながらもあまり楽天という企業に対して期待が寄せられているケースは目にされない。それは1つに楽天の事業があまりにも正攻法すぎるくらいに既存の市場をしっかり抑えにいくものであるからだろうか。その理由は定かではないが、楽天という企業は『古臭い優等生』というような形で語られることが多いし、ぶっとんだような事業を展開することもない。良くも悪くも優等生なのだろう。
二子玉川への本社移転は楽天の新たなスタート
新社屋は東急田園都市線/大井町線の二子玉川駅から徒歩4分の地上30階・地下2階建てビルのうち地上2~27階・延べ6万3500平方メートルと、隣接する「楽天クリムゾンハウス アネックス」の3~4階1058平方メートルを利用し、グループ約1万人が入居する。
出典 http://www.itmedia.co.jp/
そんな楽天に今年9月末に大きな動きがあった。これまで品川にかまえてた本社を二子玉川の『クリムゾンハウス』なる建物へと移転。全ての機能を1つの建物に集中させることとなったグループで1万人におよぶ社員は入居する巨大な自社ビルとなった。
『クリムゾンハウス』という言葉が示すように、ほぼ全ての食事を無料提供、託児所を新設するなどまさに第二の家となるような新オフィスに仕上がった。
三木谷氏の語る『楽天X』とは
『GoogleX』という言葉をご存知だろうか?
Googleの新企業プロジェクトであり、2010年に設立されたとされている。カリフォルニア州とサンフランシスコ・ベイエリアに拠点があり、新技術の開発を行っている。ロボットカー、AR、GoogleGlassなどに代表される技術が名を連ね、検索エンジンサービスによる利益の多くはこうした新技術に対して投資されていると言われている。
三木谷氏は、現在の電子書籍などの楽天の強みからテクノロジー領域へと手を広げ、IT×教育などのテクノロジーと既存の事業の組み合わせを想定していると語る。
GoolgeX研究所のように、楽天研究所が存在し、世の中の課題をテクノロジーにより解決していく。新たなスマートインテリジェンスと呼ばれる世の中の問題解決をITに代表されるテクノロジーによって解決していくレイヤー(層)ができていく、すなわちそれはスマートレイヤーであると。そうした形での生活への革新が起こる、そしてそれを『楽天X』とGoogleXになぞらえた楽天の生み出すテクノロジーが起こすとしている。
今までの楽天が語られなかったのはまさにこの”テクノロジー”の領域の欠落ではなかったのだろうか。社会へのインパクトを持つ、革新が今後楽天から生まれるかもしれない。そのとき、楽天という企業はrakutenとして真の意味で世界からの注目を浴びるだろう。