ブラック企業は1つの社会問題だ。このことに異論を唱える者はいないだろう。
とはいえ、最高の環境である超一流企業も見方を変えればまたブラック企業なのである。
超一流企業は決まって激務
2015年は”ブラック企業”という単語がたびたび聞かれる年であったように思える。今では学生などをはじめとするバイト従業員に対して理不尽な仕打ちを強いるブラックバイトという言葉すら出現した。特に日本において労働環境は悪化の一途を辿っており、大きく問題視されている。
とはいえ、高給をもらっている世の中の超一流企業はその優秀さゆえに決まって激務であることが多い。会社からしたら優秀な社員こそ長く働いてほしいと考えるのはいたって自然な事であろう。
例を挙げれば、日本で最も給料がいいとされるキーエンス社(電子機器の販売)は”30代で家が建ち、40代で墓が建つ”と揶揄されるほどに給料がいいがその激務さに体を壊す社員も決して少なくはないという。その他、テレビ局や商社など日本で高給取りのいる企業はほとんどが激務である。
スティーブジョブズのブラック名言
世界で最も大きな企業と言えば故スティーブジョブズの創ったアップル社である。そんなアップルの中でスティーブジョブズはまるで王様のように振る舞った。そのあおりからか酷い扱いを受けた社員も少なくはない。
ジョブズは『週90時間喜んで働こう』という言葉を残したと言われている。同様の言葉をamazonのジェフベゾスは採用面接時に『週100時間弊社のために働けるか?』という質問の形でしたと言われているし、ハードワークを当たり前のように要求するCEOはシリコンバレーのスタートアップをはじめとする一流企業の中では当たり前のことであるし、普通の感覚にしたら当然ブラック企業の水準となっている。
IT企業の1日は長い
また、ジョブズの残した名言に『イノベーションの出どころは、夜の10時半に新しいアイディアが浮かんだからとアイディアをし合ったりする社員たちだ。』というものがある。有名なIT企業では深夜まで事業について話し合うことはごく普通だ。自分たちのプロダクトに誇りや情熱を持っているからこそそれについてのめり込むと夜遅くまで続くことは多い。
Facebook社も同様に、上場前の時は社員たちの家がオフィスから歩いて5分ほどのところにあり社員たちは仕事が終わればその家に集まってどんちゃん騒ぎするかはたまた仕事に熱中していたという。若い企業にはそういった雰囲気があることも多く、仕事とプライベートの区別がないほどに仕事に情熱を注いでいる。それもまた一般的な基準に直すとブラック企業でしかないだろう。
ブラック企業は一概に定義できない
では、アップルなどの超一流企業がブラック企業かというとそうは言えないだろう。そこで働く社員たちは普通の企業の何倍もの給料をもらい、仕事に対して情熱を注いでいる。本人たちにとってその場所は天国ですらあるだろう。
とはいえ、ではブラック企業と呼ばれるところの長時間労働が許されるかというとそんなはずがない。労働基準法を逸脱した労働環境に対して対策がとられるべきである。
労働基準法を守っていないからといって断絶されるべきかというとそれも違う。ブラック企業は近年増えつつあるのかもしれないが、そのブラック企業を一概に定義することもまたできないだろう。労働時間だけ見れば超一流の企業もまたブラック企業なのだから。