ITベンチャーの課題を残した2015年


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2015年はITベンチャーが様々な爪あとを残した1年でした。
そしてその中でVCのあり方と起業家の姿勢が見直されることになるのではないでしょうか。

IPOの相次いだ2015年

グノシー、メタップス、AppBankらのITベンチャーに、日本郵政グループという巨人まで、2015年はIPOの多い年であったことは言うまでもないでしょう。2014年末に上場したgumiが相場を騒がせたことも記憶に新しいです。

何はともあれIPOという用語が世を騒がせた年であったことは言うまでもありません。それはおそらく投資家にとってみればポジティブなことではなかったでしょうし、VCからしたらこんなにもいい年はなかったと思わせるほどかもしれません。IPOというくくりで見た場合に、2015年は印象深い年になることは間違いないでしょう。

ITベンチャーバブルの2015年

http://kigyo-ka.com/00073/

この記事で少し触れていますが、サイバーエージェント藤田社長の言うように(『今の状況は明らかにバブル』)、ITベンチャーの値段が高くつく状況であるということは言うまでもありません。それが良いか悪いかという議論は置いておくとして、市場規模もそこまで大きくなく収益も安定していない企業に対して何百億円というバリュエーションがつくことも多くあります。

それ自体が、IPOの気軽さに起因している部分もあるでしょう。VCからしたら、その企業が上場さえしてくれればその時点で売り抜けば大きな利益になります。グノシーの事例のように短期間で何百億円の値と共に上場を果たせばVCの投資した資金は何倍、何十倍に跳ね上がります。その後値が下がることも多いですが、それ自体はVCの責任うんぬんの話ではありません。高い値段で買う投資家の見通しが甘いということになります。

2015年、大型IPOは生まれず

とはいえ、これほどにIPOが相次ぐものの、次世代を担うような大型のベンチャー企業は存在しません。どの企業も上場までが目標になっているようにすら思えます。小粒な上場が頻発するもののそこから育つ企業はなかったと言えるのではないでしょうか。そうしたこと自体がVCの存在意義にもつながっているように感じられます。

要するに、VC側からすれば上場さえしてしまえばそこで株式を売ることによって現金化できるのですからそれで問題ないということです。そして、起業家側もそんなVCにそそのかされるように上場を急ぐといったことが起こっているように思えます。収益化を急ぐ、事業セグメントを小さくとるといったことが起こっているのではないかと感じられます。

VCの限界と起業家のあるべき姿

VC、つまりベンチャーキャピタルの限界というのがそこにあります。当然VCは現金化をして利益を投資家に還元しなくてはいけませんから、早く収益にしたいので上場もしくはバイアウトをどこかでして欲しいというのは自然な話です。

起業家は逆にそれに振り回されず自身の事業をどこまでも大きくし、VCに『まだ黒字にならないから金くれ』と言えるくらいでなくてはいけません。シリコンバレーとの差はそこが顕著ではないかと思われる節もあります。そういった部分にストイックになれる起業家こそこれから必要になるのではないでしょうか。