Pokemon Go Plusはただのデバイスではない。
その機能に隠された課金を生み出す戦略とは。
Pokemon Go Plusが発売に
先日2016年9月16日に発売されたPokemon Go Plusは圧倒的な売れ行きで即完売、次回の出荷は11月の予定となっているという。このPokemon Go PlusはPokemon Goの売り上げを伸ばす非常に計算された仕組みとなっている。今回、その仕組みを紹介する。
Pokemon Go Plusは、腕時計のように装着して使うウェアラブルなデバイスで、スマートフォンとBlurtoothで接続し、ゲームと連動する。できることとしては、ポケモンが近づくと振動して知らせてくれボタンを押すとポケモンを捕まえるためのボールを投げることができる。また、ポケストップという仮想のエリアに近付くと振動し、ポケストップに立ち寄りアイテムを補充することもできる。
機械損失を防ぐ課金欲求
そして非常に大きな役割を果たすのが、アプリバックグラウンド時の歩行距離カウント機能である。これによって、スマートフォンで他のアプリを使用していてもPokemon Go上の歩行距離がカウントされるようになる、つまりただ歩いているだけでポケモンのタマゴを孵化するのに必要な歩行距離をカウントすることができるということになる。
では、なぜこの機能がPokemon Goの売り上げに寄与するのだろうか。それは、Pokemon Goのタマゴに関する仕組みが関係している。そもそも、やせいのポケモンを捕まえるよりも、タマゴから孵ったポケモンの方が性能がいいため、プレイヤーはタマゴを多く孵したい。しかし、タマゴは最大9個しか持てず、一度に孵化させることのできるタマゴは1つだけである。
そして、それを2個以上にするには有料のふかそうちが必要になる、これは3回使うと壊れるようになっている。
この設定がキモになる。Pokemon Go Plusを装着して歩くたびにユーザーは孵化させるチャンスがあるわけであるが、このときに普通は1個しか孵化することができないため、タマゴは貯まる一方だ。
そのとき、人間には損をしたくないという心理が働く。つまり、歩いたのにタマゴがあまり孵化しなくて、歩いた分が無駄になることを避けたい、つまり歩いた分よりタマゴを孵化させるために課金するインセンティブが生まれるわけである。通常のソーシャルゲームのように射幸心からガチャを回させるために課金をさせるのではなく、損をしたくないという視点から効率的にプレイをするために課金をさせるのは見事と言うしかない。プレイヤーは課金に対する後悔が生まれにくい。
最初の課金がゲームアプリのカギ
ゲームアプリにとって大事なのは、最初の課金である。最初に一度課金してしまえば、人は次から課金しやすくなる。そこの部分のハードルをいかに下げるかというのがポイントになる。一部の廃課金と呼ばれる多くの金額を課金するユーザーによって支えられているゲーム産業においては特にそのライトユーザーを増やすことは大きな課題だろう。
それを、ユーザーにとって課金したい!というよりは、どうせやるなら課金しちゃった方が得かなという風に冷静になった上で課金してもらえる仕組みになっている。ユーザーは自分から進んで課金しているわけだから、そういう意味では非常に良心的でもあるしゲームのイメージを高く保つだろう。Pokemon Goの打った手は非常に適切だ。