大企業で働く11のデメリット


多くの若者、とりわけ新卒になる大学生や、第二新卒。
彼らにとって最近増えつつある願望が1つ存在する。それは、「ベンチャー企業へ転職したい」というものである。

決断した後も、揺れ動き続ける心境

彼らは恐らく「大企業」と「ベンチャーのどちらが良いか」ということを二項間対立として、比較検討し、その選択をしていくだろう。
だが、一度そこでおおよそ自分で決断をしたにもかかわらず、そこで大企業を選んだ人らが「ベンチャー」への転職をしたがる理由とは何なのか。そこで考えられる大企業で働いた場合に生まれるデメリットを並べてみる。

1.大企業は「職種」を選べないためストレス

大企業は当然ながら新卒を大量採用するため、それぞれの部署に配属する先は上司が決める。そして、応募時の履歴書やSPIの結果、そして入社後の研修などを踏まえて、それぞれの割り当てが決められるため(本人の希望を聞かれたところで)、その希望通りになる人はまず少ない。

自分でやりたい仕事があるのに、他者からの選考によって一方的に決めるため、キャリア形成も自分の決めた通りにとはいかないのである。
推測するに、多くの人にとってこれがストレスの要因になるのではないだろうか。例えば、「営業をやりたい!!」と思っても、総務になってしまったり、経理になってしまったり、というのは多くの新卒にある話であろう。

仮に「職種毎」に採用があったとしても、その後も自分でキャリアを選べるかといえば、そうではないだろう。確かに、これまでの日本的雇用・経営という観点であれば、一つの会社に長く勤めるため、その会社で多彩な業務をこなす経験は価値あるものと考えられる。
しかし、現在はどうだろうか。かつてのような終身雇用というものは幻想と化してしまった現代、ジェネラリストの労働市場における価値は低くはなくても、高くもならないだろう。なぜならスペシャリストではない。

故に、これからの時代では自分の専門性を高めていく必要性があり、どこへ行っても戦っていけるスキル(武器)を身につけていく必要がある。よく、「ジェネラリスト」であっても給与に満足している!!などという人がいるが、そもそもそれは労働環境や業務内容の程度がおおよそ「あなたでなければできない」というものではないことが容易に想定できる。

2.働く場所を選べない

大企業、特に全国に支店や拠点があれば勤務地を選べないときがある。会社の都合で、いきなり想像もしなかった遠方へ行くことは想像以上にストレスである。例えば、家族を持った場合に単身赴任となる場合は相当なストレスがかかるだろう。

そもそもこの現代において、「インターネット」があればどこででも働ける。チャットワークや、Slack、Googleといった情報交換をスムーズにしてくれるツールが山ほどあるにもかかわらず、労働場所を指定する意味はあるのだろうか。もちろん、業務によるだろうが(当然、その場所でしか仕事のできない業務は事実として存在する)、極端な話をすれば、ネットとPCさえあれば、海外にいながらその会社の業務をこなすことは可能である。
これに合わせて、「セキュリティがー」「マネジメントがー」などと騒ぐ人がいるが、そもそもそんなことで騒いでいるから効率よく働けないのではないだろうか。成果を上げたいのか、束縛したいのか。そろそろ企業ははっきりさせるべきだと考える。古い時代の常識に囚われて新しいものを取り込めないのでは本末転倒と言えるだろう。

3.上司を選べない

当然ながら社員が上司を指定して選ぶことなどできない。これは、今後自分のキャリアを形成していくにせよ、一緒に働きやすい人かどうかであっても、非常に辛いものがある。ベンチャーのような少数精鋭のところであれば、少なくともどの会社に就職するかで会社の代表は選べるわけだが、大企業では当然そう上手くいかない。

そして、その上司が優れていれば当然身になることも増えるのであろうが、たまたま当たってしまった「尊敬できない」「頼れない」「信頼できない」となると仕事をする上では大きなストレスになるであろう。

もちろん、ただ好きな上司で、仲良く上司と距離が近ければいいというものではないが、やはり先輩という普段一緒に業務をする上である程度気兼ねなくコミュニケーションが図れる関係、無駄なコミュニケーションストレスをというものは避けられるに越したことはない。会社での悩みで最も多いものが人間関係である今の時代においてこれは一緒に働く上で重要であろう。

4.同僚を選べない

これから一緒に仕事をしよう!となっているのに、どこぞの誰ぞかもわからないような人と一緒に働くのは大きなリスクである。仕事をやる上で一番大事なのは、
「誰と一緒に取り組むか」、ではないだろうか。これがかなりの比重で重要になってくる。

例えば、一緒にいて全然楽しくない人と仕事を取り組んでも、やはりそれは楽しくないものであろうし、つまらない。ストレスがたまる一方になるのではないだろうか。
本来であれば、それが一番重要だったりすることも、大企業であれば、そうもいかない。その大企業を表す一言がまさに「社内営業」なんていう言葉にも含まれているであろう。

社内営業というのは「出世をするために」するようなものではないだろうか。理不尽な社会に長く耐え忍ぶことができる、むしろ耐えるのが好きなのならば、ベンチャーになど転職せずにずっと大企業にいた方が良い。

5.仕事を断れない

基本的に自分がやりたいことであっても、やりたくないことであっても、上司・会社から指示されることは「絶対」なのである。それが自分がどんなに嫌だろうがなんだろうが、取り組まなければならない。会社の中で働くとあってもそこで成果を出すことが最重要項目である以上、本来であれば、自分で取り組むべき仕事がなんなのか、考える必要がある。

しかし、大企業となればそうもいかない。大企業ともなれば、やりたくない仕事を上から振られ、それをやりたくない人間がまたさらに自分の部下に流し、さらにまたその・・・というようなループである。誰が仕事をやるか明確にしてそれを行うべきだ。こんなことで時間を消耗するのは、くだらないことである。

6.成果と給料がリンクしない

大企業で働く以上、年収には天井がつきものである。たとえどんなにあなたが優秀であっても、「君はまだ20代だから」などという意味不明な理由で給与に天井が生まれる。組織である以上、自分が仮に結果を出せなかったとしても保険をかけてもらえるが、優秀な人にとってその保険は足かせになる場合が多いだろう。

先にも述べたが、「20代だから」という理由で給与を安くしても許されるのは一昔前のことである。そもそも、本当に給与を安く抑えられるべきであるのは、”立派な椅子にふんぞりかえって座り、なんなのかよくわからない、本当にその役割を担っているのかわからない「中堅」と言われるような人”なのではないだろうか。

一昔前の営業畑の人と、今現在のエンジニアの人らの価値はどちらが高いか、ということは、もちろん一概には言えないことだが、技術的側面を何も語れず・知らずに脳みそ筋肉で仕事をしようとする無能な人材こそ、給与を減らす対象なのではないだろうか。20代だから・・・君はまだエンジニアなりたてだから・・・
それらの理由で給与を下げられていい理由はどこにもないのである。

7.コミュニケーションにおける労力がかかりすぎる

大企業で勤めたことがある人ならばおそらく多くの人らが経験したことがあるだろう。それは、大したことではない話や会議なのにもかかわらず、参加人数がやたらと多い。かと思えば実際に話しているのは数人。1時間もの会議なのに、ほとんどの人がボーッとしている、あるいは自分の仕事をしている、あるいは寝ているというようなことはないだろうか。

決裁権・稟議というものもそのコミュニケーションにおける労力を高めるようその一つだろう。もちろん、中には重要なものもあるが、おそらくそうではないものが大半なのではないだろうか。企業や組織が大きくなるほど、その中で情報の共有を行ったりするだけでコストがかかる。それにかかる時間は膨大でそれに忙殺される可能性もなくはない。

8.プロジェクトは途中下車できない

大企業のプロジェクトは当事者らが「果たしてこれは本当にうまくいくのだろうか」と思っても、やめられない。ステークホルダーが多いために、そうならざるをえない。こうなった場合、企業で働くのは非常に憂鬱になるだろう。
「取り組む」という意思を決めることも重要だが、それと同時に「やめる」という決断をするのも重要なのである。やりたくないことをとにかくやらなければならないときの人間の心的ストレスは多大なものである。

その際に、もしも自分の体調に異変を感じたのであれば、さっさと転職をしたほうが病気になるリスク回避・ストレス緩和とメリットばかりである。未だに日本では転職は会社でうまくやれなかった逃げだと思われるケースも多いが、そんな常識に囚われる必要はない。

9.余計な競争から抜け出せない

大企業は当然ながらたくさんの人で構成されている。そのため、利益が非常に重要である。本来、重要なのは「競争しない」ということではないのだろうか。そして、そうなると何をすべきかといえば、「立ち位置」というものを先に作らなければならない。

例えば、Googleは「これがなんの役に立つというのだ」と当時思われていただろう。事実として、ヤフーは検索エンジンの最大手であったが検索ビジネスに対しては見向きもしなかった。そこに可能性を感じて取り組んだ2人の大学院生が今や世界一の企業を率いている。それは、もしかしたら莫大な利益になるかもしれない。
大企業でコミュニケーションに大きなコストがかかってくることからも分かるように、どんなに利益が見込めたとしてもそうでないにしても、社内で「説明」が重要になるのである。

10.「自分でコントロールできる要素」が圧倒的に少ない

例えば、自身の所属していた部署がとんでもない額の赤字を計上していたとしよう。そこで多くの人はもう既に諦める、途方にくれることが多い。
むしろ、そこでやる気を出して奮闘する人間の方が稀少である。しかし、ベンチャーであれば、そういった赤字が前提にある。その中で自分で頑張ればどうにかなる可能性は大企業よりも大きい。会社組織も動きやすい。

努力してなんとかなるのだから、努力すればいいだけである。自分の努力が結果に直結するというのは人間にとって大きな幸せになる。単純明快である。

11.責任をとる人が大企業ではわかりづらい

誰が悪い、何が悪いとしたとしても、企業に属する多くの人は基本的に「他人事」の意識になるのではないだろうか。誰かがうまくやってくれるだろう、なんとかしてくれるだろうという意識がそうさせるのである。
もちろん程度の差はあれど、多くの人はそれが「諦め」へとつながる。そういった悪い雰囲気が周りに蔓延していった場合、もうその組織の雰囲気は最悪になるだろう。

しかし、ベンチャーであればどうだろう。少数精鋭だからこそ、その責任は明確であり、個人事業・自営業の方であれば失敗は全て自分の責任なのである。

時代はベンチャーに

いかがだろう。もしも、「なんとなく」「安定しているから」などという理由で大企業に属すのであれば、それは自分の「人生」において
非常にリスクである。転職市場において最も苦労するのは、大企業にいて仕事の仕方を知らないおじさんなのだという。守られているがゆえにその後ろ盾がなくなった場合のリスクは極めて大きい。

もちろん、何か強い理由があり、大企業に勤めるのであれば、それはあなたにとって最高の決断になるだろう。しかし、そうではないのなら、自身で挑戦する機会を設けてもいいのではないだろうか。幸いにも、現代はインターネットがある。検索すればいくらでも情報はでてくる。自分で自分の道を決めるには、当たり前だが自分で行動しなければならない。

その決断はプレッシャーになるかもしれないが、それをまずはしっかり決断し、確実に実行していったのであれば、愚痴ばかりの人生ではなく、楽しい人生を送れるのではないだろうか。