現役起業家の予測する2017年のトレンド


2016年はトレンドのない年と言われました。
しかし、その中でも輝く分野や企業は当然存在し、その一方期待されたほどの成果が表れなかった分野も当然存在します。

起業家.comが振り返る2016年のトレンド

2016年のトレンド予想(2016年1月1日のもの)の正否と2016年のトレンドに対する考察については以上からご覧頂くとして、2017年のトレンドを占ってみたいと思います。

2017年のトレンドは大きく5つ

はたして2017年のトレンドはどのようなものなのでしょうか。まず、間違いなく言えることは今のスタートアップそして世界はGoogle(Alphabet)、Facebook、Apple、amazonの4つの巨人を中心に回っているということです。彼らの挙動次第で世界は一変します。(amazonが現在小売や物流の未来を担っていること、iPhoneが勢力図を一変させたことを考えてもそれは明らかでしょう。)

ロボティクスはamazonにGoogle、VRはFacebook、ARはApple、動画はFacebookとamazon、音楽はApple、FinTechはAppleとGooleといったようにすでに大きな影響力を持っています。
また、Facebookに買収されましたがInstagramは動画や音楽、ECに大きな影響力を持っています。Snapchatがそこに食い込むかは謎ですが、Facebookの使用次第で大きなトレンドが生まれうるのではないでしょうか。

決済

Apple Payが電子決済を一気に広めることになったが、この流れは今後も続くでしょう。特にそれが顕著だと考えられるのは野外イベントなどの店舗でのスマホ決済。例えば屋台などでは今では現金によるやりとりがほとんどですが、Apple Payによる支払いが普及すれば一気に電子化する可能性があります。

そういった意味でIoT分野も小さなトレンドになりうるのではないかと考えています。屋外で決済端末を利用するにはコードレスでインターネットに接続することのできる決済端末が必要ですから、IoTの出番ということになります。

IoTそのものがどれほどにトレンドになりうるか巨大市場になりうるかという意味では、一般的に言われているようなバズワード的なことは起こり得ないと考えています。IoTといってもでは、どのような製品が我々の生活を変えてくれるのでしょうか。それを言える起業家やVCはいません。
当然、IoTは大きな市場ではありますが、それはあくまで様々な製品がIoT的にインターネット化するという意味合いであり、徐々に小さな部分で普及するでしょう。

課金型ライブ動画

分散型メディアは2017年に着実にユーザーを増やしトレンドになりましたが、今年2017年に関しては動画の中でもアイドルなどのジャンルの動画がスケールすると考えています。DeNAのSHOWROOMなどはAKBグループのメンバーも配信を行うなどしています。

いわゆるアイドル産業、ファン産業がインターネットに移行するでしょう。ユーザーはアイドルなどのライブ動画を見て、投げ銭という形の課金をしたり、続きを見たかったら課金をするというような形になりそうです。例えば、ニコ生などでよくあるような形の視聴者の質問に答えるようなライブ動画で、有料視聴であれば必ず自分の質問に答えてくれると分かれば課金するユーザーは少なくないでしょうし市場は十分にあると考えられます。

最近も増え続けているYouTuberの中にはアイドル的な人気を誇る人も多く存在します。そして彼ら(彼女ら)は異性のファンが多く、まさにアイドルと同じ構造です。事務所などに所属せず、こうしたプラットフォームで動画を配信し続けるネットアイドルも今後増えるように思われます。アイドルというものの敷居はどんどん下がり、誰でもアイドルになれる、視聴者を集めればアイドルと認められる、投げ銭などで十分に生計を立てられるという状況になるのではないでしょうか。

YouTuberなどにとってはYouTube上で配信するメリットはすでにあまりないように感じます。たしかに多くの視聴者獲得するかという点においてYouTube以上のプラットフォームはないでしょう。しかし、一定以上のファンを獲得しさえすればYouTubeはあまり利益にならない場所です。1視聴あたりに換算するとおおよそ0.1円くらいと言われていたものが今や0.05円以下に下がったともされています。

収益を得る上では、SHOWROOMやLINE LIVEなどのようなライブ動画でアイテムによる課金の存在するプラットフォームの方が圧倒的に優れているわけです。そういう意味では、TwitterやInstagramなどで多くのフォロワーを得ているインフルエンサーはライブ動画にピッタリかもしれません。

学習アプリ

国内では受験サプリが非常に多くのユーザーを獲得していますが、こうした学習アプリが流行を見せるのではないでしょうか。EduTech(教育+Technology)という意味では、まだまだ塾業界や学校は保守的ですからそう簡単に進むことはないと思われますが、私個人としては社会人がTOEICや資格の勉強をする際などにはこうしたアプリが重宝されると考えています。

ProgateやSchooなどの動画やweb上の教材を利用した学習サービスもありますが、そうしたものは本格的に勉強する人にしか向かずハードルがやや高く、アプリでサクサクしかもスキマ時間に楽しめるものがスケールするのではないかと考えています。昨今の脳トレブームのように、ユーザーを選ばない形でクイズのようにラフに楽しめるものであれば1000万以上のダウンロードが期待できるかもしれません。

そういった意味で、英単語アプリであるmikanなどはジャンルとしてうってつけでしょう。

動画制作サービス

一般ユーザーが動画を投稿する時代になりました。2016年のトレンドでも紹介したように、自分の撮った動画に音楽を合わせることのできるアプリがアメリカのティーンに流行っています。その中でもmusical.lyが日本の芸能人が利用するシーンが見られるなど今後日本でも普及する可能性が非常に高いのではないでしょうか。
実際に、日本でもミュージックPVのように音楽に乗せて動画や写真を流すものが例えば記念日に送るなどの形でちらほら見られるようになっています。徐々にその文化が一般化するように予想します。

ただ、それらの多くはPCで編集するなど技術的なハードルが高い部分があります。音楽と静止画・動画を簡単に組み合わせることができればそれらをInstagram上で多く見るようになるでしょう。今日のPV、くらいのノリで1日で撮った写真と音楽を組み合わせることができるようになれば一気に普及するかもしれません。

SNOWなどすでに動画や写真にフォーカスを当てたアプリは存在しますが、その一歩上の段階が出てくるか、そしてスケールするかに注目です。

リクルート市場のディスラプト

2016年トレンドの中で、minimoがホットペーパービューティーをディスラプトできる可能性のある存在になっているということを述べました。いわゆる企業と消費者のマッチングモデル、リクナビ、ゼクシイ、SUUMO、じゃらんといったもの全てに関して主に今存在するリクルートなどの企業はPCの時代にサービスを開始しています。

そこにアプリのUIに圧倒的に最適化されたサービスを展開したらシェアをものにできる可能性は非常に高いでしょう。すでにアプリでの競争の激しい食べログ、Retty、シェアが圧倒的である価格コム、リクナビなどについては難しいと考えられるものの、例えば旅、不動産賃貸などについては十分にチャンスがあるのではないでしょうか。

どちらも基本的にPCをベースとしていますが、スマホを意識した場合使い勝手はあまりよくありません。特に旅については旅館の予約などは人生の中で何度も繰り返すものであり美容(サロン予約)のようにアプリを定期的に利用する可能性があります。スマホに最適化されたサービスであれば十分にその可能性があると考えています。

ただ、トレンドと呼ぶかについては難しく、出ても1社飛び抜けたところがあるかという形になるでしょう。大きなチャンスであることはもちろん言うまでもありません。

VRやAIはまだ早い

と、ここまでが我々の予想する2017年のトレンドですが、よく名前を聞くVRやAIといったものは含んでいません。それぞれまだ早いというのが理由です。
特に、AIに関して言えばAIというものが製品化され、サービスの中に組み込まれるような状態になるまでには時間がかかるでしょう。チャットボットくらいならば可能性としてはあるかもしれません。しかし、現状のAIはあくまで限定された状況下で動作するものでしかないため、AIと呼ぶにはあまりに稚拙です。

VRに関しては意見が分かれるところでしょう。PSVRが昨年2016年10月にリリースされ、多くのタイトルも出現しています。しかし、キラーコンテンツが出てこない限りはVRというのは普及しないと思われます。また、VR酔いと呼ばれるVR空間により気分を悪くする現象や、装着感の悪さなどの課題もあります。
2017年にVRコンテンツで流行るとしたらアニメ、もしくはエロコンテンツではないでしょうか。今後1年で可能性としてあるのはそのくらいの気がします。

はたしてどんな結果になるかは分かりませんが、2017年に期待しましょう。