出店攻勢のラウンドワンが53億の赤字を発表


ラウンドワンと言えば、
ボウリング場などの跡地にガンガン出店をする経営方針であったが、どうやら裏目に出てしまったようだ。53億円の赤字の理由とは。

ラウンドワン、2015年3月期決算

ラウンドワンは9日、2015年3月期の連結最終損益が53億円の赤字になった模様だと発表した。この数字は予想の43億円の黒字を大きく下回る業績となった。

料金プランを見直し、値下げ攻勢に出るも思った通りに客足は伸びず、客数は減少する結果となった。それがこの大きな赤字につながったようだ。

ラウンドワンの経営戦略

ラウンドワン自体の経営戦略は非常に強気だ。
ボウリング場やアミューズメント施設が次々と経営縮小する中、ラウンドワンはそうした跡地に積極的に出店することで、その市場を独占しようとしていた。アミューズメント施設が撤退を余儀なくされた立地で続々と収益を上げることでここまでの地位を確保していたのである。
(ラウンドワンが次々とできることにより、その知名度を確たるものとし、『ボウリングにいこう』となったらそれがイコール『ラウンドワンにいこう』になるように。)

この戦略自体は悪いことではない。キャッシュのあるうちに市場のシェアをとってしまうという戦略は長期的に見れば当たりである。
事実、現在ボウリングと言えば『ラウンドワン』となるほどの知名度を得ているのではないだろうか。お笑い芸人を起用したCMの効果も手伝ってその知名度は非常に大きい。

ボウリングという市場の不振

上記の戦略によって、ラウンドワンの地位は確たるものになったように思える。ボウリングと言えばラウンドワンと言えるほどにラウンドワンの占める地位は高い。

だがしかし、それ以上の勢いでボウリング自体の人気に陰りが見えていた。ボウリング場は年間10施設ほどの勢いで閉鎖が続いており、ラウンドワンはその閉鎖施設の負債を受け継ぐ形にしかならなかったようだ。ラウンドワンの知名度が上がってもボウリングやゲームセンターの人気が下がってはどうしようもない。

ラウンドワンのとるべき経営戦略

ラウンドワンの競争相手は、ボウリング市場ではなく、ソーシャルゲームなど家庭内の娯楽、そしてディズニーランドやUSJなどのテーマパークであろう。
外に出て、ボウリングをしたい、ゲーセンにいきたい、カラオケをしたいという欲求が生まれないと、すでにボウリングというジャンルの中だけでは市場をとっても限界に来ている。

決してラウンドワンがニーズに合っていなかったり、人気がないということではないだろう。ただし、どうしてもここまでの店舗拡大に見合うほど顧客がついてきていないのは事実である。

これ以上の店舗拡大は自殺行為にしかならない。ここからラウンドワンのとるべき戦略は定期的にイベントを開くなど、来店を促すような仕掛け作りである。ただただそのまま今の状態を続けてもそのニーズは限られる。ニーズを生み出す動きをしなくてはならない。複合施設であることを利用して、様々な形での著名人やアニメなどとのコラボで動きを常に出すと面白いのではないだろうか。

大阪からスタートし、
アミューズメント施設としての地位は確立したラウンドワン。その活躍が待たれる。