メガネで大成功JINSの語る経営者としての条件


J!NSPCなど様々なヒット商品を世に送り出したJINS
そのJINS創業者の語る経営者としての条件とは。

徹底したシンプルな理屈

JINSのやっていることはシンプル。
『安いメガネが注文してすぐに出来上がる』たったこれだけ。
もちろん様々な工夫はあるのだが、メガネというシンプルな商品をシンプルに売っている企業である。
市場にはよるが、シンプルな理屈をしっかり守るというのは時には大きな武器になる。

JINSは徹底的に消費者目線でできている。
業界の常識、こんなの消費者からしたら一切関係ない。それを徹底的に壊しにいったのがJINS。

JINSの生い立ち

jINSは株式会社ジェイアイエヌで、田中仁氏が1988年創業した。田中「仁」だからジンズなのだそう。
当初はメガネを売っていたわけではなく、雑貨やエプロンなどを卸して売っていた。今で言うオンラインショッピングに近い業界なのだろう。もちろんその頃ネット通販は存在しないからそれをリアルでやっていたわけである。
その頃していたのは、『いけると思った』商品を大量に安く仕入れ売ることなのだという。

その後、2001年にメガネの販売に参入。韓国にいった際に韓国では安く早くメガネが手に入ることを見た田中氏がそこから着想を得てメガネ販売に取り掛かったのだという。
なんともシンプルな理屈ではあるがこれでJINSは国内トップシェアのメガネメーカーとなった。

優れた経営者シンプルにものを考える

もしこれがメガネ販売に長年従事した人間だったらこうはいかなかっただろう。
物事をシンプルに、先入観なく韓国で販売されていたメガネメーカーのいいところを取り入れてきたから成功したのである。もちろん、今までの雑貨などの販売における大量に買って安く卸すという戦略が生かされたことには間違いない。全くなじみのないことをして一山当てたわけではないが、先入観を壊し方からこそなせる業である。

田中氏の素晴らしいところは常にシンプルな理論から物事を展開させているところだ。
さらに純粋に消費者目線での実現をしている。メガネもしかりであり、『すぐにメガネが安く買えたら人はもっと気軽にメガネをかけ替えたりできる』というアイディアからなる。
世の中の多くの企業はこれができても踏み出せない。既成の常識に引きずられてしまうのである。
『でも、これで成功するならみんなやっている。(やっていないのはうまくいかないに違いない)』というのはその最たる例だ。

メガネの役割を考え抜いた末に生まれたJINSPC

JINSPCという商品をご存じだろうか。PCから出るブルーライトを遮光するアイウェアである。
これはJINSが最も早く開発した。『メガネ』の今までの役割を飛び出し、『目にかけるもの』としてファッションや光線の遮断など新たな使い道に活路を生み出した結果である。

これも既存の大企業にはそうそうできる発想ではないだろう。
このJINSPCはメガネの市場を生み出した非常に大きな発明であると言っていい。
メガネを今までのメガネに留まらなくしたのがJINSなのである。常に自社の市場を広げることを視野に入れる起業家として素晴らしい功績である。

経営者とはシンプルに考える生き物である

経営者は、木を見て森を見ないことがあってはいけない。
常に全体を俯瞰し、その大雑把な仕組みを考えるのが経営者である。細かいことは各々の役割を与えられた人間がこなせばいい。経営者としての仕事ではない。

全体を捉えるとは、シンプルに考えるということである。ひたすらシンプルに全体像を眺める。このときに細かい部分に目がいくとそこにピントが合ってしまう。カメラを想像してほしい。近くにピントを合わせた場合、全体の景色はボヤけてしまうだろう。

経営者の役割は最も遠くにピントを合わせることである。
その人間のピントを合わせた広さによってその事業規模は決まる。細かいことばかり気にしている経営者の企業は必ず事業規模も小さく収まる。

このJINSの成功には経営者としてのヒントが詰まっている。