gumiに引き続きIPO価格からの大幅な下落が見られるようだと、
業界全体の凋落にもなりかねないグノシーの上場。本日4月28日の株価の動向はどうだったのか。
IT業界全体に見られる危うさ
上でも触れたように、IT業界は、特に2014年にかけて大型の資金調達が続くなど、
『バブル』と呼ばれる状態をなしていた。
事業規模に見合わないレベルの高い資金が流れるなどまさにバブルを彷彿とさせる状態であった。
しかし、特にgumiの上場ゴール事件の影響を受け(上場ゴールとは)、上場審査を強化するという方向性が固まるなど、一気に規模が縮小する可能性を感じさせる不安がある。
もともと実態がないインターネットでの事業を主戦場にすることから、
市場規模はこれから決まっていくという流れが大きく、その価値というものを正確に測ることはできない。
資金がこれから流れなくなるようだとIT業界への優秀な人材の供給はストップし、
外資の企業へと流れてしまうなど、スタートアップの業界全体への影響がありうる状態である。
優秀な人材が流出していくことが最も懸念される。
グノシーのIPOを振り返る。
グノシーの公募価格は1520円。
時価総額はおおよそ332億円ほど。
上場直後株価が上昇し、
時価総額は400億円に上るのではないかとの予想もあった。
2013年末にKDDIから出資を受けた際には時価総額はおよそ85億円であったことから、
1年半ほどで時価総額を4倍程度にしたことが分かる。
CMでのユーザー数の増加が好感視されたことが大きな要因ではないだろうか。
創業5年足らずでこの規模まで拡大したGunosyは確実に素晴らしい企業であることは間違いない。
最高値は1680円、最安値は1502円
本日4月28日の取引は、
公募価格の1520円から始まり、堅調に推移した結果最高値は1680円を記録し、1620円で終えた。
おおよそ堅実な推移を見せたのではないかと思われる。
gumiが初日に下落して取引を終えたことからすると、
100円高で1日を終えたのはひとまず一安心というところだろうか。
グノシーの今後を考える
ソーシャルゲームを中心としたgumiに対してグノシーはニュースアプリを事業内容としている。
マネタイズという面で明確になっているソーシャルゲームの業界とは違い、ニュースアプリの業界はほぼ未だにマネタイズをしている企業は存在しない。
gumiとグノシーは同じIT企業ではあるが事業内容は全く違う。
東証では同じような企業として危惧しているようではあるが、IT業界の人間からしたら全く違うモデルなのであり、
それを同一視することはスマートフォン端末が世の中から消えるのを心配するくらいに話がずれている。
今後のスケールという部分でも、ほぼ市場規模が推し量れるようなソーシャルゲーム市場と、
これから市場規模が決定する、拡大するWEbの広告市場は全く違う。
その点を頭に置いた上で、
グノシーの今後を考えてみる。
第一に見なければいけないのは、
MAU(マンスリーアクティブユーザー)がどのくらいなのかということだ。
CMの効果でユーザー数が増えたのは周知の通りではあるが、
そのユーザーはどれだけ利用をしているだろうか。
CMを見てダウンロードしたはいいが、その後はアプリを開かなかったというのでは全く意味がない。
競合としてLINENEWSやスマートニュースという媒体が挙げられる。
ビジネスマンへの路線に近いスマートニュースに対して、グノシーはLINENEWSとユーザー層が近いのではないだろうか。
LINEが誇るユーザー数を考えるとグノシーは競合の点でなかなか優位とは言えない。
そういった点含め、『まとめサイトに毛が生えたやつ』と呼ばれる現状を打破する者がなくてはスケールすることはないだろう。
キュレーションという概念がうまく機能していることもあり、
グノシーのようなニュースアプリというのは比較的簡単にサービスとして形にできる。
問題はそれにユーザーが集まるかという話であり、
CM攻勢でユーザーを増やしたグノシーは優位には立っている。そこからのマネタイズもそう難しくはない。
問題はLINEという巨人に全てを一掃される可能性があるということだ
日本国内においてはLINEのあまりに多すぎるMAUは一気に逆転の可能性を秘めている。
いち早く『LINEが本気出したら潰せるやつ』からの脱却が求められる。