GREEの最新決算から分かる起業の鉄則


『もう終わった』とまで言われるGREE。
しかし、その決算を見ると、起業というものの本質が分かってきます。

GREEの2015年6月期第3Q決算

GREEの事業は、
ウェブゲーム
スマホゲーム
の2つを軸としている。

ウェブゲームに関しては、
軟調であり、ウェブゲーム自体の市場規模と比較してもまあ頷ける結果なのではないだろうか。

スマホゲームは市場が大きく伸びているのにもかかわらず、
減益という非常に難しい結果となった。

売上高27.8%減
営業利益44.5%減
という結果となり、大きく利益を落とした。

それでも四半期で160億円の利益

ここで言いたいのは、
GREEが調子を落としているとか、
球団を買って方向転換をしたDeNAに穴をあけられたとか、
ソーシャルゲームはやはり当たり外れがでかいとか、
そういう類の事ではない。

これだけマイナス要因ばかりを出てくるのにGREEは黒字を保っているのだ。

これが今回最も注目すべき事実である。
GREEの主力事業は現在もゲーム事業である。

ネイティブアプリが当たり前になり、
GREEのSNS型のゲームというお株はLINEに奪われ、
それでもGREEは利益を出している。

このような状況でも利益を出している。
その事実に経営の、起業の鉄則が隠されている。

DeNAと開いた大きな差

2012年に、株式会社DeNAは横浜ベイスターズを買収し、
横浜DeNAベイスターズとした。

ここでGREEはDeNAに負けたと言っていい。

共にソーシャルゲームで大きな利益を出したDeNAとGREE。
DeNAはその内部留保を元手に球団経営を軸として、一般社会に認知されようとした。
つまり、10代、20代のゲーム好きな層にとっての企業ではなく、広く社会に認知される一流企業であろうとした。
その結果、マンガボックスやcomm、そして任天堂との事業提携といった形につながっている。(commは結果撤退となったが…)

それに対してGREEはあくまでゲームにこだわった。
ソーシャルゲームの市場をとりにいったのである。
ベンチャーが成長する際に1点集中は基本ではあるが、ガチャの規制など不安定さを感じさせる状況でゲームに限定させる意図は感じられない。

DeNAに負けたGREEは衰退企業なのか?

ではGREEは衰退する企業なのだろうか。
全くもってナンセンスである。
事実減益しながらも黒字を出し続けている。

四半期で160億円の利益を出すことのできる企業が、
しかも設立10年ちょっとの企業であるのに、
そんな企業がどこに存在するのだろうか。

GREEはれっきとした一流企業なのである。
DeNAと共に訪れた転機で、GREEはゲームクリエイター集団となった。
ノウハウを持ったゲームの市場で、その成長性や市場規模には一抹の不安を抱きながらも(だから事実早期希望退職を募った)、ゲームの企業としての指針を示したのである。

その後のコロプラやgumiの躍進を見ると、
ゲームという市場を諦めなかった、それにこだわり続けたGREEの決断は間違っていない。
ゲーム市場は確実に大きな規模を持っている。

作れるうちにキャッシュを作ることが鉄則

GREEをあーだこうだ言っている人間のうち、企業のうち、
どれだけの企業がその規模に匹敵するのだろうか。

どれだけ批判されようとその事実は残る。
GREEがそれまでにソーシャルゲームでヒットを飛ばしたことが大きい。

一度大きな利益を出せば勝ち逃げができてしまうのである。
利益を出せるうちに出し切ることが鉄則だ。
1年後の1万円より今の9000円と言うように、利益を出すのは早いに越したことはない。
とにかく今利益を出すことほど大事なことはない。

緩やかな成長曲線がいい、急成長する必要はないとよく言う人間もいるが、これを見てもそう言えるのだろうか。
圧倒的なスピードで利益を出したGREEはその利益を元手にしっかりと堅実な経営をしているのだ。
ヒットを飛ばせるチャンスがあるのならそれにリソースを注ぎ込むことだ。そうすれば勝ち逃げができる。

もし起業するのならば、
すぐヒットする可能性のあるものに賭けた方がいい。
一度成功してしまえばそれは成功なのである。