テレビはネットに飲み込まれるのか


ネットの普及とともに常に不安がささやかれたテレビ業界。
現状においてもその業績は芳しいとは言えないがこれからの抗争はどうなるのだろうか。

テレビはネットに飲み込まれる?

『テレビはネットに飲み込まれる』
5年前くらいからだろうか。ネットの普及に伴ってテレビというものの存在が脅かされるのではないかということが囁かれ始めた。
はたしてテレビはネットに飲み込まれるのだろうか。

結論から言うと、テレビはすでにネットに食われ始めている。
飲み込まれるというほどまでに至るかというとそれは難しいが、ネットにパイを奪われているのは事実である。

テレビの敵はネットサーフィン

よくテレビの敵としてネットフリックスやHulu(ネット上の動画を閲覧できるサービス)が挙げられるがそれは間違っている。そもそも動画を見る時間が一定でないとその構造は成り立たない。テレビを今まで見ていた時間は今ではネットサーフィンに変わっている。
要は、テレビを見ていた1日の中の時間がスマホに向かい合う時間に変わっているということだ。そういった意味では動画離れが進んでいるのかもしれない。情報量の多い時代にあって受動的に動画を見続けるよりもあらゆるサイトを閲覧し続ける動きのほうがマッチしている。
特に10代ではツイキャスなど動画配信サイトやSNSに使う時間が増えている。そうした時間の使い方にシフトされているのは間違いない。

そうした流れの中で今の時代においてテレビの視聴数が悲観されていたほどに下がっていないのはそうした習慣があくまで10代にしか広まっていないこともあるだろう。それに、今の10代が30代になったときにも動画配信サービスを利用しているかというと難しい話である。デジタルネイティブが30代になったときには一つの結論が出ていることが予想される。
また、そのときには新しいサービスがネット上には生まれているはずだ。

テレビを支えるのはただの習慣?

現状、そう簡単に今のテレビの地位がなくなることはないと思っていいだろう。それは習慣から人間はたとえ他に面白いものが出てきたとしてもテレビをとりあえず見始めるし、それによって圧倒的な視聴者数を誇るテレビが製作にかける費用では圧倒的に優位に立っているからである。これは非常に大きい。ネットの動画サービスは現状どうしても制作費をかけることができないため、テレビを抜くことができずにいる。

ただし、誤解していけないのは人々はポジティブな理由があるからテレビを見るわけではないのである。見てはいるけども別にテレビに期待はしていない。他のネットのサービスなどは知らないし使い方がわからないからとりあえずテレビを見ている状態なのである。
中高年ははっきり言ってネットの使い方はわからないしだからこそネット上の娯楽サービスは中高年に向けて作られていない(ソーシャルゲームは中高年を十分にターゲットにしているがユーザーの使っている時間が通勤時間などであり異なる。)、そのことがテレビ離れを食い止めている要因であろう。それだけの理由でしかない。

テレビがネットに勝つ未来はまずない

これからの中でテレビが右肩下がりであることは間違いないと言っていいだろう。ネットに対してここから巻き返すことはないと断言できる。
その最大の要因は、コンテンツに対する力の入れ具合である。
テレビ局ははっきり言ってコンテンツに力を入れることはしていない。チャンネルという独占権を持つため、それだけで利益は上がる状態である。ネット以前までは心配などする必要がなくテレビは儲かる時代であった。それがバブルの崩壊、ネットの普及と徐々に制作費が減ってきた。この時点でテレビ局側にしてもモチベーションは薄い。それがフジテレビに代表される派手な接待に興じる経営幹部の姿である。

対して、ネット側は常に競争にさらされている。競合は星の数ほど存在するしいつでもユーザーは心変わりして別のコンテンツに目を向ける中で常にコンテンツを作り続けている。その体制の差を巻き返すほどの力はテレビ局にはないだろう。テレビのチャンネル権を広告代理店などが売り買いしてコンテンツを放送するようになればまだ可能性があるかもしれないが、そうなることもおそらく考えにくい。

テレビがネットを飲み込む時代は必ず来るだろう。
それについてはまた取り上げたい。