日本郵政グループの上場。
国営企業はどんどんと民営化、上場で民間企業の色を強くするがはたしてその業績はどう変わるか。
続々と民営化する国営企業
昨日、日本郵政グループ3社の上場が決定的になったことをお伝えした。古くは国鉄から始まり、国営のインフラ企業はその多くが民営化に成功しており、企業として安定的な利益を誇っている。国鉄から派生したJR東海は国からの支援ではなく、営利企業としてリニアモーターカーの開発に取り組むなどどんどんとこれらの事業は民間によってまかなうことができるようになってきた。
なぜ国営企業が存在するのか
そもそもなぜ国営の企業が存在するかということではあるが、鉄道、エネルギー、通信など国のインフラとなる事業は必要不可欠ではあるものの、民間企業ができるほどの資金力があってなおかつ黒字化までの期間赤字を出し続けることができるかという話ではあるが、それは難しく、しかも高度経済成長期にはもっと儲かる事業などたくさんあるわけで、国が率先して税金から行う必要があった。
このように、”国民の利益になるけど、ビジネスとして成立するか微妙”なことは国が手掛けてきた。
そうした当然の経緯で国営企業が誕生していったわけではあるが、国によっては薬の小売りや、酒の小売り、そして賭博を国営企業がまかなっているケースもある。日本ではそうした国営企業はないが、薬などの厳しい規制が必要な業種においては国営が事業を行ってしまう方が様々なリスクが回避できるのだろう。
サービスの質は断然民間の方が高くなる
民営化によって最も企業としての質が向上したのは、おそらく国鉄からJRへの移行ではないだろうか。以前はインフラとしては必要不可欠ではあったもののサービスとしての質は最悪であった。ところが、民営化によってトイレなど衛生面の清潔化を中心にどんどんと鉄道の空間を快適にしていった。こういった取り組みはどうしても国営企業だとサボりがちな面がある。
大阪のテーマパーク、UFJもそうしたケースに似た例であり、市の所有する第3セクターという位置付けであったが、市が手放しゴールドマンサックスの経営下に置かれたところ、ハリーポッターのアトラクションに莫大な投資をするなど積極的な経営となり見事成功を収めている。
日本郵政グループはどう変わるか
今回、民営化から上場にこぎつけた日本郵政グループははたしてどう変わるのだろうか。メール便の法規制などその領域が不動のものであることはゆるぎない。ポストを日本全国に設置しているというインフラとしての強みがある。(ヤマトなどは営業所が全国にあるもの郵便ほどの使い勝手ではない)
問題は、そもそも郵便という概念自体のニーズがどんどんと低下する可能性があることだ。文章などは現在メールで送ることが出来る。今まで顧客として多かった契約書面などの重要書類の配達の業務はどんどん減っているのではないだろうか。公共機関ではいまだに、紙によるやりとりがほとんどであり今後30年ほどは変わることもないように思えるがはたして…
他にも、ゆうちょ銀行、かんぽ生命が存在する。もしかすると最も堅調に存在し続けるのはかんぽ生命かもしれない。ゆうちょ銀行も、現在の銀行の苦戦を見るとそう期待を抱けないだろう。