LINEのAIサービス“りんな”が持つ可能性とは


LINEの公式アカウントに現れた女子高生”りんな”。
驚愕の滑らかさで会話をこなすこのAIはとてつもない可能性を秘めている。

LINEアカウントに登場したAI『女子高生りんな』

突如LINEのアカウントに登場した人物が話題になった。
その名は『りんな』。何やらLINEを通して女子高生とチャットができるという。他のLINE公式アカウントと同様にして話しかければすぐにその返答が返ってきて、次々と会話を楽しむことができる。公式アカウントであるということは当然人間が手で打って返しているわけではなく、自動で機械が返信を行っている。(LINEでは北川景子、DAIGOなどの有名人や様々なキャラクターとの会話が楽しめるようになっている。)

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出典 http://newsbiz.yahoo.co.jp/

この『りんな』は想像がつく通り、実在する人物ではなく、架空の女子高生というキャラクターである。LINEとマイクロソフトの共同開発によって生まれた架空の人物である。そして、ここまでの注目を浴びている理由はその会話のあまりの自然さにある。下のような具合に会話が非常に自然に進んでいく。もちろんこちらが会話の流れをぶった切るようなチャットをするとその回答はうまくいかないが、一般的な会話の中では破綻は見られない。アップルのSiri(シリ)やマイクロソフトのCortana(コルタナ)などのIQに紐づけられた高い知能を持つAIには今までできなかった自然な流れでの会話が可能である。
この『りんな』というAIは実は、IQ(知能指数≒論理的思考力)ではなく、EQ(感情知能指数≒読解力)に重きを置いたものである。

AI『りんな』が会話を滑らかにできる理由

EQとは簡単に言ってしまえば、”相手が何を考えているかを読みとりコミュニケーションをとる能力”である。もちろん、論理的に破綻のない会話を行うのもコミュニケーション能力ではあるが、EQが測るのは感情的な部分である。
例えば、頭がよくても人と会話がスムーズにできず人を傷つけてしまう人がいるだろう。頭はよくないのに自然と輪の中にいて人を動かすのがうまい人がいるだろう。人間にはIQだけではなくEQがあるからだ。
このAI『りんな』は従来のようなIQの高いAIとは違う、EQが高く相手の感情に合わせることや意図していることが分かる人工知能である。

AI『りんな』の原型は中国のマイクロソフトアプリケーション・アンド・サービス・グループ(ASG)が開発した会話ロボット「小冰 Xiao-Bing」にあり、Bingというマイクロソフトの提供する検索エンジンの技術を応用している。今までの人工知能との違いは、芸能やニュースなどの話題をデータベースに持ち、一般の人々の会話をAI『りんな』がデータベースに蓄積することによって、いわば”人の会話を見てその雰囲気を真似られる”ことにある。決して常に論理的ではない人間の会話をそうして実現している。

AI『りんな』が示す人工知能の可能性

http://kigyo-ka.com/00271/

例えば、今までのAIはきわめて機械的だった。上記記事で紹介したワトソンは銀行などで使用されているが、コンピューターであることには変わりない。人間が接客するのと比べると劣ることは間違いない。(もちろん、AIがすべきことは人間の代替ではなくもっとあるのだが…)

このAI『りんな』のような人間みのあるAIが限りなく人間に近い精度で行われれば、ドラえもんの世界のようにロボットが接客をするようになるかもしれない。お年寄りの介護など人手不足の現場に、馬力もあって人間と同じように話せるロボットがいたらあらゆる問題が解決される。

今ではeラーニングと呼ばれる電子媒体での学習が普及しており、iPadを導入する中学校も出るなどしているが、勉強はAIが教えてくれるようになるかもしれない。ただ問題の解き方を知るだけならばAIでも問題ないはずだ。人件費がかからないともなると、学生のみならず社会人が様々な分野で勉強を進めるにあたってまるで辞書を引くように答えを教えてくれるAIがあればコストはほぼゼロに近く学習が行えるようになる。

リアルの世界で孤独にさいなまれている人間がAIで遜色なくコミュニケーションをとれるようになるかもしれない。寂しくて風俗やアイドルにハマる人間は美人のAIで幸福感を得られるようになるのかもしれない。コミュニケーションが下手な人間がAIで練習をできるようになるかもしれない。AIは無限の可能性を秘めている。