学生向けサービスの多くが失敗に終わるわけ


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webでは非常に多くのサービスが生まれては消えています。
その中でもそれが激しいのが学生向けのサービスではないでしょうか。なぜ多くの学生サービスは失敗に終わるのでしょうか。

学生向けサービスはとにかく成功しない

『学生のための~』なんていうwebサービスが生まれては消えていくのを多く目にしてきました。多分、私のみならず多くの学生はもし運が良ければそういうサービスを少し目にするものの、多くはほとんどの学生が目にしないうちに消えているでしょう。もはやステルスで開発され、ステルスで運営され、ステルスで消えるといった具合でしょう。(ステルスとは、大々的にリリースするのではなく、ユーザーが使わないような状態で開発、運営を進めていくことです。メディアなんかはコンテンツが少ないうちは誰も見ないのでステルスでコンテンツが貯まるまでは運営します。)

学生向けサービスの多くは学生が運営する場合が多いです。幸運な場合はサイトの構築をできるシステムエンジニアが起業しそれなりのwebページを作って始まります。そうでない場合は、不慣れな中で見るからに手作り感のあるサイトやら公式ツイッターアカウントを開設して始まります。

そんな学生向けのサービスですがとにかく成功しません。びっくりするくらい成功しないというか、おそらくは70%くらいは1円たりとも売り上げが上がっていないのではないでしょうか。利益がないのではなく、売り上げがゼロです。その理由の1つには、そもそも開始する段階で能力もかけるコストも乏しいことが多いということが挙げられます。学生向けサービスが難しいのではなく、能力のない方が『学生向けならやりやすいんじゃね』という具合にサービスを始めるのです。そういう意味で成功しないは納得がいくというか、多くはただのおままごとです。おままごとで自動車を作るベンチャーはいませんが、おままごとで学生向けのなんたらを作るベンチャーは腐るほどいます。

社会人の行う学生向けサービスもうまくいかない

また、新卒採用に関連した学生向けサービスも多く存在しますが実際のところほとんどうまくいきません。これについてはそれなりにちゃんとしているため、多くの学生は目にする機会が多いのではないでしょうか。
要するに、新卒採用を行う企業と学生を出会わせることによって企業からお金をもらうというビジネスモデルです。これ自体は非常に簡単ですからビジネスとして捉える20~30代の経営者がいるのは非常に納得がいきます。しかも、その経営者の多くはリクルートのような大きめのベンチャー企業に勤めていたりとかしてある程度企業とのコネクションもありますからあとは学生を集めるだけです。学生ならば小さなことでは文句を言わないし、わりと簡単に言いくるめられるからお得意先に就職してもらえればお金もたくさん入ります。

では、このモデルはなぜうまくいかないことが多いのでしょうか。理由はたくさんあるのでしょうが往々にして集客がうまくいかないことが非常に多いのです。おそらくそうしたビジネスを行う企業は『学生ならば友達付き合いも多いし簡単に集まる』と考えているのでしょうが、意外とそうはいかないものです。学生はたしかに多くの企業セミナーや説明会などのイベントに参加しますが、その多くはリクナビのような信頼性の高いサイトから情報を得ます。ただのベンチャー企業の提供するイベントにはそうそう参加しないことが多いようです。
要するに、そういった企業に対しては信用をしないということでしょう。また、新卒関連の企業は学生に対してフランクな企業が多いようです。そういったことも自然と真面目に就職活動を行いたい学生からしたら信用できない要因になるのでしょう。

学生向けサービスだからと舐めていると信用されない

非常にシンプルな話です。学生向けのサービスなら楽じゃね?という感覚で事業を行っていても、さすがに学生には信用されないということです。例えば、新卒関連の事業を行うのならば大企業ではないなりに学生の相談に常に乗るなど親身になって対応するなどすれば信用を勝ち取ることができます。そういった具合に大企業でないなりにサービスをしっかり充実させていかないと人は集まらないということでしょう。学生だからそれが簡単というわけではないのです。

私は新卒採用関連の業界にはある程度関わっていましたので多くの事業者を見てきましたが、しっかりと運営をしている企業は驚くほど少なかった印象です。リクルートなどのレベルほどではないものの、誰もが知る企業から独立した方々でしたがサービスの質は悪く、特に集客にかける資金もノウハウもなかったように思えます。
ノーアイディアでも学生向けなら仲良くなってしまえばなんとかなるという形で事業を開始した企業もきっと少なくはないのではないでしょうか。学生とはいえ、特に学歴が高く企業から価値のある学生ほどシビアに見ますからなかなかうまく集まらないことでしょう。

学生という市場自体があまり魅力的でない

ここまで話に出てきた事例のほとんどが新卒関連に関する事業であったことに気付かれたと思います。実は、学生向けサービスがうまくいかない理由の1つに学生市場自体があまりお金にならないということが挙げられます。学生はお金がないのであまり顧客としては恵まれていません。しかも、学生間の閉鎖的なコミュニティの中にいることが多いですから、新たなコミュニティに参加するということも学生という枠の中でしか起こり得ません。(裏を返せばそれだけ友達やサークルなどの関わりで充実しているから他に必要がないということでもあります。)

そうしたときに魅力的な市場が新卒関連くらいしかないということになるわけです。だから多くの企業が新卒関連に集まりますが、学生はもちろん大企業志向ですから大企業のサービスに寄ります。つまり、リクナビを利用してそれに基本依存するわけです。学生が学生向けサービスを行えばそれはそれで学生視点を理解したかゆいところに手の届くサービスになるのでしょうが、学生がしっかりとサービスを行えることは稀です。
そんなこともあってビジネスに詳しい人間から見たら学生にターゲットを絞るという選択肢にはあまりいきにくいのではないかと感じます。選択肢として魅力的ではないです。

意外と認知度の上がる学生発サービスというのもわりとあるのですが、多くはその代表者が卒業すると同時に立ち消えとなります。もしもその代表が会社を運営し続けたとしてもその場合は魅力に乏しい学生サービスには見向きもしなかったりします。言ってしまえば非常に能力のある学生起業家は学生をターゲットにするケースが少ないのです。とはいえ、世界にはFacebookというとてつもない成功事例もありますから革新的な学生向けサービスに期待したいものです。