ヤフー決算から見る新たな経済圏の結成


ヤフーが非常に好調な決算を発表した。
ECという軸が最大になり、広告のイメージから脱却したほか、今後新たな柱も垣間見えた。

ヤフーが決算を発表

ヤフーは2月2日、2016年3月期第3四半期の連結決算を発表。4~12月累計の売上高は4452億9800万円(前年同期比43.3%増)、営業利益は1950億8300万円(同34.7%増)、純利益は1535億3100万円(同53.4%増)で増収増益、過去最高益を達成。10~12月期では、販売促進活動などの費用がかさみ増収減益だった。

今までのヤフーと異なる部分は、ヤフオクやYahoo!ショッピング、そして買収したアスクルやLOHACOらのECのサービスが好調であり、第3四半期には国内流通総額が初めて1兆円を超えるという非常に大きな数字を記録している。従来、ヤフーは検索エンジンやメディアなどから派生する広告事業が強いイメージであるが、現在はECという大きな柱が広告と双璧をなすほどになっている。

顕著なECの伸び

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出典 YAHOO!JAPANIR

上記の図からも分かるように、ヤフーの売り上げの構成は広告が6割、ECが3割ほどだったのが、1年で逆転し、広告が3割、ECが6割という構成になっている。広告の売り上げも伸びており、ECは1年間で3.5倍ほどまでに成長した。アスクルなどの買収もあるとはいえ、非常に大きな伸びであることが伺えるであろう。

また、クレジットカード事業にも先行投資を行い現在では利用者数が180万人というほどまでに成長している。広告にECという2つの事業から決済までヤフーが抑えることになりそうだ。検索から始まり、メディア、ショッピングモール、そして決済と着実にその場を広げているように感じられる。

ヤフーのECにおける3つの取り組み

また、ヤフーは今や主力となったECの中で3つの取り組みを掲げている。

売買しやすい世界の磨き込み

決済も同様であるが、C2Cの売買において重要であるのが、配達である。これに関しては同業のメルカリがヤマト運輸と提携して、非常に簡単に配送ができるようになったことなど、出品者にとっては売買におけるハードルをなくすのに役立つ。

家庭に眠る埋蔵品の発掘

実は、ヤフオクがBOOKOFFと提携を行っており、渋谷センター街にある店舗に商品を持ち込むと出品を代行してくれるというサービスが存在する。これによって写真撮影や発送などわずらわしい作業を嫌う人にとっても気軽に出品ができるようになった。BOOKOFFオークションストアではヤフオクからBOOKOFFの商品を購入することも可能である。

自動車、不動産市場の開拓

おうちダイレクトが話題になったが、不動産だけでなく中古車に関してもヤフーはヤフオクと同じ要領で売買をしようとしている。株式会社ジェイ・エー・エー、株式会社HAA神戸と連携を行い、中古車をお得な価格で購入できる市場となっている。

ヤフーの新たな経済圏

ここまでを見ると気が付くのはヤフーの事業内容というのは楽天と酷似しているという部分である。メディアや検索エンジンという武器を持つヤフーに対して、ショッピングモールの日本最大出品数を誇る楽天と特色はあるもののヤフーの取り入れた決済事業は楽天カードがもともと積極的に行っていたし、そのほかの事業も被る部分がある。

これだけ酷似するということはそれほどまでにこの事業形態にうまみがあるということになるだろう。今後、買収した一休.comについても楽天トラベルが楽天には存在する。楽天とヤフーの競争は避けられないが、ヤフーには中古車と不動産という非常に大きな市場が存在する。ヤフーの新たな経済圏がどれほどまで伸びるだろうか。