アメリカのイノベーター、その平均像とは


アメリカは多くのイノベーターを生み出している。
スティーブ・ジョブズにマーク・ザッカーバーグなど世界を代表するイノベーターは決まってアメリカから生まれるが、イノベーターの平均像とははたしてどのようなものなのだろうか。

アメリカのイノベーター像調査

イノベーターと言えば、スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグなどを思い浮かべることだろう。とはいえ、彼らはごく一部のトップ層だ。では、イノベーターである条件とは、何なのだろうか。その平均像とははたしてどのようなものなのだろうか。

情報技術イノベーション財団(ITIF)が発表した調査では、アメリカのイノベーターの平均像を明らかにしている。重要なアワードを受賞した、ないしは国際特許に申請を行った個人923人からの回答を分析して得られたものである。

イノベーターの出生地、年齢とは

この調査でまず明らかになったのは、3分の1以上の回答者が米国外で生まれており、イノベーションを作りあげたときの年齢の中央値は47歳だったということである。アメリカの調査にも関わらず3分の1以上が外国からであるということは、アメリカがどれだけ優秀な人材を受け入れているかということを示しているだろう。

また、イノベーターに占める女性の割合は12%と少なく、男性優位であることが分かる。

イノベーターの学歴とは

そして、イノベーターのおよそ60%が、科学、技術、工学、数学いずれかの分野で博士号を持っている。ジョブズやザッカーバーグのようにさっさと大学を中退してしまうのは決して一般的ではない。

そして、STEM(科学、技術、工学、数学)の分野で90%以上が学士号、55%以上が修士号を取得している。イノベーターのほとんどは日本の区分で言えば理系ということになる。そして、80%以上がなんらかの修士号か博士号(おそらくはMBAが多いのだろう)を持っており、学歴社会が激しいこともまた明らかになった。

アメリカイノベーションの源泉は官民パートナーシップ

そしてイノベーターのうち約50%が官民パートナーシップから生み出されたとの回答をしている。この点については日本とは大きく異なるだろう。国が積極的に新しい技術を取り入れようとしているさまが見て取れる。

その証拠にイノベーションは、アメリカの北東部、特にカリフォルニアおよび公的研究資金源の近隣に集中している。州別ではシリコンバレーのあるカリフォルニアでのイノベーションがもっとも多く、シリコンバレー、サンフランシスコ・ベイエリア、サンディエゴに集中している。

アメリカ中部太平洋岸およびニューイングランドの諸州では、生命科学、材料科学、情報技術分野で国際特許が多く生み出されており、マサチューセッツ、ロード・アイランド、コネチカット、デラウェア、ニュージャージーらが多い。

そしてイノベーションの多くは、ニューメキシコ州のサンディア国立研究所とロスアラモス国立研究所、テネシー州のオークリッジ国立研究所、カリフォルニア州バークレーやマサチューセッツ州ケンブリッジの大学など、公立研究所や著名大学周辺に集まっている。