二次流通サービスと言ってもちょっとその中身が思い浮かばないだろう。
顧客の持っている服や宝飾品などすdを買い取り、販売するモデルが二次流通サービスだ。日本では大黒屋など古くからある仕組みは今ITの波の中で続々と勢力を増している。
『Material Wrld』が900万ドルの資金調達
ファッションに敏感な人が溢れるニューヨークを拠点とする「Material Wrld」(マテリアル・ワールド)。ラグジュアリーファッションのライフサイクルを伸ばすというミッションを掲げ、2012年に創業しました。イベントごと、シーズンごとに女性がクローゼットを「更新」しやすいようにと、ラグジュアリー・ファッションに特化した二次流通サービスを展開しています。
そんなMaterial Wrldが、シリーズBで総額900万ドルの資金調達を実施したことを発表しました。ファッション通販「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイを筆頭に、既存投資家であるニッセイ・キャピタルも出資しています。これで、Material Wrldの累計調達額は、1,300万ドルになりました。
ラグジュアリーファッションに特化した二次流通サービスを手掛ける『Material Wrld』がファッション通販で日本最大手の『ZOZOTOWN』等から計900万ドルを調達したことが明らかになった。サービスはニューヨークを中心にして運営されている。
『Material Wrld』の行うトレード・イン
『Material Wrld』の行っている事業はトレード・インというものである。この仕組み自体は一般的であり、アップルストア、家電量販店や中古車販売業者などでも行われている。自分ではもう使わなくなった製品を下取りに出すとそこのストアクレジットを入手することができ、またそこで新品などを買うことができるというもの。店舗からしても自分のお店で購入してくれることが分かっていれば買い取りをすることは決してネガティブなことではない。
従来、ファッションブランドや宝飾品を扱う百貨店はこうした中古品を扱うのには意欲的ではなかった。新作を買ってもらえなくなるかもしれないし、eBay(日本で言うヤフオク)などで売られると商品自体のブランド価値も下がる。しかし、このトレード・インの仕組みでは自社でそうした中古品の流通を管理できるとあって参入が増えている。
トレード・インの真価は購買の向上にある
この仕組みが非常に優れている部分は、下取りした際に消費者に渡すギフト券の2倍の買い物をしてくれるということ。買い取りで得ギフト券をそのまま他の新品に替えるのではなく、それ以上に買い物をしてくれるという結果になっている。従来、中古品市場のせいで購買が落ち込み、市場規模の縮小が懸念されたいたが(消費者は安い中古品で済ませ、商品を買わなくなると考えるのはいかにも自然なことだ)、そのことが現実にはあまり起こっていない。
そして、2015年10月に開始した『Material Wrld Fashion Trade-In Card』では、デビットカードの仕組みで、買い取りされた商品の代金がカードに算入されるようになっており、700点以上のお店で買い物をすることができる。これによって、消費者は買い取り額の2.5倍の買い物をしているという。決して、購買の減少をもたらしておらず、むしろ逆に向上しているようにすら感じられる。
この『Material Wrld』の仕組みのように、『賢く無駄なく買い物ができる』というイメージがつけば、消費者はむしろ新品を買いやすくなるのかもしれない(飽きたら売りに出せるのだから買うことへのハードルは下がるだろう)。従来、自分の首を絞めると思われていた中古品の買い取りはむしろ消費者が安心して買い物をするための仕組みになっているのかもしれない。
シェアリングエコノミーによってあらゆる市場はスリムになると思われていたが、むしろそうではないかもしれない。