スティーブジョブズが世界最高のイノベーターの1人であることは言うまでもないだろう。
そんなジョブズが20年前にした未来の予測がある。はたして彼は今の世界を予見していたのだろうか。
ジョブズの未来予測
1996年、Googleはまだスタンフォードの研究の一環であり、Amazonは本を売るだけのインターネットショップであったころ、スティーブ・ジョブズはAppleを追い出され、自身で創設したNeXTにいた。
そのときにジョブズの語った未来予測は驚くべき程今の世の中を物語っている。20年前に予見したジョブズの未来予測を紹介しよう。
デバイスの軽量化とEコマースの到来
Webの到来を予測する声は当時から多くあったが、ジョブズは『ウェブの発信音がいたるところに浸透する』という表現を用いて予測をしている。至るところというのは、Webを持ち歩くことのできるモバイルの到来を暗示しているだろう。
そして、Webの最大の恩恵を受ける層についてジョブズは『何かを売る者』であるということを語っている。お店に行くのをやめ、家に荷物が届くことになるだろうということを語っている。一流のEコマースが登場するのは、『およそ2年先』と明言していた。
インターネット上の流通チャネルの構築
そして、インターネットによって中間業者は排除されるだろうとの予測もまた存在した。『Webについて最も優れた点は情報でも商業でも全ての中間業者を超える』点にあるとの見方を示しており、それはAmazonをはじめとした巨大なIT企業が実現していることからも明らかである。
おうちダイレクトが苦戦する不動産業界など未だそうした中間業者がはびこっているジャンルも存在するものの、時間がたつにつれてそれは進んでいくだろう。
テスラの販売網を完全に予期したジョブズ
ジョブズはまたこうした現象が自動車の販売モデルについて当てはまることを予見している。
在庫が自動車メーカーの経営を圧迫しており、それは決して望ましいことであるとし、試乗用の白い車があればレーザーディスクで別の色を投影することも可能であるとしている。注文が入ってから1週間後に顧客は現物を受け取ることができる。
事実、テスラは販売代理店を使わず、店舗では試乗車のみがあり、注文すれば後日現物が届く仕組みになっている。これは、ジョブズの手がけたアップルストアの販売形態を模しているとされている。
ジョブズはクラウドサービスを予測していた
『実をいえば、私が気に入っている備忘録の方法は自分にメールを送ることだ。それが私のストレージだ。』とジョブズは語っている。オンライン上に情報が残ればそれが最高のストレージ(外部記憶装置)であるということを語っている。
ジョブズはiPhoneにおいてSDカードの使用を撤廃したが、それはiCloudというサービスを広げるためだったと言われている。クラウドがあればストレージはもはや必要ないのだ。
唯一外れたジョブズの予測
ここまでことごとく予測を当てたスティーブ・ジョブズであるが、彼が唯一外した予測がある。それは、『Webは極めて重要な存在になりつつある。では、それは何百万人もの人生を変えるような出来事となるだろうか?断言はできないものの、恐らくはならないだろう。』
彼はそう予測した11年後にiPhoneを世界に生み出した。