マネーフォワードが資金調達サービス開始へ


会計管理サービスを提供するマネーフォワードがFinTechまっしぐらだ。
会計サービスを利用した資金調達サービスの開始を発表した。融資事業は格段に精度とスピードを増すだろう。

マネーフォワードの新サービス『MFクラウドファイナンス』

中小企業の融資に関わる銀行業務で、マネーフォワードが与信サービス分野へ乗り出す一歩を踏み出した。

会計情報の管理や、帳簿の管理などができることで知られるFintechスタートアップのマネーフォワードは本日2016年4月5日、新サービス『MFクラウドファイナンス』を発表した。住信SBIネット銀行や静岡銀行など10の銀行と、ビジネス向けクラウド型会計ソフト『MFクラウド会計』などのデータを活用するもので、リリースは今夏になる予定だ。

どのようなサービスかというと、『MFクラウド』上の会計データを金融機関が閲覧できるようになるものである。銀行が今まで行ってきた従来の書類審査に比べて情報量が多い上に大幅に効率化されることが見込まれる。『MFクラウド』シリーズのユーザーは金融機関からの資金調達を従来のものよりも圧倒的に簡素で短期間で行えることになる。データの信頼性向上のために会計事務所との連携も進めているという。

mffinance

中小企業がメインユーザーに

今回の『MFクラウドファイナンス』の対象となっているのは主に中小企業であり、マネーフォワード側は数百万円規模のファイナンスがターゲットとする層であるとの説明があった。

提携金融機関からすれば、『MFクラウド』上に蓄積された財務データ、入出金データ、請求データなどのデータを基に審査が可能になる。通常、外からしか見ることのできなかった情報をクラウド上で活用することによってより信頼は増すだろう。その上にリアルタイム性の高いデータを活用した正確な審査が可能となる。まず年内をめどに与信審査の自動化を目指すという。

もちろんそれだけではなく、このサービスでの通常と異なる形の審査の枠組みが広がれば、今までの与信の枠組みで貸付を行えなかったような中小企業など、金融機関から見た場合には資金提供先の拡大が起こることだろう。マネーフォワードと同じ分野のクラウド会計の『freee』も銀行との連携は進めており、こうしたクラウドサービスによって企業の会計を可視化した中でのサービスは今後も増えるだろう。

FinTechで進むデータ活用

今まで、銀行の貸付審査は人の手によって行われていた。貸付先の企業の分野に応じてその分野のスペシャリストである行員が長年の経験と勘によって判断を行っていたわけであるが、それはビッグデータの活用によってどんどんと進むだろう。そのときに急に情報を開示して審査を行うよりも、今までの会計サービスの利用の中で常に蓄積されたデータによって判断が瞬時になされる方が自然な話である。

このクラウドサービスを通すことによって、借り手からしたら不都合な情報も金融機関は知ることができる。そのことによって精度は上がるだろう。きわめて自然でかつ有効な方法である。