世界最大の動画配信サービスであるNetflix。
そのNetflixがここまで成長したのは必然であった。その理由とは。
世界最大の動画配信サービスNetflix
Netflixはアメリカで始まったサービスであるが現在は世界60カ国以上でサービス提供されており、アメリカでは4300万人、そのほかでは2600万人の合計6900万人の有料加入者を抱えている。
2015年12月期の決算を見てみると、2015年通年での売上が約7400億円、営業利益が約340億円という圧倒的な規模を誇る。売上は、日本のネット企業で最大手に位置する楽天とほぼ同程度というスケールである。
見事な事業転換を遂げたNeflix
Netflixの創業は1998年になる。当初は郵送DVDレンタル事業が主な事業であり、送られたDVDを送り返すとまた新しいDVDを見ることができるというサービスであった。
そのNetflixが凄いのは、郵送DVDビジネスで全米シェアNo.1だったにも関わらず、動画ストリーミングビジネスに事業を転換するという点である。2011年に動画ストリーミング事業に転換し、今の成功を築き上げた。通常、シェアNo.1のプレーヤーは、所謂『イノベーションのジレンマ』(No.1であることによりそのことに固執してしまう)に陥り、事業転換が遅れがちであるが、Netflixにそれは当てはまらなかった。
独自コンテンツによる競合サービスとの差別化
Netflixは動画ストリーミングサービスであり、早いネット回線がカギになる。そして、実は全ネットトラフィックの37%をNetflixが専有している。この数字はYoutubeの倍以上である。
アメリカでは動画ストリーミングサービスが全インターネットトラフィックの61%もの帯域を専有しており、多くのインターネット回線を必要としているが、その中でもNetflixが圧倒的にシェアを獲得している。
Netflixは最近までテレビ局や映画会社が作成したコンテンツを配信してきた。これは従来のストリーミングサービスとしては自然なことであり、AmazonもHuluもおおよそそうしてきた。要するに回線を保有してコンテンツを調達して配信するという仕組みだったわけだ。ところが、ここ数年間の間にNetflixは独自コンテンツを制作し始めている。2015年は4.5億時間分の新コンテンツが追加され、2016年には6億時間分を追加する予定だという。2015年では、年間で約1.2兆円分の独自コンテンツ発注を行っている。短期的な利益を捨てても独自コンテンツにより差別化を図る狙いがあるだろう。
驚異的なシェアの伸び
定額制の月額課金であるためNetflixでは有料加入者数が肝になってくる。
Netflixは今でも加入者数を増やし続けており、2015年では年間比で+14%の割合を記録している。
これだけシェアをとるとアメリカでの成長スピードは当然落ちてくる。その前にNetflixは他国でのシェア獲得に非常に意欲的である。アメリカ以外での会員獲得は、なんと年間で+64%という数字を記録している。
今後も拡大を見せるNetflix
現在、動画ストリーミング市場で先頭を走るNetflixはシェアを拡大し続けている他、独自コンテンツにAmazonやHuluの2倍の費用を投じて他社より良いサービスにしようとしている。
動画ストリーミングサービスという市場自体がテレビというコンテンツに比べ今後もどんどんと顧客を取り込んでいくことを考えるとさらに大きくなっていくことは想像に難くないだろう。Netflixの売り上げはすでに日本のどこのテレビ局よりも大きい数字である。今後さらに成長するだろう。