マスメディアによるインターネットメディアの買収が本格化


実は最近、マスメディアによるインターネットメディアの買収が増えている。
全く違った風土の企業間でのつながりにははたしてどんな意図があるのだろうか。

朝日新聞がサムライトを買収

朝日新聞社は4月14日、サムライトの全株式を取得することで合意したことを明らかにした。買収額は非公開。

4月下旬に開催する臨時役員総会を経て創業者で取締役会長の柴田泰成氏、現在代表取締役COOを務める池戸聡氏が再任され、引き続き経営を担当する予定だ。加えて朝日新聞社からは1人取締役が派遣される。サムライトは今後社名変更などを行う予定はないという。サムライトは朝日新聞傘下で既存事業を行うほか、共同での営業・商品企画なども進める。つまり朝日新聞社がグループとして本格的にオウンドメディア分野に参入するということだ。

出典 http://jp.techcrunch.com/

2016年4月4日、朝日新聞社がインターネットメディア企業であるサムライトの全株式を取得し買収を行った。朝日新聞社がサムライトの運営に関与し、オウンドメディア事業に参入することになる。サムライトの主力業務はオウンドメディアの作成や運営の支援であるが、そこに朝日新聞社のノウハウが加わることになるだろう。

相次ぐマスメディアのインターネットメディア買収事例

2016年2月25日にはニッポン放送がインターネットメディア『grape』の買収を発表した。『grape』は、画像や動画を中心としてソーシャルでの拡散力の強いコンテンツによりアクセス数を伸ばす『バイラルメディア』である。
ニッポン放送はこの買収について『インターネットのユーザーにも訴求するため』としている。

このように、今年に入ってマスメディアによるインターネットメディアの買収というのは増加しており、それらが示すのはマスメディアがインターネットの層を取り込もうという狙いである。日テレがHuluを取り込んだように、インターネットの重要性をマスメディアも理解しているのだろう。

マスメディアへの反応は冷ややか

とはいえ、マスメディアの買収に対する反応はいいものではない。『grape』の例では、代表取締役にニッポン放送から中島恒雄氏が就任したが、64歳の新しい代表取締役には『老人にバイラルメディアが分かるわけがない』との批判が飛んでいる。自身の不得意な領域を網羅するためにインターネット企業を買収しているのに、無理にコントロールしようとしたらその色が消えるのは間違いないだろう。

総じて大企業によるスタートアップの買収はうまくいかないケースが多い。それはスタートアップのスピード感や独自性が大企業の管轄下に置かれることでなくなってしまうからだという。大企業的な根回し・許可待ち文化が持ち込まれ、むしろ良さが完全に消えるケースが多い。スタートアップの文化を尊重することができればうまくいくものの、実際はそうはいかないのが現状だ。
今回のケースについてもそれが言えるように思える。