待望のインターネットテレビ局、藤田社長の賭け


サイバーエージェントから待望のインターネットテレビ局AbemaTVがスタートした。
三度目の正直であるこの事業に対して、藤田社長は並々ならぬ思いをかけている。

サイバーエージェント三度目の正直

サイバーエージェントは2016年4月に、テレビ朝日とタッグを組み、巨額の資金を投じてネットテレビ局『AbemaTV』を開局した。生放送を含む全24チャンネルの番組を、24時間全て無料で視聴できるサービスであり、国内の動画コンテンツの中では『LINE LIVE』と並び日本最大級である。

華々しくスタートしたインターネットテレビ局ではあるが、サイバーエージェントの動画事業は挫折の連続であったという。2002年にメールで映像や写真を送れる『メールビジョン』、2006年に動画共有サービス『Ameba Vision』を開始するものの、いずれもユーザーが思うように伸びず撤退している。まさに『三度目の正直』であるAbemaTVにかける思いを藤田氏が語っている。(出典 http://japan.cnet.com/

動画サービスの潮目

『創業したころからメディア企業になりたいと思っていて、最終的には動画が本命になるという思いがありました。過去にもメールビジョンやAmeba Visionなど、何度も動画にチャレンジしてきましたが、(スマホ普及や動画サービスの浸透によって)「ここが勝負どころだ」と思い、AbemaTVに賭けたということです。』
と藤田社長は語っている。事実、スマホ上で動画を見ることが当たり前になった今のタイミングは動画サービスを行う上で最適であるだろう。

『Netflix』の成功や、日本で言うと『WOWOW』や『スカパー!』などこれまでの動画事業はテレビというデバイスを通して見る者であったが、今やその潮目は変わっており、人々がテレビではなくスマホやノートPCなどで動画を見るという可能性に賭けたという。

『AbemaTV』がマス層を対象とした理由

YouTubeやニコニコ動画など普段からインターネット上で動画を見る『インターネット層』向けにビジネスを展開する選択肢もあったが、サイバーエージェントはテレビを楽しんでいる『マスメディア層』を狙い、24チャンネルもの膨大なコンテンツを用意した。

その理由は、『メディア事業ではいかに多くの視聴者を持っているか、社会的な影響力があるか』が本質であると藤田社長が捉えているからだという。従来から存在する市場ではなく、テレビの市場に対して動画コンテンツを提供することで新たな市場の想像を狙ったのだろう。

『AbemaTV』のサービス名は後悔

『AbemaTV』という名称はAmebaという従来のサービス名と混同しがちでややこしい。
藤田社長は”新しいものだという印象”を付けるために、この新たなブランドにしたのだという。

とはいえ、サービス名はあまり定着しておらず、半分後悔だという。未だにサービス名を正しく覚えていないユーザーも少なくはない。

スマホらしさを追求したUI

テレビとの違いは、アプリで動画を視聴する場合、そこに快適さがなければいけないということだ。テレビには機能が少なく、そして誰もがリモコンの操作方法を知っている。それに受動的にとりあえずチャンネルを合わせておくものであるからユーザーにとってストレスはない。

ところが、スマホ上のアプリである場合、もし操作が分かりにくかったらすぐにアプリを閉じSNSを見てしまうかもしれない。スワイプ操作で直感的に操作できること、動画が快適に再生されるようでなければいけない。スマホ上で動画を見る、それも24時間放送の番組ともなると前例が存在しないため、ユーザーは知識がなく、すぐに操作がわかるUIであることを意識したという。

コンテンツに見せるこだわり

現在はケーブルテレビに近いコンテンツが中心になっており、アニメなどが人気であるという。

abemachannel

『仕入れるコンテンツにもすごく気を遣っています。また、テレビは視聴者層が高年齢化しているので、字幕だらけで、出演者の年齢も高いですよね。AbemaTVは若年層に見てもらいたいので、映像が美しく、若い方がたくさん出演するように、今の構成にしています。そこをブラさないように編成を変えていくと思います。』と語り、映像の綺麗さに対するこだわりが見受けられる。

はたして、AbemaTVはテレビのような巨大コンテンツになるだろうか。