圧倒的な速度で成長を続けるUber。
そのUberがユーザーから指示される理由は圧倒的な体験にある。タクシー業界をディスラプトしたその方法とは。
破壊的なイノベーション
ディスラプティブイノベーションの例でよく出るのがUberだ。ディスラプティブイノベーションとは破壊的なイノベーションで、既存の勢力を上回る新たなサービスを指して使うことが多い。他ではAmazonなどディスラプティブイノベーターは大きな勢力を持っている。
フランスではタクシー運転手がUberの追い出しを求めてストライキを行った。このように、既存勢力の衰退を伴う場合が多い。では、なぜUberは既存勢力であるタクシーを脅かすほどになったのだろうか。
アメリカ発祥のUber
Uberはアメリカ発祥だ。日本のように鉄道が発達しており、国土の狭い国とは違い、アメリカは広大な国土を持つ上に全ての地域で鉄道が発達しているわけではないため、車が必要不可欠だ。多くのビジネスマンは車をつかって通勤を行う。
都市部ではこれがタクシーに代わる。渋滞が多く、また駐車場もなかなか空いてないことが多いため、タクシーを利用する場合が多いのだという。
では、なぜタクシーではなくUberが使われているのだろうか。
Uberの持つユーザー体験
Uberのユーザーはタクシーから鞍替えした理由に対し、その『体験』が大きいという。ただ移動するならばUberとタクシーはそう変わらない。料金もおおよそ同じ程度であるかUberの方が高いケースも多い。Uberが優れているのはその体験である。
Uberユーザーは『タクシーのサービスの質が悪い』という。日本でも同じことだが、タクシーの運転手はサービスを良くしようというモチベーションがない場合が大いにある。その理由はサービスそのものの仕組みだ。タクシーの運転手が力を注ぐのは『いかに多くの客を乗せ、ムダ走りを減らすか』ということである。サービスがものすごい良ければリピーターが増えるわけでもないし、最も大事なのは客を乗せることでしかない。
対して、Uberにはユーザーもドライバーも評価し合うシステムが存在する。Uber自体が、ユーザーがドライバーを呼ぶと自動的にマッチングされ、通知を受けたドライバーが駆けつけるようになっている。このとき、ドライバーは評価の高いドライバーが優先されるし、ユーザーが過多な状況では評価の高いユーザーが優先されるようになっている。
優れた体験を生むUberの評価システム
Uberがタクシーに優っている理由は、ユーザーの体験を生むためにシステム内で評価できる仕組みにしたことだ。従来のタクシーでは、仮に接客のいいドライバーと接客の悪いドライバーを区別する方法もないしそれがどちらであってもドライバーはは影響を受けない。その結果、接客を良くしようとするモチベーションにつながらない。
ITサービスが既存事業を上回るディスラプティブイノベーションを生み出す理由はこうした『体験をもたらす』仕組みを形成していることである。ボタンを押せばそれだけで次の日に届くという体験をもたらしたのはAmazonがそれだけの仕組みを作ったからだ。ユーザー体験を生み出すIT革命は今後他の事業でも起こることだろう。