巨額の買収案件が一気に注目を集めた。
マイクロソフトがLinkedInを262億ドルという驚異の金額で買収をした。
マイクロソフトがLinkedInを262億ドルで買収
ビジネスシーンに衝撃が走った。マイクロソフトは本日、LinkedInを買収することで合意したと発表した。その買収額は、3兆円近いなんと262億ドル。全て現金支払いで行われるこの買収はマイクロソフト史上最高の買収額である。
これまで最も大きな買収は2011年のSkypeの85億ドルの買収であるが、それを遥かに3倍超える数字である。なお、LinkedInはこれまで通り、マイクロソフトとは独立したブランドとして事業を継続する予定であるという。
LinkedIn買収額の理由
LinkedInと言えば、2016年4月18日『LinkedIn Student』をリリースしており、学生の就活市場へと名乗りを挙げている。日本ではあまり馴染みのないサービスではあるものの、アメリカではプライベートのSNSはFacebook、仕事上のSNSはLinkedInと綺麗に分かれており、ユーザー数は4億人を超える。
262億ドルは高いようにも思えるが、昨年段階ではLinkedInの時価総額は330億ドルほどであった。それに比べるとこの数字というのは値が落ちたタイミングを狙った買収であることが分かる。なお、買収は1株あたり196ドルであり、金曜終値は131ドルであることから約50%のプレミアムがついての買収ということになる。
LinkedIn自体の業績を見ると、2015年12月期には売上高が約30億ドル、営業収支はマイナス1.5億ドルとなっている。ビジネスSNSという立場では独占的な位置にいるのがこのLinekedInであり、コストをかけてでもユーザーの獲得を行った結果であるという考え方もできるだろう。
今後、このユーザー数の規模で大きな利益を出せる公算に基づいた買収であることは予想できる。
Skype買収に失敗したマイクロソフト
とはいえ、マイクロソフトの買収はあまりうまいものではない。先述の通り、Skypeを2011年に85億ドルで買収しているものの、モバイルへの適応が遅れ、チャットアプリとしてはワッツアップ、ビジネス寄りのチャットとしてはFacebook Messengerに敗れている。社内チャットとしての役割としてはSlackに後塵を喫した。
Skypeの今の価値が85億ドルあるかと考えると非常に疑問だ。とはいえ、日本ではLINEが2011年にスタートしており、買収時のSkypeの価値および可能性は85億ドルではきかないだろう。それだけの先見性を持ちながら、Skypeを活かすことができなかったとも言えそうである。
マイクロソフトとLinkedInのシナジーは
では、マイクロソフトは今後LinkedInをどう生かしていくのだろうか。B2CはともかくB2Bに強みを持つマイクロソフトはビジネスSNSであるLinekdInをうまく活用できる可能性は高いのではないかと予想される。マイクロソフトにとってLinkedInの最大の価値は”データ”である。4億人を超えるユーザーのデータを保持することができる。
このデータをはたしていかに使うか。ここにマイクロソフトの行く末が左右される気がしてならない。