Snapchatは主要マーケティングチャネルになり得るか?


SnapchatがSNSとして流行しているのは間違いない。
しかし、SNSは1つのビジネスだ。ビジネスとしてマーケティングチャネルとして見たときにSnapchatはどのような可能性を持っているのだろうか。

若者の圧倒的な支持を受けるSnapchat

1日80億回視聴のSnapchatが導く動画の未来

Snapchatが世界を揺り動かす可能性を秘めていることはもはや言うまでもないだろう。2011年にローンチされたアプリは、今やDAU(月間利用者数)が1億人を超え、本誌で紹介した毎日80億回以上の動画再生数は最新のデータでは毎日100億回を超えるという。アメリカでは、13~34歳のスマートフォンユーザーの6割以上がSnapchatを使っているという。

友達に画像や動画、そしてチャットを送ることのできる機能のほか、ストーリーでは24時間限定で公開される投稿が可能、さらにライブストーリーではスポーツの大会に代表されるイベントの場にいるユーザーはライブストーリーに投稿が可能で、世界中のユーザーがライブストーリーを閲覧可能である。
企業とユーザーのコミュニケーションにも余念がなく、ディスカバーでは多くのメディアから配信される投稿を24時間の間閲覧することもできる。

Snapchatのビジネスとしての可能性

 
では、ビジネスとしてとらえた際にSnapchatはInstagramやFacebook、そして日本ではLINEに並ぶようなチャネルになりうるだろうか。マーケティングチャネルとして広告主およびクライアントを満足させることができなければサービスは拡大していかないだろう。
Twitterの例を見れば分かるように多くのユーザーを抱えていてもビジネスとして成功しなければその先は難しい。Facebookがビジネスを成功させ、Instagramやワッツアップの買収、ひいてはライブ動画チャットボットという新たな領域に踏み込んでいくのとは対照的だ。

Snapchatの特徴的な部分は、動画広告だ。未だに多くのメディアは動画広告に成功はしていない。従来のようなテキストやバナーの広告が主流だ。そういった意味でSnapchatのそれは大きく違うと言えるだろう。Snapchatの動画広告は、スマートフォンのフルスクリーンを使った縦型の動画広告で、フィードの間に挿入される従来の形とは大きく違う。スクリーンいっぱいが広告主のコンテンツで埋め尽くされるため、必ず見てもらえるという安心感がある。動画広告の時間は10秒ほどで、ユーザーはスキップすることも可能である。広告主はチャンネルの選択に、場所や性別によってターゲッティングが可能になっている。

Snapchatの強みは独自の文化

Snapchatはまたその独自の文化を利用して企業のマーケティングをユニークに引き出しているのも特徴である。
例えば、Sphero社はスターウォーズに関連した新作のおもちゃの販売にSnapchatのインフルエンサー(1日に200万回以上の視聴を稼ぐ)を起用したキャンペーンを行った。その結果、1日に1000万回視聴され商品もほんの数時間で完売するというヒットを見せた。

他にも、ビールブランドのBud Lightは、自社が主催するファンのためのイベントに関するストーリーを特設で設置した。その中で、イベントに参加しているSnapchatのユーザーたちがそのストーリー内に動画や写真を投稿することで、参加できなかった人々もイベントを楽しめるようにしている。
さらにBud Lightはアカウント登録時の誕生日データに基づき、21歳以上のユーザーのみ動画広告が視聴できるように設定をした。このことによって、Bud LightはSnapchat上で初めて広告配信されたアルコールブランドとなりました。

Snapchatの特徴を生かした様々なプロモーションが今現在行われている。特に、若いユーザーが多いからこそ、消えるという希少性があるからこそのユーザーの中で生まれる熱狂性、一体感は企業のマーケティングを大きく助ける者になるだろう。Snapchatの2015年度の売上約5000万ドルに対し、2016年度の売上は3億~3.5億ドルになると予測されている。このまま主要なマーケティングチャネルになる可能性は高い。