飲食店の常識が変わる新たな戦略


今、飲食店の常識が変わろうとしている。
時代の流れに合わせて鉄則だった戦略は変化を遂げる。

飲食店の鉄則は回転率を上げること

回転率を上げることで客数を増やし、売り上げを大きくする。
これは、飲食店においてある種鉄則とされることで、ラーメン屋など特に原価率の高い商売において大事な要素の一つだ。

しかし、それを真逆の発想で挑む飲食店がある。
カフェなど、滞在を目的として消費者が訪れる店舗ではない。むしろ回転率を上げるべきだと思われる、カレー屋がこれに挑んでいるのだ。

ココイチのマンガ喫茶化の理由

それを行っているのが、日本シェア1位のカレーチェーン『カレーハウスCoCo壱番屋』だ。国内1282店、海外162店の計1444店を出店しており、2位以下は80店にすら満たないというあまりに圧倒的なシェアを握っている。ココイチはなぜ滞在時間を上げるようなことをしているのか。

ココイチの店舗にはマンガが並ぶ。冊数は1店舗につき平均1500冊ほど、さらにコンセントも設置されており、充電をすることも可能だ。3年前からはWiFiの導入を進めており、現在98%の店舗で導入されているのだという。ココイチの店舗はまるでマンガ喫茶のような佇まいになっている。

狙いは顧客満足度の工場

なぜ、ココイチがこうした設備を充実させているのだろうか、その目的はランチとディナーの間の客足の遠のくタイミングでの集客にある。この時間で喫茶店のように利用してもらうことを想定してこうした形が出来上がっている。コーヒーを1杯だけという使い方も大歓迎なのだという。

ココイチは10年をかけて、店舗の改装に取り組んできており、店舗は詰め込み型からゆったりしたスペースになった。狭い空間にどれだけ多くの席を増やすかよりも顧客の満足度を上げるようにそうした方向へ移行している。その方向性の1つがこうしたマンガ喫茶化である。
懸念されるのがピーク時に長居される顧客が現れることであるが、ランチ時にはそもそも長居する目的の客が来ないため問題なのだという。

飲食店の常識は変わる

今までの常識はいかに回転数を上げるかというやり方。食べ物を売るやり方だっただろう。それが、ココイチのように空間そのものを快適にするやり方が増えてきている。美味しい食べ物はコンビニでも購入できるが、ゆっくり腰を落ち着けて食べるという体験はこうした場でしかできないだろう。

徐々に飲食店の常識は変わってきているのかもしれない。