日本のマンガで海外進出を狙うダブルエルの戦略


日本のマンガを世界に広げているベンチャーがある。
これまでなぜ日本のコンテンツは世界で流通しなかったのだろうか。

世界に通用する日本のIP

Pokemon Goのヒットをきっかけに巷では、IPという言葉をよく耳にするようになった。IPつまり知的財産権(Intellectual Property)とは、無体物に与えられる権利のことである。平たく言うと、 特許権、実用新案権、商標権、著作権といったものの総称にあたる。
周知の通り、Pokemon GoはポケモンというIPを利用してアメリカのNiantic社が運営しているゲームであるのだが、当然ポケモンというブランドの強さによって成り立っているゲームである。(勘違いされがちだが、Pokemon Goには任天堂社はほとんど関与していない。ただ、Pokemon Go Plusは任天堂社の製品である。)

つまるところ、日本のIPは世界で通用する可能性がある。アニメにマンガ、ドラマなどの日本の作品は海外でニーズがあるわけである。そのIPをいかに海外でビジネスにするかというのは日本の市場が縮小する中で非常に大きな可能性を秘めている。

日本のマンガを世界でビジネスにするベンチャー

日本のマンガを、つまり日本のIPを世界でビジネスにしようとしているベンチャーがある。それが、株式会社ダブルエルである。2014年6月に設立された同社は、漫画家の江川達也氏や松本零士氏など400人を超える漫画家とのつながりを持ち、知的財産のマネジメントをビジネスにしている。今年2016年7月にDeNAと資本業務提携を結んで話題になったことから知っている人もいるだろう。

ダブルエル社の事業はまず著作権者と企業の仲介業が挙げられる。例えば、『北斗の拳 イチゴ味』のコラボ企画は作家の権利をマネジメントしているダブルエル社が企業とやりとりをして実現したものだという。
その他、過去のヒット作をリメイクして再び提供するリブート事業、海外の小説にドラマ、マンガといった作品を日本でメイドインジャパンのマンガとして売り出すマンガライズ事業も手掛けている。

ダブルエル社のビジョンとは

ダブルエル社代表取締役保手濱彰人氏のインタビューでは、ダブルエル社のビジョンが語られている。

今、同社が力を入れているのは東南アジア、中東、南米地域での活動で、『グローバルビジネスとして全く成り立っていない日本のコンテンツを何とかしたい』と保手濱氏は語る。スターウォーズの興行収入は数百億円を超えているが、同じような認知度のあるドラゴンボールやワンピースは収入で及ばないのだという。

その理由として、日本の市場がある程度大きいため、海外向けのビジネスとして機能させる視点が欠けているのだという。例えば、韓国は日本より市場が小さく、世界に目を向けたビジネスをしているため世界にコンテンツが多く流通している。

世界で通用するコンテンツを作れるか

たしかに韓国のコンテンツは日本でも流通している。K-POPや韓流映画など日本でも大きな人気を博しているが、その理由の1つとしては韓国で売れても食っていけないため、魅力的な日本市場を常に狙ってこうした作品やグループが生まれるからだという。

日本という市場は恵まれているがゆえに、その先の可能性に盲目になる側面もある。今後日本市場が小さくなることを考えると世界で日本のIPが受け入れられるかどうかは至上命題だろう。