Airbnbが新サービスを発表した。
あらゆるアクティビティを体験できる仕組みになっており、旅行代理店は戦々恐々といったところだろうか。
Airbnbがトリップを発表
世界大手の宿泊C2CであるAirbnb(エアビーアンドビー)が、現行のホームシェアリングに続く新サービス『トリップ(Trips)』を11月17日(現地時間)に発表した。これまでAirbnbが提供してきたのは旅行者(ゲスト)と宿主(ホスト)を繋げるサービスであるが、今回のトリップは体験を提供するものになっている。
現地でのアクティビティや出会う人を提案することで『旅行全体を容易でマジカルな体験』にすることを目指すという。2018年を目処に、レンタカーやフライト予約といったサービスの提供も開始する予定としている。
トリップは2種類の形
トリップは、”体験”と”プレイス”の2種類で構成されている。体験には、トスカーナ地方でのトリュフ狩りや、ロサンゼルスでのクラビング、韓国での伝統刺繍教室など全500種類のアクティビティがある。現地のエキスパートが企画したアクティビティの所要時間は数時間から3日間までとなっており、東京ではショッピングエリアのガイドとスタイリングが楽しめるプランなど、現地での観光が楽しめるようになっている。
プレイスでは、人と人を繋ぐミートアップ機能や、現地に住む人々によるレストランやアトラクションのレコメンド機能を無料で楽しむことができるようになっており、Resy社との提携により、Airbnbアプリを通してレストラン予約も新たに可能となった。レストラン予約機能は現時点では米国限定での実施となるが、今後各国でも展開する予定だという。
トリップは12都市で展開
トリップは、東京、デトロイト、ロンドン、パリ、ナイロビ、ハバナ、サンフランシスコ、ケープタウン、フィレンツェ、マイアミ、ソウル、ロサンゼルスの世界全12都市で今日から提供開始であり、来年には大阪を含む50都市に拡大する予定となっている。
AirbnbのCEOブライアン・チェスキーは構想に2年間の歳月をかけたという新サービスについて「旅のガイドブックを読むだけではローカルが実際にすることを体験できないと感じていた。『トリップ』はローカルのコミュニティに参加する機会を旅行者に与えることができる。旅行の中心に”人”を取り戻すことで、旅体験を再びマジカルなものにしたいと考えている」と語っている。
Airbnbと言えばこれまでは旅行者と宿を繋ぐホームシェアリングサービスであったが、その役割から次は旅行を楽しむためのアクティビティなどを扱うようになる。
旅行代理店の行方は
Airbnbが今まで扱っていたのは宿のみだった。ホストが空いているスペースをゲストに対して提供するものであったが、今回のトリップでは現地の文化を体験したり、アクティビティに参加したり、旅行そのものを楽しむことができるようになっている。
こういう役割は今まで旅行代理店が担っていたが、Airbnbという巨大プレイヤーが参加することになる。旅行代理店の役割はたった1つのスタートアップに全て奪われる可能性すらあるだろう。
事実として、すでにAirbnbはホテル業に対して非常に大きな脅威になっている。それまでホテル業からすれば”他の人の家に泊まりにいくなんて”と気にも留めないほどの存在であったがAirbnbの集客力は非常に強く、Airbnbに登録するホテルも出てきているほどである。
Airbnbの強みは圧倒的なスピード
Airbnbが旅行代理店よりも圧倒的に優れているのはそのスピードだろう。通常旅行代理店ならある程度の数の参加者を確保するためにアクティビティやツアーを行うための下準備が必要だ。しかし、Airbnbではそうしたアクティビティや体験を提供するサービスサイドが気軽に登録することですぐに旅行者はそうした体験をすることができる。
ある程度の規模を前提としてサービスを提供する旅行代理店はそうした部分では勝てない。サメが周りを泳ぐ部屋に宿泊できるなど話題性のある特殊な体験をすることでも優れているAirbnb。
旅行代理店が勝てる領域としたらサービス自体の信頼性が強く担保されていることだろうか。ある程度Airbnbにその市場を奪われることは確実であろう。