インターンは就活に有利か


2017年卒向け・2018年卒向けに就活解禁日をいつにするかという話が大きな話題になった。
だがしかし、現実問題として多くの会社はこの解禁日を「表面上」は守っていても、「事実上」守っていないところが多い。

インターンシップへの参加を検討している学生には次のような構成でインターンシップについて知っておくべきことをまとめている。あなたがもしも就活をしている、もしくは控えている場合にインターンのことで何かに迷っていることがあるならば、是非参考にして欲しい。また、もしも将来会社に所属せず、フリーランスとして活動していこうと考えている学生や、起業を考えているのであれば、恐らくインターンという方法は気になるものであろう。今回は次のような流れでインターンについて述べていきたい。

インターンの種類

インターンの種類は大きく分けて3つある。それぞれわかりやすくまとめてみたので、あなたがどんなインターンに参加しようとしているのか。あるいは参加をしたことがあるのかを当てはめてみて欲しい。

1.コネ採用

基本的にこの手のインターンシップは期間が1週間~2週間ほどに設定されていることが多く、参加者と企業の人間との距離が近づきやすい。企業がヒトという組織で成り立っている以上、組織は「参加者」が「どのようなヒト」なのかを分析しなければならない。そのため、実際にプロジェクトに参加している学生がどのような人物像なのかを知るためにしっかりと予算を設けて、インターンシップのためにプロジェクトを運営している。

ある程度密に連絡をとっていることから、企業の人間とコネクションを築きやすいため、採用につながりやすい。もちろん、そこでどのように自分を発揮し、アピールできるかは学生次第であるため、必ずしも採用につながるわけではないが一般的にエントリーシートを出して履歴書を書き、面接を受けるよりかは採用につながりやすい。ただし、あくまで重要なのはインターンシップの中身であるため、「自分が選考にかけられている」という緊張感を持った上でインターンに参加するとよいだろう。

2.宣伝型

一日限りのインターンや、2日間などのインターンシップを行っている企業は「PR活動」に近いインターンシップである。そのため「コネ採用」とは少々異なるが、企業のヒトと接触する機会を設けられるため、気になる企業であれば参加をお勧めしたい。

また、PR活動となると学生からすると場合によっては良い印象にならないヒトもいるかもしれない。だがしかし、PRであるからといって、「表面的」には知りえなかった活動や事業を知るキッカケにつながる可能性もあるため、参加しやすいことが一つのメリットではないだろうか。また、プロモーションにつながるということは採用活動と会社の内容をより多くのヒトに知ってもらうことも一つの要素であるため、この手のインターンは企業側も実施しやすい。

3.実務実践型

ベンチャー企業では通年アルバイト、ないしは学生インターン生を募集しているところがある。この種類のインターンシップは実際の実務経験につながる可能性が非常に高いため、「すでに行きたいベンチャー企業」があるのであれば、ぜひインターンに参加してみるといいだろう。だがしかし、デメリットとしてはある程度の期間の時間拘束を受けるため、万が一参加した企業にそこまで魅力を感じなくなっていった場合はリスクであるため、就職先に悩まれているような方にはあまりオススメできない。だがしかし、そこで得られる経験は単純なアルバイトで得られる経験よりもはるかに中身のある充実した時間になるだろう。現在のベンチャー企業は積極的に学生に対応してくれているところも多く、いろいろなことを知れるチャンスになりうる。

また、ベンチャーにインターンで参加する場合はベンチャー企業同士のネットワークを築ける場合もあるため、いろんなベンチャー界隈の人たちと繋がりたいのであればオススメする。インターンの期間中にしっかりとした実績を作れば、下手に他の会社にいくよりもおもしろいプロジェクトに参加させてくれる場合もある上に、そのまま正社員として採用される可能性もある。

アルバイトとインターンの違い

あなたがもしも大学生ならば「インターンシップとアルバイトの違いはなんだろう」とふと疑問に思うことがあるだろう。基本的に両者に大きな違いは存在しない。強いて言うなら「給与をより多く得るために働く」のが「アルバイト」である。一方、「自己実現・成長・経験のキッカケをつくる」のが「インターン」である。本来、インターンシップでは賃金という概念が発生しないケースが多かった。なぜならあくまでインターンは就業『体験』という「体験」にすぎない。

だがしかし、近年では学生のためにしっかりと賃金を払う企業も増えてきたため、事実上の大きな違いはない。アルバイトは決められた仕事を行うことが前提であり、インターンは企業のヒトと同じような目線・達成(ゴール)を目指すため「言われたことをそのまま実践する」だけでは評価を得ることができない。また、一般的にインターンが指し示す対象は学生であるため、「学生」のためであるか、「フリーター(アルバイター)」のための制度なのかは少し意味合いが異なってくるだろう。

インターンの問題点

企業によっては、労働基準法の違法に触れるか否かという瀬戸際のところでインターンを募集している場合がある。本来、インターンシップであろうがなかろうが生産活動を行うための「業務」を行っているならば、それは「労働」に該当する場合が多い。当然「労働」であるからにはそれが「業務」につながるため本来であれば賃金が発生する。

しかし、現実問題としてそれを「就業体験」に一括りにし、学生に明らかな「雑務」を行わせたり、「会社でみながあまりやりたがらない業務」をやらせる場合もある。その場合、本来であればグレーであるが、ヒトを雇う体力が企業にない場合は人件費をかけずに業務を実施させようとする場合は多い。それを「気にする」か「気にしない」かはそのヒトによるが、耳障りの良いことをいって学生に明らかに報酬もなしに業務を遂行させる企業の場合、インターンには参加しないほうが賢明だろう。

インターンのメリット・デメリット

実際にインターンシップに参加するといった場合、どのようなメリットとデメリットが考えられるのだろうか。一言ずつではあるが想定できるものを枚挙すると大きく分けてそれぞれ3つずつではないだろうか。

メリット

1点目としては、就職する前に実務経験を得られるということである。社会に出る前に実際にどのような実務をするのかわからないよりかは、多少でも良いから実際に実務に参加するというのは重要なことではないだろうか。そして、そういったことができるようになれば、入社時の段階では他の新入社員よりも差をつけてスタートすることができるため、スタートダッシュすることができる。この差があるだけで印象論としても注目を得られるだろう。新卒としての市場価値は高まるであろう。

2点目に、履歴書の中身を濃くすることができるということである。これはどの業界であっても訴求力を高めることができる。あなたがインターンに参加したことによってどのようなことを、どのように感じていたのか、それはあなた自身の価値観としてそれを他者に伝えることができる。こういった実体験に基づいた内容は説得力を増すことができるため、面接・履歴書でもいい印象を与えやすくなる。

そして3つ目に一番のメリットは、他の人とコネクションを作ることができることである。例えば実際に参加した他のインターン生や、企業内部の人とつながるということはネットワークを形成する一つのきっかけになる。そのため、今は仮にインターンへ参加した企業へ就職しなくても、将来的に何かの縁でつながりが生まれるかもしれない。あなたが困った時に手を差し伸べてくれるような存在になりえるかもしれないし、逆にあなたの良きビジネスパートナーやクライアントになり得る可能性もある。コネクションはそういったことからも非常に重要なのではないだろうか。

デメリット

デメリットとしてまず第一に考えられることは、機会費用の損失である。参加する前まではインターン先の会社へ興味があっても、後から別のもっと興味がわく企業に出会うこともある。もしも就職したいような会社ではなかった場合、一番もったいないのは時間を消耗してしまうことなのではないだろうか。

2つ目のデメリットとしては、学生にありがちなケースとして「電話番」のインターンになってしまうことである。実際によくあるが、すべての問い合わせの電話や、アウトバウンドのテレアポのような仕事に学生が使われてしまうケースはよくある。もちろん、テレアポも立派な業務ではあるが、おそらく大半の人にとってテレアポは求めているような業務ではないため、時間の浪費になる可能性がある。

3つ目の大きなデメリットとしては、実際に伝えられていた業務と異なることである。学生という立場から、あまり業務のことについてわかっていないようなヒトをうまく言いくるめられるような場合がある。そのような企業に多いのは「成長」という抽象的な表現を用いている場合が多い。この手の企業の場合は社員らもトップから無理やり仕事をやらされている場合が多いので、良い刺激を与え合えるような環境とは少しかけ離れているため気をつけたほうが良い。

インターンに参加すると就活に有利なのか

結論として、就活する場合であればインターンは非常に有利と考えられる。ただし、条件としてはすでにあなたが「関わりたい業界・やりたいこと」などの目的が明確にあり、そのために一つの企業や、あるいは複数の会社に目星をつけているのであれば尚更インターンへの参加は価値のあることにつながりやすいだろう。そしてそれが「有益」かどうかは何も「就職」を前提にしている学生だけではない。

例えば、あなたがもしも起業しようか迷っている・フリーランスで活動したいと考えているのならば、実際に会社という組織で実務に取り組んでみることもまた一つよい経験になるだろう。起業をすることと会社で働くことは全く異なるたえ、その違いを知りたいということであれば良い機会である。

今は「やりたいこと」がなくても問題なし

おそらく大半の学生は「やりたいこと」が明確には存在しないだろう。そして、それが生まれたとしてもすぐにまた別の何かへ興味が移りがちになるだろう。そのため、今すぐに「やりたいこと」などが明確にはならないかもしれないが、それは現時点でほとんど問題ない。重要なのは「何をどのように考えて実行するのか」ということである。それがしっかりとしていれば、就活などは所詮一時の活動であり、大したものではない。

第一に会社の中にいるのも所詮は同じ「ヒト」である。社会人だからといって必要以上に緊張することもないし、仮にうまくいかなかったとしても今はインターネットがある。そして、あなたが興味を持ったことに関する情報は山のようにある。

「やりたいこと」を見つけるために

もしもあなたが、「やりたいこと」を見つけたい・探したいと思っていても、なかなか行動につなげられないのであれば、それもまた問題ではない。もしあなたが何かに興味を持っているのであれば、おそらくそのために情報を調べようとするだろうし、目的のために勝手にカラダが動くからである。また、必ずしも目的を決めなくても、自分の気が向いたままに様々なことに触れていくなかで見つけられることもある。必要以上に「目的・やりたいことを探す」ということに固執しなくても問題ないのである。

今回はインターンに参加すると就活に有利かどうかということについて述べたが、必ずしも「就職」するということや「起業」をすることのどちらが是か非かということは存在しない。まずはフットワークを軽くし、たくさんの機会に触れてみることが重要であり、たくさんのことを経験してきたのであればそれがあなたの血となり肉となるだろう。インターンは就活に限らずその後の人生にも「働く」とはどのようなことなのかを見直させてくれる良い制度である。そのため、インターンを通じていろいろな企業を知っておくだけでも有意義であろう。