カジノでギャンブル依存症は増えるのか


カジノにおける懸念の1つがギャンブル依存症だ。
では、日本にカジノができた場合本当にギャンブル依存症は増えるのだろうか。すでにギャンブル依存症患者が多いこの日本でそれが当てはまるかどうかを考えたい。

カジノが確実的に

カジノ法案が2016年12月6日の衆院本会議で賛成多数により可決され、7日の参院本会議で審議入りした。
日本はカジノの成立に向けて動いていると見て間違いないだろう。きたる2020年の東京オリンピックまでにカジノが日本に誕生するだろう。

カジノ成立はもう決まりだと見て問題ないと思われる。では、カジノが日本にできたときにどんな変化が起こるだろうか。カジノのもたらす経済的影響やデメリットはどのようなものがあるのだろうか。

カジノのデメリット

今審議の中で見られるのは、経済的な効果を推す賛成派とデメリットを訴える反対派との対立軸である。経済効果については置いておくとしてデメリットの部分を考える。
デメリットとして上がるのは、ギャンブル依存症を増やすのではないかという懸念である。事実、マカオやラスベガスなどのカジノではギャンブル依存症を生んでおり、その対策に非常にナイーブになっている。

すでに日本ではギャンブル依存症の人口が536万人であり、これは他の先進国と比較しても圧倒的に多い。生涯有病率はアメリカが1.4%,日本以外で最も高いオーストラリアでも2.1%と日本の4.8%は圧倒的に高いことが分かる。
これは、パチンコや競馬などの身近なギャンブルが非常に多く存在するからであり、そもそも日本は十分にギャンブルに接する機会が多い。

世界で有数のギャンブル大国日本

世界のギャンブルの総売り上げは18兆円であり、世界で最もカジノの規模が大きいマカオは3兆円、最も有名なラスベガスは1兆円である。それに対して、日本のパチンコの売り上げは23兆円でありこれを大きく上回る。
厳密に言えば、ギャンブルは掛け金から戻ってくるお金を差し引いた分を売り上げとして計上しているのに対して、パチンコは玉の貸し出しそのものを売り上げとして計上しているため、還元率が85%とであることを考えると、3.45兆円でマカオを上回るくらいだということが分かる。

それでも、日本のギャンブルの市場はマカオを上回るものである。ギャンブル依存症がすでに世界屈指でいることを考えると、カジノでギャンブル依存症が増えるかどうかという点についてはやや無意味な議論に見える。

カジノのギャンブル依存症対策

すでに世界のカジノでは来場客をIDで管理し、極度にギャンブルに興じている場合は来場できなくなるようにしたりギャンブル依存症の対策を行っている。国内客の来場は制限されている場合も多い。そういった意味では、パチンコよりずっとギャンブル依存症の対策がなされているのがカジノではないだろうか。

カジノが日本にできることによって、パチンコからカジノに顧客が移ればもしかするとギャンブル依存症が減るかもしれない。今までパチンコにもいったことのない層がカジノでギャンブル依存症になるのも想像し難いし、カジノができることによってことさらギャンブル依存症が増えるようには思えない。

カジノは大きな柱に

今後、日本という国が成り立っていくために海外需要が必要であることは言うまでもない。人口が減れば減るほどにインフラを支えるのに必要な1人当たりの負担は増える。その中でカジノおよび観光は大事な市場になっていくだろう。

カジノでたしかにギャンブル依存症のリスクは避けて通れない。ただ、言われているほどカジノの影響はあると思えないのも事実だ。ギャンブル依存症を本当に減らしたいならむしろパチンコを規制するべきである。
日本が美しい国であるために、カジノにおいては世界一のギャンブル依存症対策を見せてほしい。