日本の不動産テックのヒントはOpendoorにある


FinTechが元気な中でなかなか普及しないのが不動産テックだ。
売買にかかる金額が大きいこともあって未だに従来のやり方で店舗を訪れ営業マンがついて取引を行う形がなくならない。しかし、その不動産テックのヒントはある1つのサービスにある。

不動産テックの不振

おうちダイレクトの抱える課題と不動産テックの未来

ソニー不動産とヤフーのタッグによって生まれたおうちダイレクトの結果は悲惨なものだった。不動産テックを謳うものの全くもって成し遂げられていないのが現状だ。

おうちダイレクトに並ぶ物件は売り手の希望が強すぎて正当な相場よりも遥かに高い値段ばかりで、買い手にとってみれば何一つ利益がない。インターネットで物件を売買するという不安の強い行為に対しておうちダイレクトでは一切工夫がない。
これでは売買が成立しないのも無理はない。

不動産のIT化には大きなメリットが

不動産テックという言葉はFinTechと同じくらいに出てきているが、まだ進展はそうない。おうちダイレクトしかりユーザーの心をつかむサービスは出ていないし、何よりそもそもデータからなるお金と比べると不動産は実態があり、FinTechのように簡単にやりとりができるものではない。お金を支払うのにかかるのは消費税であるが、不動産の場合は取得税がかかる。その上契約書などによるやりとりも多く煩雑である。

しかし、不動産の市場規模は39.4兆円と非常に高い。それだけの市場がインターネット上でやりとりが可能になりIT化されればかなりのコスト削減、そして流動性が生まれ空き家などの問題が解決する可能性がある。
不動産テックは大きな課題であることは間違いないだろう。

アメリカの不動産テック”Opendoor”

不動産テックという意味で1つ先をいっているのがアメリカだ。Opendoorというサービスではすでに不動産テックが進んでいる。

opendoor

Opendoorでは、物件を売りたい人が、物件をサービスに登録する。すると、Opendoorで物件の査定をしてくれて買い取ってくれる。それをOpendoorは市場に売りに出し利益を得るという仕組みになっている。
おうちダイレクトと大きく違うのは、Opendoorが査定を行い自ら購入するという仕組みであるためその時点で売買が成立するということである。

おうちダイレクトなど多くのサービスは物件の売買に関わるデータの提供などを行い、両者の納得できる価格での売買を実現しようとしているものの、サービスはそこに責任を持たない。物件が外れだったとしても買い手はどうしようもないわけである。
Opendoorは自分たちが物件を購入するため当事者として関わることになる。

売買の当事者としての意識が必要

この仕組みである以上、Opendoorの査定の仕組みはどんどん精度が増すだろう。そうでないと物件を自らが購入して市場で売る際に赤字になってしまう。自分たちで売買に関わるからこそ本気で査定をするようになると思われる。

この”当事者意識”こそが不動産テックに必要なものなのではないだろうか。結局のところ、我々のサービスでどうぞ売り手買い手を見つけてくださいだけでは特に買い手は不安でしかない。ボロ物件を高額で掴まされる可能性がある。

自分の買おうとしている物件は問題がない、価格も正当なものだ、という風に安心して購入できなければいけないわけである。不動産テックでは実際に売買を行う者の気持ちにまで入り込めているかというと疑問でしかない。安心して正当な価格で望む買い物ができるかを徹底的に実現する必要があるといえるだろう。

日本でもこのOpendoorのようなサービスが出てくることを期待したい。