今日本はインバウンド需要に燃えています。
ただし、本当に大きな需要はそこではなく『日本→海外』にあるのではないでしょうか。
インバウンド需要に燃える日本
本誌ではこの記事で少し紹介をさせて頂いたのですが、きたる東京オリンピックに向けて日本ではインバウンド(来日観光客が日本国内で行う消費)需要へ向けて着々と動き出しています。それでももちろん足りないところだらけだし、1番の問題のホテルの数が足りないとか、カジノ法案ではかなり揉めていたりなどなかなか順風満帆とも言えないわけですが、中国人の爆買いなどに代表されるように観光地としての日本の需要は間違いなくありそれに対する動きはもちろんあります。
代表されるのは、京都などの日本の観光地、まさにザ・日本の観光資源としての取り組みです。さらには、メイドインジャパンとしてのブランドを購入するために銀座・新宿を中国人が訪れたり、様々にインバウンド需要を意識しているように感じます。それ自体非常に素晴らしいことではありますし、大きな市場規模を誇ることでしょう。
ただ、1つ思うことは、観光客に商売を行っており、日本製品には需要があることが分かっているのに、なぜ日本初の越境ECがあまり存在しないのだろうか。商売として機能するに至らないのだろうかということです。
より大きな需要は各国内部にある
よく考えれば分かることですが、日本に観光しに来る外国人よりも、日本に観光しに来ない外国人の方が数は圧倒的に多いわけです。訪日観光客は1年間でのべ1300万人。1人1回しか来てないとしても最大で1300万人しかいません。世界の人口は70億人ほどですから、日本に来ない外国人の方が500倍あるわけです。まあ、そんなにたくさん日本に来ることもありませんから自然なことだと考えるべきです。
とはいえ、見込み客は世界に70億人いるわけです。1300万人の中からどれだけ増やすということを考えるよりも日本の文化・製品を海外にいながらにして購入できるようにした方が需要として大きいのではないでしょうか。インバウンド需要については必死に頭を使っている日本の企業・政府ですが、ECが存在する今、わざわざ日本に来なくても日本を味わってもらうことはできるのではないか、そう考えることがないというのは不思議でなりません。
勝手に日本から購入する外国人はいない
例えば、アメリカの企業がそうしたことを考える必要はありません。なぜなら英語でサイトが構成されているのだから『買う側が勝手に英語を勉強して買えばいい』だけだからです。世界を相手に商売をしたいのなら発送を世界中にEMS(国際郵便)やらでできるようにだけすればいいのです。
ところが、日本の企業はそうもいきません。英語に対応しなければ確実に日本人以外が買うことはないからです。
英語圏ならば、買う側が英語に合わせればいいのだから殿様商売が通用するかもしれません。ただ、日本人がただただ観光客が来るのを待っているのはいかがなものでしょうか。これも日本人特有で、売り込みというか自分の商品やら魅力やらをアピールするのが非常にへたくそでしかもやろうとしません。『来てくれれば精一杯もてなします』ではなく、『(英語を用いて)日本にはこんなものありますよ!どうですか?』といった具合にどんどんと世界にアピールをできないから日本は未だに侍が歩いているとか言われてしまうわけです。
圧倒的に世界的に弱い日本企業
日本の製品は間違いなく需要があります。世界的に人気があることは間違いありません。
実は、ROLEXなどのブランド物は日本で買う方が中国などで買うよりも高いのにもかかわらず中国人が買っていきます。それは日本の製品には偽物がないという信頼があるからです。日本のブランドは日本人が思っているより大きなものがあることでしょう。
ただし、そんな日本の強いブランドにもかかわらず世界への進出は自動車メーカーなど一部を除いてはうまくいっていません。それは日本がガラパゴス化しているのが大きな原因でしょう。そもそも日本人は外の国と関わりをあまり持たないため、海外相手に商売をするのがへたくそです。通貨のレートや関税に関する認識もあまりありません。こうした要因は日本から海外へのECが出てこない大きな要因でしょう。
また、日本の労働者は世界的に圧倒的に優れています。コンビニや飲食店など低賃金労働者がここまで手厚いサービスをこなせるのは日本くらいのものでしょう。だからこそ、現地で商売をする際に日本の企業は大きな苦労を強いられます。日本のオペレーションシステムを海外に持ち込むと優秀な日本人を前提とした形では成立がせず苦戦することが多いようです。日本でのやり方が通用しないこうした商売は我々ベンチャー企業にとってはチャンスかもしれません。