英国式バーHUBは2017年4月27日にリニューアルオープンする「HUB渋谷2号店」「HUB上野店」によって100店舗規模に到達します。なぜHUBの業績が上がっているのか、その理由を探ってみましょう。
HUBの特徴
HUBではフード・ドリンクどちらもキャッシュオンデリバリーというセルフ式注文が中心となっています。スタバやドトール等のセルフサービスと同じ業態です。
内装は英国式を基調としたバーで、外国人でも気軽に立ち寄れる雰囲気となっています。
店内に取り付けられているモニターではサッカーやラグビー等の海外スポーツ番組を随時放送しており、スポーツバーとしても楽しめます。
居酒屋業界が低迷する中で地道に伸ばし続けてきた
HUBは首都圏を中心に拡大してきました。HUBの優れているところは店長教育を入念に行い、利益が望める地域でも焦って出店して失敗しないような取り組みが為されている点です。
これは行きつけのお店にしてもらうための持続的な経営を会社理念により志しているためです。
そのため2017年現在、HUBの閉店数は0を維持し続けています。
HUBはなぜ伸び続けたのか
これは若者層を上手く取り込めたことが大きいです。若者の傾向としてはお酒そのものを楽しむのではなく、様々な体験価値を取り入れたい側面が大きくなっています。
テレビや新聞の画一的なコンテンツに頼っていた時代とは異なり、ネットやスマホの発達により情報の多様化・趣味の多様化が更に広がった結果、様々な体験価値を欲するようになりました。
女子大生がスタバにコーヒーを飲みに来るのではなく、お洒落で楽しい非日常的な自分を安価で手軽に創出してSNSにアップできる手段として来ているようなものです。
スタバでは女子大生ならば、HUBでは男子大学生層の体験価値を重視しています。
それはスポーツによる一体感や、異国情緒の漂う雰囲気、カウンターの店員や立ち飲みでの他の人とのコミュニケーション等々、行く日によって変わる店内の非日常感を味わうためであり、お酒はそのツールとして扱われています。
また月毎に新作メニューを出す、イベントの日を設ける、ハッピーアワーによる割引時間帯を設けるなどして人を呼び込む話題作りに積極的なのも若者層をリピーターにする重要なことです。
体験価値がなぜ重視されるのか
若者が体験価値を重視する例としてはドイツビール祭りであるオクトーバーフェストが最も良い例でしょう。ビールの国内消費量は年々減少傾向にありますが、趣味が多様化する現代的な流れにより2016年のクラフトビールブームやドイツビールの人気も相対的に上がりました。
オクトーバーフェストは祭りやドイツ的な体験価値側面を強調することで年々来場者数を増やしています。
飲食業で成功することに必要なのは
飲食業は飲食物を提供するだけでは少し人気になったとしても他社にすぐ真似されてしまうので経営が破綻しやすい業態です。仕入・搬入ルートを持っている既存フランチャイズ相手には価格競争やコストパフォーマンスで勝負を仕掛けても分が悪いです。
大事なのは付加価値を付けることでしょう。その店でなければならない独自の強みを持つことが、他社の追随を免れる唯一の手段となり得ます。
HUBの真似をしてスカイラーク系列のファミレスでもハッピーアワーによるビール割引をHUBより低価格で導入し、続々と16~19時頃のハッピーアワー割引を適用する飲食店が増え始めました。
しかしハッピーアワーを含めた雰囲気作りはHUBの方が上手く、HUBでないとダメという理由になっています。
HUBではこの他社の追随を許さない英国式パブの雰囲気・サービスへの取り組みに忠実であり、日本に浸透させたことが独自の強みとなっています。