起業起業という前に


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起業したい学生、若者は星の数ほど存在します。
とはいえ、その中で実際に目標を達成する人は少数派でしょう、それには起業以前の部分が関係しているように思えます。

起業に必要なものは何なのか

私は、学生向けのセミナーなどに呼ばれたら基本的に無償でお受けしているようなこともあって、起業志望の学生と話すことがそれなりに多いです。学生起業家に出資したりもしていますし、弊社には学生起業家を目指しているないしは起業をしている学生がたくさんいます。よく考えたら自分も学生起業家です。

そんな中で起業をするためには何が必要なのかとか、どういう人間であるべきなのかそういう素質を持っているのかとかそういうことを聞かれるのですが、それ以前の段階が私としては気になるわけです。『人に雇われたくないから起業したいのに親に言われたことに逆らえない』『プログラミングのできるメンバーが欲しいけど、自分のできることは存在しない』『起業したいのにベンチャー企業のことをほとんど知らない』などなどそもそも人として何か足りなくないか、ということを思うわけですね。
起業という枠組みで見た以前に、ビジネスマンとしてリーダーとして明らかに足りてないよなあ、甘えているよなあということを思うのです。

人に指図されたくないならそれを貫こう

人に指図されることなく、自分のやりたいことに打ち込む、自分のやりたいことを思いっきりやる。これは、人類すべての持つ共通の願望なのでしょう。もちろんそれ自体はむしろ私も賛成ですし、起業家である以上はそうあるべきだと考えています。

ただ、それって使い分けるものではないと思うんですよね。そういう風に言うくせに自分より偉い人には頭が上がらないとか、大学生だから親に養ってもらっている身分だし親には逆らえないとか。そのくせして人にああだこうだ言われたくないから起業したいというのは不思議な話じゃないでしょうか。人に指図されたくないなら常に自分で選択をして自分で責任をとって生きるべきではないでしょうか。何かに依存しているのに人に指図されたくないというのは非常に矛盾しています。

優秀な人と起業したいという矛盾

非常に多いパターンですが、起業というとやはりwebサービスとかITのジャンルが人気ですので、コードを書いてプロダクトを作る必要があります。とはいえ、プログラミングのできる人は多くはありませんので、そうなるとコードのかける人と一緒に起業したいということを言うわけです。まあたしかに納得のできる話です。

では、そのプログラミングのできる人からした彼と一緒に起業するメリットはなんでしょうか。自分1人でプロダクトを完成させることのできる能力のある人物というのはめちゃくちゃ優秀なわけです。そして自分でコードが書けるなら一緒に起業する理由が分かりませんよね。彼からすれば、‟俺はアイディアを持っている”とかそういった理屈があるわけですが、そんなもの微塵も価値はないわけです。アイディアが当たるか見極めることのできる能力ならともかく世の中のサービスのほぼ全ては多くの人が考えたことのあるものなわけです。
プログラミングのできる人と共同で起業したいなら自分もその人と同じくらい能力を持つべきです。営業力なり実務経験なり財務などに詳しいなど同等以上の能力を身に付けましょう。自分に能力がない限り絶対に優秀な人はやってきません。

起業したいのならモデルケースを知ろう

プロ野球選手になりたいと思ったら、甲子園に出たいと思ったら野球のうまい人のプレーを見てそれを目に刷り込むでしょう。モデルケースを目に穴が開くほど見てそのイメージを膨らませるわけです。
起業も同じです。起業したいと思ったら、世の中の起業している人たちはどんな事業を行っているのか、どんなやり方をしているのかを知らない限りはイメージが膨らみません。起業というふわふわしたものであるからこそより実態を知るべきだし、知らないことには何も進まないわけです。

『起業は目的ではなく手段』と偉そうに語る人がいますが、私は別にやりたいことが起業でもいいと思います。自分自身大学入学当初は『なんか起業してビッグになりてえ』くらいのことしか考えてませんでしたし、何の業種で起業したいとかよりもなんとなくあれもこれも楽しそうだな、会社員よりは間違いなく起業家の方が成果を出せるし楽しく生きれるなと思っていました。今でも何がやりたいというよりもどれもやりたいとすら思っています。やりたい事業なんて星の数ほどあります。

もちろん、起業という目的を持ってもいいと思うのですが、それなら起業というものはどういうものなのかは知っておくべきなのではないでしょうか。

起業とは一つの手段に過ぎない

『起業』と語る学生に見受けられるのは、起業というものがなんか崇高なもので特別な選ばれた人間のための概念であり、なおかつそれを目指す自分は偉いというような思い上がりです。
起業というのは何かを実現するための一手段です。会社で働くとか、非営利で何かやってみるとか、その中の1つでしかありません。

私は、起業こそが最も影響力を与えることができ、最もエキサイティングで、最も楽しい選択肢だと思ってこの道に進みましたがそれ自体はなんでもありません。会社をしっかりと運営し、雇用を創出した段階でやっと評価されるべきです。起業という形ではなく、“何を成し遂げたか”で判断されるべきでしょう。

起業がもっと身近で、ただの普通の選択肢の1つという風になればもっといいのにと願うばかりです。