12の活用事例に見るLINEビジネスコネクトの可能性


国内トップのユーザー数を抱えているLINE。
LINEは企業がユーザーとコミュニケーションをとるツールとして様々なビジネスにおいて活用され始めています。ユーザーの多くが企業からの広告を無視する時代に、LINEはどうやって企業とユーザーとのコミュニケーションを可能にしているのでしょうか。

企業向けサービスを拡充するLINE

LINEの国内利用者数は2016年1月時点で6800万人を超えています。2011年のリリースから5年ほどで、国内の約半数の人のコミュニケーションに欠かせない生活インフラへと成長しました。

人々はLINEなどのSNSに時間を割くようになり、主なコミュニケーション手段であったメールの重要度は低下しつつあります。かつてメールマガジンはユーザーにプッシュ的にアプローチできる方法として企業にとって有用な方法でしたが、2013年時点でメールマガジンの開封率が10%ほどという米国のデータもあります。つまり、企業が送っているメールのほとんどをユーザーは読んですらいないのです。

こうして人々のコミュニケーションが変化するにつれて、LINEは企業向けのサービスを充実させてきました。2012年に開始した「LINE@」は、大量のユーザーにプッシュ通知を使って強く訴求できる特徴があり、多くの企業がマーケティングに活用してきました。しかし、すべてのユーザーに対して同じメッセージを一斉送信するため、響くメッセージでなければ、ユーザーの開封率が低くなってしまいました。
例えば、新商品発売のニュースを一斉に配信したとしても、LINEのスタンプ目的で公式アカウントと友だちになった多くのユーザーは受け流してしまいます。ユーザーの満足度を上げ、効果が高い施策を打つためには、ユーザー1人1人に合った情報を送る必要があります。それを可能にしたのがLINEビジネスコネクトです。

LINEビジネスコネクトとは

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出典 http://static.naver.jp/

LINEビジネスコネクトとは、LINEを介した企業とユーザーの双方向のコミュニケーションを実現するサービスです。LINEが提供するAPIを利用して、LINEと企業のシステムを連携させることで、企業とユーザーとの一対一や双方向のコミュニケーションが実現できます。APIとは、LINEの機能の一部を外部のシステムから呼び出して利用できるようにする仕組みのことです。

LINEビジネスコネクトには、大きく分けて3つの活用方法があります。

1点目が、企業のユーザーデータをもとに個々のユーザーに最適なメッセージを送ることです。例えば、ユーザーの過去の購入履歴に基づいて、オススメの商品やセール情報をレコメンドすることができます。LINE@では、メッセージは一斉送信のため、多くの人に情報を発信できる一方で、万人に共通する情報しか送ることができませんでした。ビジネスコネクトを使えば、企業はユーザー一人一人に最適化された情報を個別に送ることができるようになります。ユーザーにとっては自分に合っている情報が送られるので、企業はユーザーの良い反応が得られる可能性が高いのです。

2点目は、ユーザーとの双方向コミュニケーションを利用したカスタマーサポートです。例えば、電話で受けていたユーザーからの問い合わせをLINE上で受けることができます。電話だとハードルが高いと感じる人でも、チャットであれば自分のスキマ時間に気軽に問い合わせることができるのでユーザーの利便性が向上します。さらに、ユーザーとオペレーターのやりとりをデータとして蓄積することができるので、その後のコミュニケーションに活用することができます。

3点目は、企業がWebサイトやアプリ上で行なっているサービスをLINE上で提供することです。例えば、ピザ屋のアカウントにユーザーがピザのスタンプを送ると、ピザを注文できるといった仕組みが可能になります。自社のサービスをLINEという巨大なプラットフォームに展開することで、既存のユーザーだけでなく新規のユーザーの利用にもつながります。
現在、LINEビジネスコネクトを導入している各企業の事例は、この3つのいずれかまたは複数に当てはまります。

ZOZOTOWN

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出典 http://www.starttoday.jp/

ファッション通販サイトZOZOTOWNは、ビジネスコネクトを活用して、お気に入りに登録した商品の値下げや再入荷など、個々のユーザーに合った情報を公式アカウントから通知しています。さらに、LINE Payで手軽に決済することもできます。

ZOZOTOWNはLINEビジネスコネクト導入後、速報性が高いプッシュ通知のおかげで、メッセージ配信からの遷移までの時間が短くなり、遷移率もメールの2倍になったそうです。さらに、商品の値下げや再入荷の情報はメッセージを送ったユーザーの半分以上が流入するなど特に効果が高い結果となりました。

ヤマト運輸

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出典 http://www.kuronekoyamato.co.jp/

ヤマト運輸は、LINE上で荷物の問い合わせなどを行えるサービスを提供しています。LINEユーザーは公式アカウントを登録後、クロネコヤマトナンバーズのクロネコIDを連携することで、荷物の配達予定と不在配達の通知をLINE上で受け取ることができます。さらに、LINEを通じて配達の日時や場所の変更、再配達や集荷の依頼などをすることができます。

ヤマト運輸では、受取人が留守で再配達となるケースが全体2割に上り、ドライバーにとって大きな負担になっていました。LINEでのやりとりが増えることで、不在配達率が下がり、ドライバーの負担は軽減することでしょう。

ドミノ・ピザ

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出典 http://www.dominos.jp/

ドミノ・ピザ は、「ドミノ簡単注文」というLINEを使ってトーク感覚でピザを注文できるサービスを提供しています。配達場所をLINEの位置情報送信機能を使って送信し、配達時間や決済方法の指定もLINEのトーク上で行えます。
LINEビジネスコネクトを導入してから4ヶ月後の2016年1月には、累計売上げが1億円、同年3月には2億円を突破しました。

大東建託株式会社

物件の建築から凱旋などのサポートを行っている大東建託はLINEビジネスコネクトを活用した「お部屋探しサポートサービス」を提供しています。従来はネット上で自力で検索しながら行なっていた物件探しですが、同サービスを使えばLINE上で気軽に物件探しの相談ができます。
サービス開始から約1ヶ月で15万人以上のユーザーとやりとりをして、約750人が実際に店舗に来店しました。

株式会社H.I.S.

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出典 http://smp.his-j.com/

H.I.S.が提供しているのは、LINEのトーク上で行える海外ツアーの紹介と店舗検索サービス、問い合わせ対応です。H.I.S.公式アカウントに「ツアー」というメッセージを送った後に、行きたい旅行先を送ると、オススメの海外ツアーを教えてくれます。

また、現在の位置情報を送信すると、H.I.S.の最寄り店舗を案内してくれます。
問い合わせをするために電話をしたり店舗に出向くのはユーザーにとってハードルが高いですが、LINE上で問い合わせることを可能にすればそのハードルをグッと低くすることができます。旅行に行くか決めきれなかったユーザーでも、相談しているうちに旅行へのニーズが強まり成約に繋がりやすくなります。

リクルート

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出典 http://line.froma.com/

リクルートは、アルバイト求人サイト「fromA navi」のキャラクター「パン田一郎」とLINE上で会話できるサービスを提供しています。自然言語処理技術を活用して開発されたパン田一郎はユーザーのメッセージを解析して、様々な返答やサポートをします。例えば、位置情報や希望の職種を送ると、適切な求人情報を案内します。他にも給与計算、シフト通知などユーザーが働き始めてからのサポートも行っています。

さらに、雑談をしたり、名言を返したりなど人間らしい会話をすることができます。ユーザーがメッセージを送ってから、返答するタイミングを調節することで、あたかも人間がメッセージを返信しているように感じる工夫もしています。

ガリバーインターナショナル

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出典 http://221616.com/

中古車買い取り大手ガリバーインターナショナルは、LINEビジネスコネクトを活用し、ユーザーのカーライフをサポートする「DRIVE+」を提供しています。ユーザーは車とトークをするかのように、便利な情報を得ることができます。例えば、ガソリンが足りるか心配になっても「どれだけ?」というスタンプを送信すると、残りの燃料で走行できる距離を教えてくれます。他には、事故やトラブルの時にロードサービスにつないだり、車を停めてからの時間や車を停めた場所などを教えてくれる機能があります。

SBI証券

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出典 http://www.sbbit.jp/

証券会社として初めてLINE公式アカウントを開設したSBI証券は、LINE上で株価照会・約定通知・発注機能を行うサービスを提供しています。例えば、トーク画面で銘柄番号を入力すると、その企業の現在の株価を教えてくれます。
本サービス開始後、LINE経由で口座を開設した人の約2割を20代が占めるという結果になり、LINEの主なユーザー層である若年層を獲得することに成功しています。

キリン

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出典 http://itmedia.co.jp/

キリンは、インテルの技術とLINEビジネスコネクト活用した「デジタルサイネージ自動販売機」を展開しています。この自動販売機は、飲料を買うと内臓カメラで自撮りを楽しむことができます。撮影した写真はデザインフレームで装飾した後、LINEで受け取ることができます。

日本郵便

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出典 http://japanese.engadget.com/

日本郵便は、LINE公式アカウント「ぽすくま」が年賀状を作成してくれる「ぽすくま 森の年賀状屋さん」を提供しています。日本郵便の公式キャラクター「ぽすくま」に画像や動画を送ると、それに合うテンプレやスタンプと組み合わせて数秒で年賀状を自動生成します。さらに、作った年賀状はLINE経由で印刷の注文をして相手に送ることができます。
ぽすくまの楽しいトークとクオリティの高い年賀状デザインがネットで大きな話題となり、約20万枚の年賀状の注文がありました。

なんぼや

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出典 http://cloudfront.net/

ブランド買取ショップなんぼやは、LINEから写真を送るだけでブランド品の査定が無料でできる「LINE査定」を提供しています。ユーザーは店舗に出向かなくても、スマホで簡単に査定することができます。なんぼやの鑑定士が、最短で10分、最長でも24時間以内に査定結果をLINEに返信します。

みずほ銀行

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出典 http://www.mizuhobank.co.jp/

みずほ銀行では、LINEを使って残高照会ができる国内初のサービス「LINEでかんたん残高照会」を提供しています。LINEから専用のスタンプを送信するだけで口座残高や直近10件までの入出金明細を確認することができます。初回だけ店番号や口座番号、氏名などを登録しておけば、その後は暗証番号を入力する必要はありません。

LINEは重要な販売チャネルになる

インターネットによって膨大な情報に晒されている現代においてもユーザーが消費できる情報量は昔と変わりません。一方的に広告を送りつけるようなコミュニケーションではユーザーは広告を無視してしまうのです。

ユーザーに寄り添ったコミュニケーションを行うためには、紹介したLINEビジネスコネクトを導入した事例のように個々のユーザーにとって最適な情報、サービスを提供する必要があるのではないしょうか。ユーザーと企業間の最適なコミュニケーションを実現できるLINEは今後も重要な販売チャネルとして成長していくことでしょう。