郵政3社上場、その意味とは


郵政3社の上場が承認された。
はたしてその上場の持つ意味、さらには懸念点はどうなっているのだろうか。

郵政3社の上場承認

http://kigyo-ka.com/00217/

以前お伝えした日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の郵政3社の上場が東京証券取引所に承認され、11月4日での上場が発表された。時価総額は計13兆円の近年まれにみる大型の上場であり、そのインパクトは大きい。
では、はたして具体的に何がそれだけ大きくてどういった懸念があるのか。

郵政民営化の仕組み

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出典 http://gendai.ismedia.jp/

上記画像を見てもらえれば分かるように、郵政の民営化で、財務大臣が100%日本郵政を保有、その日本郵政がゆうちょ銀行とかんぽ生命保険を保有する形となった。郵便局と郵便事業は日本郵政の管轄となっている。
そして、その際に同時に2017年9月までに日本郵政はゆうちょ銀行とかんぽ生命保険を完全売却することを決めた。つまり、日本郵政の傘下であるゆうちょ銀行とかんぽ生命保険は2017年10月から完全に3社が独立した企業ということになる。

ところが、2017年9月までという期限については白紙となり、現状はその可能性については薄く50%以上の売却をそれまでに行うという目標が設定されている。

郵政グループ上場の目的

では、今回の上場は何を目的としているのだろうか。今回の上場によって総額1~2兆円を得るとされており、株式を売却する形になる財務省はそれによって東日本大震災の復興支援に回すとされている。民営化により単独での経営ができている郵政グループについてはいち早く投資家のもとへと還元し、その資金を元手に復興支援を進めるということであろう。政府の1000兆円の借金を減らすためにも非常に納得できる施策である。

もともと、上場は日本郵政のみが単独で行う予定であった。それが西室社長の意向によってゆうちょ銀行、かんぽ生命の3社での上場となった。
これには1つの理由があり、日本郵政が全株式を保有するしている際には傘下の2社が新規事業へ参入するのに政府の認可が必要となる。ここで保有比率を50%以下まで下げれば事業のスピードを圧倒的に加速することができる。
そういった形での事業拡大を図るのがもう一つ、親子上場となった目的である。

親子上場の懸念点

実は、親子上場という形は決して珍しくはない。上場企業の傘下にあるグループ企業が上場を果たすケースは数多く存在する。その一方、フジテレビのように、実質的に大部分を占める子会社が親会社のみ上場することによって経営のイニシアチブを守るケースも存在する。

ところが、親子同時上場というのは非常に難しく、特に子会社の上場については独立した事業運営が可能か否かが審査における最重要項目であり様々な指標での数字をクリアしなければならない。
そして、その中で厳しくみられる点が、親子間の取引がある際にその取引内容が第三者と行う点と同じようになっているかということである。親会社との取引で不当に不利な契約を行い、親会社へ還元することが子会社にあっては上場は果たせない。

そして、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険はその販売経路をほぼ完全に日本郵政に依存していることからそうした公平性が保たれるかという点については懐疑的にならざるを得ない。
東証は子会社の上場は望ましくないと発言したにもかかわらずこうした親子上場についてはまだ尚早と考えてもおかしくないのではないだろうか。