大手出版社ケーイーが倒産


映画雑誌として国内最大手である『SCREEN』を手がけるケーイーが倒産。
出版社は常に苦戦を強いられている。

映画雑誌『SCREEN』を手がけるケーイーが倒産

 (株)ケーイー(旧:(株)近代映画社)(TSR企業コード:290039940、千代田区神田小川町2-12-14、設立昭和25年2月、資本金1500万円、小杉修造社長)は10月2日、東京地裁に破産を申請し同日、開始決定を受けた。破産管財人には小林和則弁護士(内幸町法律事務所、千代田区内幸町2-2-2、電話03-6205-7697)が選任された。
 負債総額は約9億5000万円。

出典 http://www.tsr-net.co.jp/

昭和20年10月に創業した老舗出版社で、映画雑誌『SCREEN』を手がける株式会社ケーイーが10月2日に倒産が決まった。創業70年を越える企業の倒産とあってその周辺への被害は非常に大きいと推測される。

相次ぐ出版社の不況

2014年には『小悪魔ageha』、『egg』といった時代を作った雑誌が休刊を余儀なくされた。ギャル離れなどの時代の影響もあるが、有名誌の休刊ともあって大きな悲鳴が聞かれた。雑誌業界はすでに大きな苦境に立たされている。雑誌を読む・眺めるという文化がスマホをイジるという文化に移行している。特に大きな打撃を受けているとされているのがファッション雑誌であり、Instagramなどでそうした情報が得られる今とあってはその存在は危ぶまれている。

出版社だけでなく、書店もまたその影響を大いに受けており、さらにはそれだけでなくamazonなどで書籍を買うような風潮が進んだことから次々と書店は閉店が進んでいる。もしかすると出版社よりも書店の方がその状況は悲惨なのかもしれない。出版を中心として活字の業界はどんどんと売り上げが減少、市場全体が縮小傾向にある。

電子書籍もまた不調が続く

この出版業界の不況は、電子書籍に対してパイを奪われたことからなると想像が膨らむようであるが、実は電子書籍の業界は売り上げが伸び悩み、そもそも以前想像されたような書籍が全て電子書籍に置き換わると言う状況自体がどんどんと遠ざかっている。
活字離れどころか、そもそも今の時代においては若者は文章離れが起こっているようにも感じる。近年のコンテンツはほとんどが動画に注力しているし、文字ではなくグラフィックで表現しようという傾向が強い。

世の中は電子書籍という可能性を吹っ飛ばして動画へと移行を続ける可能性が大いに存在している。ある程度マニアックな魅力を持ち続ける出版社は生き残り続けるだろうが、純粋に出版社として書店として存在する企業はこれから淘汰されていくことは避けられないだろう。時代の流れというのは時に残酷であり、移ろいがちな消費者の心理を表している。