社長の年齢と業績の関係について商工リサーチが発表を行った。
現代における経営者の年齢はどんな結果をもたらしているのか。
2015年の全国の社長平均年齢
東京商工リサーチの調査によると、2015年の全国社長の平均年齢は、前年の60.6歳を上回る60.8歳とのことである。調査開始の2010年には全国社長の平均年齢は59.8歳であったことを考えると、近年どんどんと経営者の高齢化が進んでいることが分かる。この原因として、東京商工リサーチは「社長交代、事業承継がスムーズに進んでいないことも影響しているとみられる」と分析したが、経営者そのものの引退時期が延びているという意味でのポジティブな面と、現在の高齢な社長が創業したであろう30年以上前に比べると商店街などの自営業者の減少が挙げられるのではないだろうか。
近代化によって商店街のお店のようなイメージの自営業者から消費者は大手のスーパーマーケットへと移っており、そういった事業者がなかなか商売として成立しないというような背景も挙げられるのではないだろうか。大手企業の躍進といった面で見ることもできるかもしれない。
社長の年齢と売り上げの関係
では、次に経営者の年齢とその企業の売り上げや利益について関係があるかどうかについて確認してみよう。
前年比で増収増益となったの比率が最も高かったのは30代以下の最も若い層であり、37.2%となった。前年比で減収減益となった比率が最も高いのは60代の27.2%で、70代以上の26.74%、50代の26.71%と続く。50代以上はおおむね成績が悪いという結果が伺える。
実際の業績を見てみると黒字企業は40代の場合に81.6%で最も高い。次いで30代の81.3%、60代の80.5%、50代の80.4%となっている。この事実に対して、70代以上は赤字企業の構成比が20.6%と最も高く、業績が最も悪いという結果が出ている。売上高別でみると、1億円未満では70代以上が最も多い19.4%であり、規模の小さい企業では後継者がいないのではないかという推測ができる。
若手社長が結果を出すも世代交代の進まない現状
今回の結果から分かることは、おおむね若手社長の方が業績における期待ができるものの、規模の小さい企業ほど後継者が見つからないということである。売り上げが1億円以下の企業において70代の社長の割合が最も多いことから、70代社長の企業はどんどんと売り上げが落ち込んでいるという可能性も考えられなくもないが、そこまで売り上げが落ち込むというのも考えにくいだろう。
50代の社長からは100億円以上の売り上げのケースが非常に増えることからは、大手企業の社長にそれだけの高齢のサラリーマン社長が抜擢される可能性を読み取ることができる。サラリーマン社長で40代以下のケースは少ないことだろう。現代の課題とも言える後継者不足、そして高齢の社長の手腕の衰えが如実に表れる結果となった。