日本国債マイナスを受けて思うこと


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2月9日に日本国債の利回りがマイナスに転じました。
この事態を受けて日本の経済についてある確信が持てます。

日本国債マイナスという事態

日本国債がマイナスになるわけ

本誌でも扱わせて頂きましたが、2016年2月9日、日本国債の10年物の利回りがマイナスに転落しました。マイナスという意味の分からない事態になる理由については上記の記事を読んでいただくと分かるのですが、それにしてもすごい数字であると感じます。普通に考えてお金を貸すにも関わらず返ってくる金額は元金より小さいなどという事態に対して誰もお金を出そうと思わないからです。

(実質)マイナス金利というのはよくある話で、リーマンショック前のアメリカにおいてなんかはそうだったように記憶しています。要するに、物価の上昇率を加味した場合の金利というのがマイナスになる場合についてはマイナス金利になるわけです。住宅ローンなんかだとまあ普通にありえなくはないです。今だって住宅ローンは1~2%とかでめちゃくちゃ安いわけです。

それとは全く意味合いの異なる国債の利回りがマイナスという事態については非常に不思議に感じる限りです。当然、理由はあるのですが、とはいえ直感的になかなか飲み込めない事態であると言えるでしょう。

国債の利回りの低さは信頼性の証

さて、日本が世界初なわけではなく、ほかにスイス、ドイツも国債の利回りがマイナスということを経験しているわけですが、この3つの国では共通していることがあります。それが、経済が非常に安定しているということです。国債の利回りというのは当然ながらお金が返ってくる(デフォルトなどがない)という信用の高い国ほど低くなりますから、国債の利回りがマイナスになるということはものすごく経済が安定していて、日本ならスイスならドイツなら間違いなく借金を返してくれるだろうということを期待されているわけです。

近頃、日本はやばいだのどうのこうのという声を聞くわけですが、やばかったら国債の利回りはマイナスになどなりません。めちゃくちゃ信用されているという風に捉えて問題ないでしょう。それだけ世界中から日本経済が日本の財政が信頼されているという風に非常にポジティブに捉えられるのではないでしょうか。

日本の借金1000兆円の過ち

よく言われる話ですが、日本という国は借金が1000兆円以上あります。これはけっこうな金額で、日本の年間の税収が54兆円ですから、税金を借金の返済のみに使ったとしても20年ほどかかるわけです。当然ながら税収は様々な使い道があり、借金の額は今もなお増え続けています。『こんだけ借金膨らんでやばいじゃん!日本破産するかも!』という語り口でそうしたことが指摘されるケースも多いのですが、これは圧倒的に間違った解釈です。

日本の国債を保有しているのは9割が国内のものです。ここがギリシャなんかのパターンと全く異なる部分になるわけです。ギリシャはたしかにやばいです。ドイツとかから借金しているわけですから、予断を許さない状況です。では、国内から借りているということはどういうことかと言うと、日本の銀行や保険会社が政府に対してお金を貸している状況です。だから、日本はめちゃくちゃ借金を抱えているというよりも、銀行がお金を工面してくれているというイメージの方が正しいかもしれません。

銀行や保険会社の資金源はどこでしょうか?それは我々国民です。国民が日本にお金を貸しているということです。だから、ギリシャのように自国でまかなえないお金をバンバン使っちゃっているのではなく、税収が少ないからその分を国民から国債という形で銀行や保険会社から借りているというイメージです。もちろん返さなければいけませんが、返す相手もまた日本の国民であるわけです。もしもある家族で、今月食費があんまないからお父さんお金貸してとなってもそこまで問題ではないでしょう。生活費のために隣のお宅にお金を借りてたらまずいかもしれませんが。

日本は裕福な国だ

日本人は世界的にもう優秀ではないし、やばいという話もよく聞かれるわけです。日本式の古臭い協調性を求める働き方や、終身雇用においてもたらされた高齢の何もできないサラリーマンたちが問題となっているというのもまた一つの事実でしょう。そういった話を聞くたびに、それでも日本経済はここまで信用されているのになということを思います。

日本人は全然使えないというのは、そりゃ世界的にわざわざ日本に来る外国人ビジネスマンだけを見続けていたら日本で言えばアメリカで働くエリートばかりなのだから当たり前のことでしょう。中国人がものすごい優秀という話が出たりもしますが、中国人の8割くらいは日本人の平均以下でしょう。だから日本の10倍の人口がいても経済は3倍くらいでしかないわけです。

たしかに日本という国に改善すべき部分はあるでしょうが、日本はもう終わりだ、日本はクソだというのも非常にナンセンスな話であるように感じます。日本以上に優秀な国などほとんどないでしょう。それも規模のあるということで言えばアメリカしかないはずです。危機感があるのはいいですが、むやみやたらと自国を下げるのもいかがなものかと感じます。