ポーカーをプレイすればビジネスの本質が学べる


ポーカーを経験したことはありますでしょうか。
ギャンブルの括りの内ですが、突き詰めていくとそこにはビジネスとの共通点が幾つもあります。

テキサスホールデムとは

では、そもそもポーカーというのはどういうものでしょうか。ポーカーの中で最も一般的なものがテキサスホールデムです。テキサスホールデムでは、まずディーラーが参加者にカードを二枚ずつ配り、その後賭けに応じて場にどんどんカードを開いていきます。最終的に場の共通カード5枚と自分の手札2枚の合計7枚中5枚選び役を作り競い合うというゲームです。

日本ではドローポーカーと呼ばれる種類が主流で、こちらはよく洋画で見るカジノで本格的に行われているもの、くらいの認識の人が多いでしょう。しかしこのゲームには多様な戦略性が含まれています。

各テーブルによる市場性の違い

手札が配られる前から勝負は始まります。まずどのテーブルにつくか、そこにいる人は初心者か上級者かを見極めなくてはなりません。テーブル一つ一つが市場であり、そこで競う相手は競合他社と認識します。市場の流通量や貨幣はプレイ人数分のチップと限られており、その中からシェア獲得への競争が始まります。

これは上級者になり初心者の中へ参加すればいいというわけではありません。上級者は合理的に判断を下しますが初心者は常に非合理的であり市場が不規則で安定しておらず、上級者のプレイングが通用するとは限らないからです。
シリコンバレーで競うエンジニアがインフラの整っていない未開の地に行くようなものですから、まずは自分に合ったステージを選ぶのが一番でしょう。

市場における製品の違いとマーケティング力

テーブルについたら今度はマーケティングが始まります。いかに弱い手を強く見せ、強い手を弱く見せるかが重要となります。勝負に勝ち続け自分自身を強く見せるPRをすることで弱い手でも強くなり競争から降りる人もいますし、弱者はそうした強者の驕りにつけこみ強い手を持って勝負を仕掛けます。

中国市場では強い手を持てる人や機会は人口比的に限られていますから、海賊版製品などのブラフが横行し、そこまではいかなくとも低品質な製品でも売れてしまうケースが多いです。弱い手しかなくとも積極的に攻勢をかける環境となっています。
日本では既に大手企業が数多く確立し収束している為、強い手札のみで安全に戦おうとする保守的な人が増えています。ブラフを張ったところで通用する機会は限られますし、何より日本国内ではブラフを張ったら槍玉に挙げられるリスクが高いです。このように、市場に合わせて適切な形があるでしょう。

ポーカーで配られた二枚のカードの内、競合相手とカードが被ることもよくあります。
例えば自分が1番強いカードのAを持っていたとしても、相手がやけに市場に強気な投資をする時は同じAを持っている可能性が高かったりするわけです。

Aというカードが被るように、同じ利点を持っていて似通った製品を販売したら、次はまた別の利点が求められることになります。性能が同じならば次にみられるのはデザイン性であったり価格であったり信用性であったり、また別の要素が必要になります。その次のカードで劣っている場合、品質は優れているにも関わらずシェアを全く握れないこともあるかもしれません。

市場の製品にはこのように既に強いカードで支配されている部門が多くあります。
その場合はどうするか。堅実に小さな勝ちを狙いに行くのも手です。22という手は一見最弱ですが、ペアになっています。どれだけ強いカードを持っていてもノーペアに勝つことができます。AKという一見強そうな手札も場にAとKが被らなければただのノーペアとなりますから、どれだけ強い個々の手札を持っていても、堅実にペアを作れば勝てるということになるわけです。堅実に特定の分野で勝負する中小企業は大手企業にもということでしょう。

性能も低く値段も高い。ただし安定性があるという一点で購入する層は市場価値を判断しにくい層にとっては魅力的に映えるケースも有ります。自分の手札は製品やサービスであり、それを市場に向けてチップを投資するか経営判断を迫られるわけです。テーブルにはプレイする順番があり、一般的に最初より最後の人が有利になります。他の人が投資するか降りるかを見て経営判断を下せますから、判断材料が多い状態と言えます。判断材料が少ない人は手堅い手段しか取れませんし、多い人は大胆な手段が取れます。何も他者との市場への投資競争だけが全てではなく、プレイ中の相手の動向や時流を読み、タイミングを図れば少ない出資で多大な利益を得るチャンスが回ってくることもあります。

成功と失敗のリスク管理

自分の手札をサービスとして世に出してから本格的な勝負となります。勝負とはただ勝ち続ければいいものではありません。常に最悪なリスクを想定する必要があります。極端な例を挙げると99回投資に成功しても1回の失敗による損失で全てを失うことだってあり得ます。ゲームに勝ち続けた数が一番多い人がその市場の勝者かというとそうではありません。ゲーム参戦数は少なくとも、一回の成功により莫大な利益を上げることもあるからです。

アップルは参戦数をタブレットやハードウェア製品、ウェアラブルやパーソナルコンピュータ、クラウドサービス、等種類を絞ることにより一回で莫大な勝利を得ています。特にiphoneは現在androidに市場シェアでは負けていますが、android端末同士での競合も有り、1端末あたりの売上利益ベースで考えるとAppleが最も利益を得ています。
負けないことが最終的に一番多く儲かるわけでもありません。負けないことを意識し過ぎてリスクを容認できず、多大な利益への機会損失をしてしまう恐れがあるからです。リスクの小さいものを常に選ぶのではなく、自分の資本と見比べて最も利益期待値の高い選択肢を選ぶことが重要だからです。そのため投資に見合う手持ち資金を持っているかを常に考えなければなりません。

ポーカーにおいてはプレイ資金換算するのは自分の総資本の5%以内が適正だと言われています。それ以上となるとプレイで負けた際のリスクが跳ね上がり、正常な判断が下しにくくなってしまうからです。ポーカーで10000円持っている人が500円突っ込んで損失しても昼飯分損したくらいで済みますが、手持ち1000円の人が500円の損失を出してしまったら自宅に帰れるかも危うくなってしまいます。投資もそれと同様で余剰資金で行わなければなりません。株式市場や為替においては株価が下がった時に損切りできるか否かの判断スピードが命運を分けてしまいます。
最終的にトータルで見て儲けられたかどうかが重要です。

ゲーム性を理解することの重要さ

ゲームの仕方を理解しないでプレイをしてはいけません。それは経営も投資もポーカーも同じです。そのゲーム内で多くの者が儲けていたとしてもです。片手間や楽をして稼げるとの謳い文句でマルチやMLMにはまってしまう人は、それがどのようなゲーム性が含まれているのか本質を理解できていません。会社名を背負わずに独立できる程の営業スキルがなければ成功しませんし、友人を全て失う覚悟で臨まなければなりません。更に法律違反に引っかかる可能性を含むため、とてもリスキーな選択です。

ポーカーにはフリーロールと呼ばれる参加費無料の大会があり、多人数の中で学べることも多いです。個人でできることと言えばブロガーやyoutuber等のアフェリエイトだと元手が少なく済みますので最も手を出し易いでしょう。
これらの参入障壁は低いので誰でも参加できます。それゆえに競争率は高く失敗する可能性も非常に高いです。しかし裏を返せばそれだけ人気もあり、攻略法もネットや書籍にたくさん書いてあります。本質を理解し継続していければ、初期の時間投資分の損失がトータルへの勝利に結び付けるようになるのです。この初期の時間投資分で躓く人が多いのは、ゲーム性の本質を理解できていないからでしょう。最低賃金以下の収入でも耐えて継続的に注目度の高いコンテンツを作れる者がアフェリエイトという市場では最終的な勝利者となります。

本質理解への手順

儲け金が低い段階で資本主義を理解することも大事です。多大なリスクを背負い投資し、それがたまたま成功した人が勘違いし失敗するケースは非常に多いです。一つ一つの失敗リスクが低い段階で失敗を積み重ねて学び、そこから成功率を上げていき段階を踏んでいくのは大切なことです。この段階を飛ばしてしまうと躓いた時に自殺へと走る投資者や事業者が後を絶たなくなってしまいます。

また短期的な利益を得る為にイカサマをすることは長期的に見るとマイナスになります。
電通社員の組織構造もタイムカードのイカサマが積み重なることで問題となり、健全な組織運営への改善が難しくなっています。またDeNAのWELQメディア問題も手間を省いてしまった為にMERY等の優良なコンテンツまで休止することになりました。
一回イカサマをしてしまうと、それがまず不調な際の選択肢となって表れ、いずれは常態化してしまい経営者自身の成長を妨げる要因となります。
そのため自分が今どのステージにいるのかを客観的に見て、その段階に合わせて進行していくことが重要です。

本質を知ればゲーム性の変質にも対応できる

ポーカーにおいてゲームは常に変化していきます。他の人が手堅くプレイするなら自分は大胆に、周りが大胆なら自分は堅実にと、場の状況に応じたプレイングが求められるからです。他者と同じことをしても勝てないので、周りと別のことをやらなければなりません。その際、プレイングは変えても自分のやり方を貫くことが大事となります。周りに流されてしまう人はゲームの本質を理解できていない人です。

『ユーチューブがなくなったらどう暮らしていくの?』等のyoutuberへの批判が以前よくありましたが、その批判は的外れと言えます。
今現在ユーチューブの広告収益で多大な収益を得ている人は、どのコンテンツがどの層に支持されるかのマーケティングを実践して学び続けています。その能力が身に付けば例えユーチューブが潰れようとも他の分野へ応用を効かせられるわけです。

ポーカーと起業の関係性

ポーカーにおいて希望を抱くのは良い策には繋がりません。希望的観測面が強くなると正常な判断を下しにくくなるからです。常に最悪な事態を想定して余裕を持たせることが重要となります。起業したいという人は多いですが、実態を見て希望と違っていたというケースや、実態を直視できずに行動ができず俗に言う意識高い系と呼ばれる人へと変貌するケースが発生し易いです。

普通に生きていて満足度の高い人間であるならば、そもそも起業という選択肢は浮上しにくいでしょう。起業は一つの手段でしかないという言葉はこの希望的観測への戒めであり、起業が目的となっている人は希望的観測ゆえに現実が見られずに同じ失敗を繰り返してしまいます。ポーカーにおいて最終的に勝利する人は最もスタミナと集中力のある人です。2012年に開催された第42回世界ポーカー選手権大会では、東大卒の木原直哉さんが優勝しました。木原さんはトーナメント開催から三日三晩眠れずにずっとポーカーに集中し続けました。そこまでのスタミナと精神力を持たないと世界的な大会では優勝できなかったのでしょう。

経営や投資においてもこのスタミナと集中力は重要です。常に世の中の物事にアンテナを張り続けそこから経営や投資判断を下していくため、脳内での情報処理能力を高めていかなければなりません。規模が大きくなればなるほど投資や経営への重圧は大きくなりますし、その際に必要になるのが情報を収集し続けられるスタミナと、情報処理できる集中力に分けられるからです。
それでも集中力が切れ判断力が欠如したり、理性を失う時は人間ですから当然あります。その時は悪い手に賭けてしまわないよう、休養をしっかり取ることも大事です。自己資本へのコスト管理に気を遣いましょう。

PDCAサイクルの繰り返し

ポーカーが強くなる為には将棋や囲碁と同様、本を読み理論を学び経験者から教えてもらわなければなりません。またどんな魅力的な理論でも、実践し経験していかなければ意味がありません。
経営に関しても常に才能有るプレイヤーが周りにいる環境の中で学んでいくものです。ポーカーがしたければポーカーができる環境に行くのが当然のように、経営も経営者と関われる環境に身を置き、お金を稼ぎたかったらお金を稼いでいる人の近くに行くのが手っ取り早いです。

そしてゲームに1回勝利してもそれは自分が上手かったからではなく偶然かもしれません。実際は偶然ではなくとも、上手くいった理由をしっかり把握できなければそれは偶然と同義です。そうならないよう自惚れずに勉強を継続していく必要があります。なぜなら自分より上手い人は世の中にはたくさんいるからです。
計画→実行→評価→改善を短期間で繰り返し継続していける人がその分野でのプロになれる人です。

本質を知る為の近道

ポーカーも経営も何事にも、本質を知るには何よりその分野が好きであることが重要です。寝ても覚めてもずっと考え続けられるような人でなければ本質は見通せません。そして自分が学んだことは他の人に伝えて情報交換し切磋琢磨していく必要があります。そのためには常に人に対して親切でなければいけません。楽しめる人であれば自然と人が集まりその分野のコミュニティは出来上がっていくものです。

そうした分野を楽しめる人というのは、その分野に金儲け以上の意義を見出していける人です。このような文化コミュニティを小さな所から築ける人が起業家精神へと繋がっていきます。