起業志向の人がプログラミングを学ぶべき9のメリット


ITの会社の創業を考える際、多くの人はプログラミングを自分で学ぶか、エンジニアを雇うか、この2択の選択に悩む。

プログラミングを学ぶべきか

もし、経営者自身が営業に秀でていたり、マーケティングに秀でているなど、突出した強みを持っている場合は、なおさら悩むだろう。自分の強みに集中すべきかプログラミングを学ぶべきか、その悩みを持つのは当然だ。

今回はそんな悩みを解決するために、経営者がプログラミングを学ぶ9のメリットをご紹介しよう。これは、実際に創業し、プログラミングを学んだことでどんなメリットがあったのか。あるいは、学ばなかったことでどんな失敗を経験したのかといったように経営者の実際の経験ベースの内容となっている。

だからこそ、創業をこれから考える人にとって非常に価値のある内容であるのはもちろんのこと、個人事業主や独立して働くためにプログラミングを学びたいと思っている人にも役に立つ内容だと確信している。れではご紹介しよう。

アイディアを形にすることで、説得力を持って仲間集めができる

まず、最初に挙げられるメリットは、アイディアをアウトプットし形にできることだ。というのも、参入障壁の低いインターネット業界では、「アイデアそのものに価値はない」と繰り返し言われている。実は、普段から私達が名前をよく聞く起業家の中には、自らの力で前に進むためにスキルを身につけ、起業し成功された方が多くいる。彼らは、自ら開発の陣頭に立ってサービスを開発・運営し、成功をその手に収めた。

プログラミングスキルを身につけた起業家たちは、自分に強く共感してくれる仲間を見つけることに多くの時間を費やすのではなく、まず自分のアイデアを形にして実行してみることで、説得力を持って仲間を増やし、サービスを大きくしてきた。
もし、あなたが知り合い二人から一緒に起業しようと話を持ちかけられた時、同じくらい熱いビジョンを持っていて、片方は想いだけ、もう片方は想いとサービスのプロトタイプを作っていたなら、プロトタイプを持っている方を選ぶのではなかろうか。多くの起業家が、経営者自身でアイディアを形にできることの重要性を説いている。

では、月間アクティブユーザーがtwitterの2億8千万人を超え、3億人に到達したSNS、Instagramの創業者の話を例に挙げてみよう。

コードが書けると(テクノロジーの世界では)起業しやすい

Instagramは、Kevin SystromとMike Kriegerという二人のスタンフォード大学の卒業生が始めた会社だ。 SystromはGoogleで2年あまり経験を積んだあと、Nextstopというスタートアップでマーケティングの仕事をしていた。昼間マーケティングの仕事をする傍ら、独学でプログラミングを覚え、その過程で作ったのが、ネットに写真をアップロードし、共有できるアプリだったらしい。これを友人たちや投資家に見せたところ、まわりが興味を示し、資金を貰うことになったので、Nextstepを辞めることにした。実はこの時点で作っていたのはInstagramではなく、Burbnというアプリで、写真はアップロードするものではあれ、エフェクトをかけるものではなかったそうだ。

そのSystromが、当時インスタントメッセージの会社Meeboで働いていたKriegerにひょんなきっかけで会い、Burbnのプロトタイプを見せたところ、Kriegerが興味を持ち、結果的に一緒に会社を興すことになったらしい。Burbnの開発を二人でする過程で、ひょっとしたら写真一本、それも写真に自在にエフェクトをかけることに専念した方がいいのではという結論になり、8週間の開発期間を経て誕生したのがInstagramだ。そっからさきは周知のとおり、ひたすらユーザー数が増え続け、2011年のiOSアプリ・オブ・ザ・イヤーに輝くことになる。

ここで大事なことは、Systromが独学でプログラミングを覚え、プロトタイプを作ったということだ。
百聞は一見にしかずというが、いろいろとごたくを並べるよりも、ひとつ製品にした方が、資金を調達するにしても、友達を巻き込むにしても、圧倒的に説得力がある。素晴らしい机上の空論よりは、泥臭くても手にとって動かせるものというわけだ。テクノロジーの世界でのプロトタイプというと、やはりソフトウェアなので、プログラムが書けないとなかなかプロトタイプは作れない。
プログラムが書ける友達に頼んで作ってもらうことも可能だろうが、やはり自分で開発できるに越したことはない。プログラミングそのものは、そこまで難しいことではないが、一人でプロダクトのコードを書ききるのはそう簡単なことではない。Systromが圧倒的にすごいのは、経験が少ないなりに、とにかく自分でプロトタイプを作りきるガッツがあったことだ。

この中の
百聞は一見にしかずというが、いろいろとごたくを並べるよりも、ひとつ製品にした方が、資金を調達するにしても、友達を巻き込むにしても、圧倒的に説得力がある。素晴らしい机上の空論よりは、泥臭くても手にとって動かせるものというわけだ。
この言葉こそが経営者自身がアイディアを形にできることの重要性を示唆している。

アイディアを形にすることができれば、起業のハードルは下がる

そして、アイディアを形にできることのメリットはもう一つ挙げられる。それは、起業のハードルが低くなることだ。これは、京大卒、ゴールドマンサックス入社、facebook Japanで働く。さらに独学でrubyを勉強して最初のプロトタイプを作り上げた驚異の経歴を持つ仲氏が創業したwantedlyという会社の創業ストーリーを例に挙げると分かりやすい。

どうせやることもないし、そう思って本を購入し、
家に帰って少しずつ読みながらプロダクトを作ってみると、
意外にも少しずつですが、作ることができました。
気がつけばプロトタイプらしきものが完成して、私はベンチャー界隈の友達に見せて周り、
さらにブラッシュアップを重ねていきました。
気がつけば最初は「人のつながりで人を探す」というジャスト・アイディアだったものが、
より具体的に「一緒に何かをする仲間探し」というコンセプトに落としこまれていきました。
人からのフィードバックを得る中、名前は「イモヅル」から「ウォンテッド」に変わりました。

最初は趣味でやり、起業するかどうか特に決めていないとしても、プロトタイプを作ることができさえすれば、起業のハードルは低くくなる。あのwantedlyを創業した仲氏でさえ、最初はあなたとほとんど変わらないとこからスタートしたのだ。
プログラミングを身につける、その一歩から起業のハードルはグッと低くなる。

サービス改善ができる

次に挙げられるメリットは、経営者自身がサービス改善を行えるということだ。
では、なぜ経営者自身がサービス改善を行うべきなのか。これは、特にスタートアップ、創業期においては、非常に重要なポイントだ。というのも、多くの起業家チームが、スタートダッシュを切り、最初に感じるものは閉塞感だそうだ。
成功とも失敗とも言えない状態が続くこと、それが最も苦しい時期となる。

そういった苦しい時期には、「コードの品質が悪かったのかもしれない」「メディアに取り上げられた時に、サーバーがダウンしてしまったのが機会損失だった」「この昨日のユーザー体験が設計ミスだった」など、いろんな反省点が上がり、チームバランスが崩れることがあるそうだ。もし、あなたがコードが書けない、あるいは読めない起業家だったとしたら、この時仕事はゼロになる。
なぜなら、この停滞している時期に最優先となるのがサービスの改善だからだ。なぜなら、経営者がコードが書けない、読めないとある2つの問題が生じるからだ。

一つは改善のために何をしたらいいのか、ほとんど本質的に理解できてない。
もう一つはプロダクトに対しての設計思想からフロントエンドのコーディングまで、全体像を大まかに把握できてないため、どこに問題があり、何を修正すればいいのか全く見当がつかない。

そんな状態では「改善のアイデア」は容易に浮かばない。
そんな状態の起業家と働いているエンジニア達は、迷走する経営方針に居心地が悪くなり、ついにはチームバランスが崩壊し始める。
確かに、コードが読めない、書けないからといって仕事がゼロになることはないかもしれない。経営者は、戦略策定、組織作り、採用計画、資金調達などやることは常にやるべきことは山積みだ。
しかし、サービスの設計思想からユーザー体験まで、書かれているコードの意味を理解し、新機能のプロトタイプを作れる程度のプログラミングスキルがあること。それは、周囲のエンジニアやデザイナーとの良好な関係を維持し、チームバランスを保つためには確実に役に立つと言える。この小さなズレが時を経るごとに肥大化していき、ついには埋められない溝ができてしまったら、その組織の社内環境の改善は望めないだろう。

投資家から資金調達がしやすい

事業を立ち上げ、伸ばすまでには多くの時間と多くの時間がかかる。だからこそ、起業したい人にとって、投資家から資金調達を得られるか否かという観点は非常に重要。
そこで、次に挙げられるメリットは投資家から資金調達を受けやすいということだ。
そもそも、現在のインターネット業界のサービスは革新的アイデアや機能性ではなく、ユーザー体験での差別化が重視されている。
つまり、同じサービスだとしても使いやすさや十分なサポート体制、人間の深層心理に響くものだけが受け入れられ、それは事業価値へと昇華する。

だからこそ、経営者自身がコードを理解し、コードを書けることで、インフラ部分を自らみることができる。それは投資家にとってスタートアップ企業価値を算出する上での一つの要因となりうるのだ。例えば、 ベンチャー企業に投資を行うVCで有名なskyland venturesの木下氏はコードが書けて、20代で地獄のように働く人であれば投資をすると語っている。
このように、経営者自身がコードを理解し、コードを書けることが投資家からの資金調達に役立つ。これは創業期のスタートアップにとっては非常に大きなメリットではなかろうか。

スピード感を持ったサービス設計ができる

次に挙げられるメリットは、スピード感を持ってサービス設計ができるという点だ。実は多くの起業家でプログラミングを学ばなかった経営者はコードが書けない、理解できないだけで多くの無駄が生じ、その非効率さを嘆いている。
例を出すと、楽器アプリを作った経営者がいるのだが、この人は次のように語っている。特に自分でコードが書けなくても、優秀なプログラマーを雇えばいいと考えている人には参考になるだろう。

私は「こんなアプリが欲しい」と思い、勉強を始めたものの「この調子だと一生かかっても自分の作りたいアプリはできない」と悟り、趣旨に賛同してくれる優秀なプログラマと組むことで、めでたく楽器アプリをリリースすることができた。だが、「コードを書けない」もどかしさを、否応なしに思い知らされることが多々ある。

 もちろん分業体制での開発なので、アプリのプロデューサーとしてプログラミング以外の部分(コンセプトやUXなど)を徹底的に突き詰め、それをプログラマに伝え、でき得る限り最高のアプリに仕上げようとするのは当然のこと。だが、「コードを書ける」のと「書けない」のとでは、進ちょくのスムースさがまったく違ってくることを思い知らされる。

 それは多くの場合、アプリ制作以外の部分にリソースが割かれてしまうことへの苛立ちだったりする。例えば、ある出版社と組んだ電子書籍系アプリでは、企画して仕様を考えコンテンツを制作する労力より、メッセンジャーボーイと化してステイクホルダー間の調整にパワーを費やす自分に辟易(へきえき)したこともある。

 そんなときに思うのは、「自分でコードをかけたら話が早いのに」だった。
 もちろん、アプリの制作がチームプレイである以上、1から10まですべて自分でコーディングしたい、と思っているわけではない。けれど、小さな変更への対応や機能の説明など、プログラミングの知識を浅くしか持っていなかったために直面した非効率な局面の多さに愕然(がくぜん)とするのだ。

起業して数年後、「結局は自分自身でスキルを身につけるほうが早かったかも」という後悔をすることは非常に残念だ。頭の中で細部まで思い描けていたとしても、実際に他人に伝えるときは3割り以上が損なわれてしまう。
経営者とエンジニア、デザイナーとの情報共有に3割りもズレがあれば、そのズレを補うためのコストが発生する。それではスピード感を持ってサービス設計などできるはずもない。

創業期において重要なスピード感、これを維持するためにはプログラミングというのは非常に重要だ。

サービス作りの際に工数の想定ができる

次に挙げられるメリットは、サービス作りの際に工数の想定ができるという点だ。何をするにも、確実に目標を達成するには優先順位を決める必要がある。そして、一つあたりにどれだけの時間がかかるのかを算出し、スケジュールを立てる。そういったプランが無ければ、目標をある一定の期限内に達成するというのは難しい。
この点に関して、教育サービスの事業を行い、3.3億円を調達した株式会社マナボのCÉO三橋氏は次のように語る。

■技術がわからなければ工数の想定もできない

自社のサービス作りで大事にしている事はありますか?
三橋:優先順位ですかね。会社を興す段階で考えてはいたけど作りたい機能とかタスクとかって1000、2000って軽くあるんですよ。でも実際にできるのは10とか20なんです。耳にタコができるくらい「優先順位」って聞くと思いますけど超重要ですね。
1個の機能にこだわりすぎず、リリースしてみて使ってもらって反応をみて改善していくのがいいと思います。どうしてもラジオボタンのサイズにこだわったり、色にこだわったりしてしまうんですけどそういったことをある程度想定しておいて意思決定をする。そこがめちゃくちゃ重要ですね。

今僕はディレクター的ポジションで動いています。このポジションも優先順位は本当に大事で一つの機能を作るにしてもサーバーサイドでAPIを作り、クライアントサイドで画面を作り、シェアボタンを作ったり、レビューの仕様を作り、デザイナーにデザインを作ってもらうみたいな複数の作業があるんです。どっかがボトルネックになって1週間詰まる時もあれば、2時間でできる部分もあるわけですよ。そこの調整って結構頭使ってやったりしていますね。優先順位を決めるのもそうですが、どれにどれくらいの時間がかかるか把握する事も大事ですよね。プログラミングをやっていなければ工数などの想定ができないのでプログラミングをやっていて本当によかったと思いますね。
「プログラミングは起業するための必須スキル」3.3億円を調達したマナボ三橋代表が語るCEoがコードを書けるメリット

「プログラミングは起業する時の必須スキル」3.3億円を調達したマナボ三橋代表が語るCEOがコードを書けるメリット

プロダクト制作の進捗管理ができる

自分自身でプロダクト開発に関する知識が無ければ、開発がどこまで進んでいるのか分からない。日本の起業家の中には、下記のような失敗談を持っている人もいる。

知識がないために、何がどこまで進んでいるのかについての進捗管理もできないということがあり、会社を作ってから3ヶ月後にサービスをリリースしようと計画していたにもかかわらず、全く進んでおらずに逃げられてしまったという苦いエピソードがあります。結局その3ヶ月間は無駄になってしまいました。
「【起業志望者必見】ITベンチャーの起業家がプログラミングを学ばないといけない理由とは!?」

出典 http://kigyotv.jp

また、プログラミングを学ぶことで、業務量やスケジュール感を把握することができ、エンジニアの仕事内容を正確に理解することができる。
何かトラブルがあっても、その対処にかかる時間も計算できるので、会社としての対応も迅速に行うことができるのである。

社内のリソースを使って開発ができるので、外注費を抑えられる

創業して間もない実績もない会社で、優秀なエンジニアを雇うことは相当難しい。なぜなら、優秀なエンジニアは貴重であり、雇うには相応の年収額が必要だからだ。

そうなると、サービス開発は外注するしかない。しかし、サービスの開発には100万円以上掛かるケースこともある。また、開発が完了した後もサーバやドメインなど、メンテナンス費としての保持費が追加費用としてかかる。
エンジニアを雇う費用や外注費はかなりの高額であり、創業直後のベンチャーにとっては、致命的な痛手となりかねない。

ここ数年、クラウドソーシングの環境が整ってきたおかげで、国内のクラウドソーシング大手であるクラウドワークスやランサーズ、ココナラには様々なエンジニアがいる。
これらのサービスを使って良さそうなエンジニアを見つけ、見積依頼を出してみたが、金額や納期を聞くと、「予想以上に高かった…」となり、アイデアがいつまで経っても実現できないという状態で止まっているパターンが多い。

起業の初期段階ではそれほど使えるお金も無いし、なるべく安く済ませたいと思うのは当然だろう。しかし、クライアントから依頼を受け制作を行う受託開発は労働集約型のビジネスであるため、できる成果物と投下した金額は余程のことがない限り比例すると考えるべきだ。
「良いモノ(プロダクト)が欲しければ、相応の対価を支払う必要がある」のは至極当然だ。腕のある高い技術力を持ったエンジニアは、安い金額ではまず仕事は受けない。

一般的な相場で言えば、一人の平均的なスキルを持ったエンジニアがあなたのサービスを創るために1ヶ月仕事をしたとすれば、東京の人件費では最低でも月50万円程度は必要。シニアクラスで言えば70~80万円程。地方であればもう少し安くなるかもしれないが、それでも40万/月ぐらいはみる必要がある。

仮にあなたのサービスやプロダクトを創るために3ヶ月の期間が必要だと考えると、それだけでも120万~150万程度の見積もりになる。
このように、エンジニアを雇うとなると、非常にお金がかかる。この出費は創業期においては致命傷だ。だからこそ、経営者自らがプログラミングができることで、大幅なコストカットが実現できる。

未来を見通す力がつく

最後に挙げられるメリットは、未来を見通す力がつくことだ。そもそも、経営者の仕事とはなんだろうか。資金調達、組織のマネジメント、戦略策定、採用計画など様々なものを思い浮かべるであろう。それは全て、正解である。

しかし、本質的な仕事は違う。IT起業家・社長がしなければならない仕事、リーダーでなければできない仕事。
それは「テクノロジーの原理を理解し、未来を見通してビジョンを示すこと」である。では、どうすればテクノロジーの原理を理解し、未来を見通してビジョンを示すことができるのか。その一つの解を提供してくれる一つの例をご紹介しよう。現在シンガポールを中心に世界8カ国に拠点を構え、人工知能を用いたアプリマネタイズサービスや電子決済サービスを世界に展開している株式会社メタップスという日本のベンチャー企業がある。

その社長である佐藤航陽氏は、「IT企業のリーダーに必要なスキルは”未来を見通す力”である」という趣旨の著書『未来に先回りする思考法』でこんなことを書いている。

テクノロジーを「知る」という行為には、以下の4つの段階があります。
使える
ポテンシャルがわかる
なぜできたのかを原理から理解している
実際の作り方がわかる
コンピュータを使える人①は世界で27億人以上います。そして、コンピュータで何ができるのかというポテンシャルも、9割以上の人が理解しているはずです②。しかし、電子回路なども含めてコンピュータがどのように動いているのかを理解している人④は0.1%程度しかいないでしょう。

未来の方向性を読むためには、④まで知る必要はありません。一方で、①と②は多くの人が理解していて、差がつきません。重要なのは、③の「原理」を知っているかどうかです。
そのテクノロジーがなぜ誕生し、どんな課題を解決してきたのかを知ることで、その課題を解決する別の選択肢が誕生したときに、未来の方向性をいち早く察知することができます。
(本書212Pより抜粋)

IT企業の社長たるもの、他の誰よりもテクノロジーを”知って”いなければならない。
孫正義氏は、(おそらく)プログラミングは出来ないが、テクノロジーについては誰よりも勉強して”知って”いる。本人も、一流の研究者や技術者と対等に議論を交わせるレベルまで勉強しなければならない、と起業家の心得を語っている。
それは佐藤氏が言うところの、③テクノロジーの原理を理解する、という所までを極めたのだろう。そして、この段階までを徹底すれば、未来へ先回りすることができる(優れた先見性を発揮できる)ということだ。

すなわち、進むべき未来を見定めることが最たる仕事である社長や起業家は、③までは確実にカバーする必要がある。上に挙げた、プログラミングを学ばずに成功した起業家は全員が③のテクノロジーの原理は理解していた。そのテクノロジーがなぜ誕生し、どんな課題を解決してきたのかを知ることで、その課題を解決する別の選択肢が誕生したときに、未来の方向性をいち早く察知することができる。そう、彼らは原理まで理解することで、未来の方向性をいち早く察知することができた。だからこそ、成功できたのだと言えるだろう。

プログラミングを学ぶことで閉塞感を打破しよう

起業を志す上でプログラミングを学ぶことには多くのメリットがあり、それは創業期であればあるほど、大きなメリットになる。多くのスタートアップの創業期は次のようなパターンに陥りやすい。

大きなビジョン・アイデアを掲げた起業家が、気の合う友人のエンジニアと2人、3人で会社を立ち上げた場合、最初の1年くらいは、きっと楽しい思い出になるでしょう。創業の準備中は、みんなが成功するシナリオを空想しています。
順調な滑り出しとなれば、その後は様々なミートアップイベント、同じタイミングで起業した仲間との情報交換、メディアの取材、「投資家」という未知の存在との接触、サービスをローンチするときの高揚感、最初のユーザーが1万人に達したときの達成感・・・。これらの出来事が1年間に立て続けに起こり、刺激的で濃厚な日々を送っている起業家の脳内には、多くのアドレナリンのようなもので満たされています。

そんな滑り出し順調に見えた会社も、さらに一年が経ったとき、どうなっているでしょうか。
当初のアイデアをもとにしたサービスが、世の中の「時勢」「市場のニーズ」と絶妙に一致するタイミングであり、キャッシュフロー計画など入念に練られた事業計画をもとに進められていたら、成長し続けて外部からも優秀な人たちが自ら「関わりたい」とコンタクトがあるかもしれません。しかし、残念ながら、その可能性は非常に低いのが実情 です。多くの起業家・チームが、スタートダッシュを切ったあとに感じること、それは「閉塞感」です。

もしあなたがコードが書けない、あるいは読めない起業家だったとしたら、このとき仕事が無くなるのです。
コードを書けない起業家が、プログラミングを学ぶべき3つの理由ーー「非エンジニアの起業家が知っておくべきプログラミングの知識」

http://thebridge.jp/

このように、多くのスタートアップの最初の壁は閉塞感だ。これを打破するには、スピード感を持ち、サービスの改善を行う必要がある。もし、あなたがコードを理解し、コードが書けないのであれば、その分だけ改善スピードは遅くなり、キャッシュフローが回らなくなる可能性は高いだろう。
起業し、会社を潰したくないのであれば、プログラミングを学ぶことを強く勧める。