日本随一とも言える優秀な社員が集まると言われる電通。
その電通のたりうるゆえんは、広告代理店という立ち位置において大手企業のクライアントを多く保有し、数多くの企業の経営状況にタッチしている点である。
広告代理店の強みは全ての事業に関わること
広告代理店の仕事というと幅広いが、それらをひとくくりにして説明すると、”広告宣伝や販売促進を通して企業の売り上げを増やすこと”であると言えるだろう。
ただ、広告枠を売るだけではなく、それを通して企業の利益を少しでも上げるような提案が出来なくては広告代理店は生き残れない。
だからこそ、広告というジャンルを通じて、企業がどうやって物を広め、売ればいいのかということのプロフェッショナルであると言える。それは電通に優秀な人材が終結する理由とも言えるだろう。
電通部長が語るスタートアップのトレンド
そんな電通のCDC部長である中嶋文彦氏は近年のスタートアップのトレンドについて上記記事にて8つの項目を上げ、解説している。
まさに今のスタートアップの特徴を言い表していると言えるだろう。
その中からいくつか気になったものを本誌としても紹介したい。
起業とイグジット
起業に対してゴールというものを定めるイグジットという言葉ではあるが、少なくとも3年前にこのような言葉は耳にしなかった。ここ最近に出てきた言葉であることは間違いない。そもそも、創業者が会社を離れるという展開は会長職として退くパターンもあるとはいえ、多くのケースではそこから追い出されたというケースで聞くことの方が多い。
起業したからには会長になるまでは社長であり続けたいと考えるのが起業家の願いだったはずである。
それが、”イグジット戦略”という言葉まで聞かれるようになってゴールを決めてしまうのが当たり前とばかりに起業というものがなんだか簡単なものになってしまった気がする。ある意味では気軽なものになったという利点もあるだろうし、なんだか悲しく感じるのも事実である。
とはいえ、それには理由があって大きなものとしてはVC(ベンチャーキャピタル…ベンチャー企業を中心に出資を行うファンド。)の存在がある。ついこの間までは言葉を聞くこともそうなかったVCの力というのはかなり強いものになっているそれについては後日本誌で扱いたいと思う。
スタートアップのエコシステム
上記の項目と似ているが、スタートアップを取り巻く投資家や金融機関、司法機関などはすでに用意周到にビジネスをしており、スタートアップは恐ろしく上場・バイアウトをしやすくなったし、スタートアップというものによって利益を得る・だからこそ起業家を歓迎する社会もできているように感じる。
それ自体は喜ばしいものであり素晴らしく起業というものが社会で評価されている事実を感じる。ただしかしながら、gumiの例(『野村証券の責任問題で話題のIPOの主幹事の3つの役割とは?』参照)のようにそれを食い物にするVC、CFO、証券会社が存在するのも事実である。それによってマイナスを食らうのは起業家よりもむしろ一般投資家や市場であり、その点については早期の対策が求められる。
そして、後半については次の記事で紹介したい。