インド人が頭がいいのは誰でも知っている話だ。
そんなインド人が世界的企業でリーダーに就任しつつある。はたしてなぜインド人はここまで世界を席巻しているのか。
2015年目立ったインド人の躍進
ソフトバンクのニケシュ・アローラ氏にGoogleのサンダー・ピチャイ氏。2015年に目立ったのはインド人の大企業での抜擢であった。有名な起業家こそいないものの、インド人が多くのIT企業で重要なポストを与えられるのはすでによくある話になりつつある。
かねてから九九を19×19まで計算することで有名なインド人は数学の能力に非常に優れ、頭脳明晰であると言われてきた。ところが、インド国内の経済はカースト制などの影響もあって芳しくはない。通信インフラすら整っていないのがインドの実情だ。そんなインドからなぜここまで大企業のトップに食い込む人材が生まれているのか。
インド人がIT産業に進むわけ
インドについて語る際に欠かせないのが、”カースト制度”の存在である。カースト制度とはヒンドゥー教における身分制度である。このカーストの中には現在では1000以上の身分が存在し、法的にはそれが撤廃されたものの、自分のカーストに相当する職業に就くしかインド人には選択肢がない。結婚などは同等ないしは1つか2つ違うカースト間でしかできない。極端に低いカーストの女性は上位カーストの男性たちから習慣的にレイプやイジメを受けるという。
カーストが依然としてインドの悲惨な実情から抜け出せない現状であるのだが、この職業の規定においてソフトウェアエンジニアとかIT系の職業については実は規定がない。カーストが明確に存在した頃になかった職業であるからだ。
にも関わらず、数学の能力などそうした分野に長けているインド人に適性があり、なおかつ世界的に需要の高いエンジニアにインド人なるケースが多いという。高くないカーストに生まれたインド人からすればITの道へ進むことは唯一カーストを抜け出し世界で活躍できる機会なのである。
海を渡るインド人エンジニア
そんなインド人が目指す先と言えばアメリカ西海岸しかない。アメリカへ移ることは高い能力があれば容易なことだ。それだけの能力を持った人間にはビザが降りるし、永住権を取得することも不可能ではない。そして、シリコンバレーへ行けば彼らの活躍の場はいくらでもある。こうして、インド人はIT企業を目指す。
そして、その結果として生まれたのが先述のニケシュ・アローラ氏やサンダー・ピチャイ氏である(ニケシュ・アローラ氏はもともとGoogleの役員だった)。インド人がシリコンバレーのIT企業を目指すこと、そして頭脳明晰な彼らが頭角を現すことは非常に自然な話だ。
今後増えるインド人リーダー
米サザンニューハンプシャー大学の研究によると、アメリカとインド出身の経営者ではリーダーシップに関する調査でいい結果を出したのはインド人であるという。数学的、論理的思考のみならずリーダーシップという概念についてもインド人は高い期待を寄せられている。
今後もインド人経営者が世界的企業のリーダーに抜擢されるケースは多いだろう。当然のことながら日本もまた例外ではない。すでにソフトバンクのリーダーは孫正義氏からインド人のニケシュ・アローラ氏へと引き継がれようとしている。日系企業に働いていたのに気付いたら上司はインド人、というケースも珍しくなくなるだろう。