驚異のV字回復を果たしたメディアドゥが東証一部へ


電子書籍の取次業務を手掛けるメディアドゥが東証一部へ鞍替えを果たした。
V字回復を果たしたメディアドゥ。売り上げの落ちる中電子書籍の将来性を信じ続けたその経営とは。

メディアドゥが東証一部へ

電子書籍事業を手掛けるメディアドゥが東証マザーズから東証一部へと2月23日に鞍替えをすることを17日、発表した。メディアドゥは藤田恭嗣社長が名古屋で創業、その後、東京進出を果たした。出版社から小説や漫画などの書籍を電子書籍にして配信する事業を営み、2013年にマザーズに上場していた。

一時は売り上げが7分の1に落ち込むなどしていたメディアドゥであるが、その後見事なV字回復をしてマザーズ上場、ついに東証一部への市場鞍替えとなった。

電子書籍の取次業務で成長のメディアドゥ

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1999年に設立したメディアドゥは電子書籍の取次業務を主力業務としている。日本市場では2000億円、米国市場では1兆円に今年届くと予想されている電子書籍市場において1999年という比較的早いタイミングから出版社などを対象に書籍の電子化から配信、および販売などを手掛けている。IT業界においては1999年創業というのは歴史のある部類であり、電子書籍の市場はここ10年で10倍ほどに成長していることからも市場があまり存在しなかった段階から事業を展開していたことが分かる。

現在の売り上げは100億円を超え、市場規模から考えるとメディアドゥの占める割合は5%を超えることとなる。書籍の出版や権利においては出版社がまかなっていると予想されることからも、その手数料が売り上げだとするとメディアドゥのシェアは15%に迫る可能性がある。この市場においてはトップクラスの存在だと言えるだろう。

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出典 http://www.zaregoto-gakuen.com/

強いニーズを察知しV字回復

1999年に創業したメディアドゥは創設後3年で売り上げが20億円に達したが、その後2005年2月期には売り上げは3億円まで落ち込んだ。しかし、そこを底としてメディアドゥはV字回復を遂げた。今に至るまで11期連続での増収を遂げ、今ではその売り上げが100億円を超えている。

おそらく想像される事態は電子書籍自体のニーズが認知されたメディアドゥの創業期には様々なムーブメントが起こったものの、あまり電子書籍の売り上げが伸びず、出版社が敬遠し出したのであろう。ただし、電子書籍のニーズは着実に存在する。そこを強く意識し、売り上げが下がりながらも業務を粘り強く続けたメディアドゥは見事に現在東証一部へと鞍替えを果たした。

多くの事業において、先のニーズを察知したものは、ウェアラブルデバイスやバーチャルリアリティもしかり実際に市場ができるまでは時間がかかる。あのiPhoneも発売当時は散々な出来だったという。ただ、確実に今後生まれるニーズに対して真摯に取り組んだ結果ここまでの成長を果たしたのがメディアドゥなのであろう。