優秀な高卒を4年間で育てるのはアリなのか


就活市場は今年も盛況であるが、それを受けてあるエントリーが話題になっている。
はたして、大卒を採用するよりも高卒を育てた方が効率はいいのか。

新卒採用に苦戦する企業

4月から晴れて入社する2016年卒の大学生は売り手市場との噂だ。大学生の就職率は9割を大きく超える状況になっており、リーマンショックでの就職氷河期から一転、大学生は就職に困ることはなく、売り手市場でむしろ頭を悩ませるのは企業側である。
優秀な学生をやっと採用したと思ったら他の企業にとられる、学生が集まらないなどの課題を抱えている。

特に理系人材の採用においては企業は苦労をしているだろう。近年特に需要の上昇している彼らを採用するのは企業にとって極めて難易度の高いこととなっている。

『高卒を4年間かけて育てた方が良いのでは』

そんな中、『苦労して大卒を採用するよりも、優秀な高卒を4年間かけて育てた方が良いのでは。』というエントリーが話題になった。大卒を採用するために企業が四苦八苦しているならば、そもそも高卒に目を向ければいいのではという話である。

この内容に対しては、堀江貴文氏が『その通りだ』と賛同するなど、多くの声が寄せられている。大卒という枠組みに囚われずあらゆる可能性から優秀な人材を採用した方が結果としてコストは下がりパフォーマンスは上がるだろうということである。

高卒を採用することの難しさ

とはいえ、実は高卒の採用には制約がある。
面接は一回限りで何度も会うことができない、面接の際の質問内容は事前に提出しなければいけない、面接希望者を成績等で足切りしてはいけないなどの制約が存在する。

また、大卒のように就職情報サイトなどが高卒の場合においてはあまり普及していないため、大卒と同じような形で採用を行うことはできないだろう。面接が1回しかできないともなればどうやって高卒の就活生の能力を判断すればいいのだろうか。
こうした問題が結果として高卒採用者の3年以内の離職率5割という驚異的な数字につながっている。

高卒採用は増えるのか

では、今後高卒就活生の採用は増えるのだろうか。大学での4年間の勉強を企業が評価していない以上、高卒で働く中での4年間の方が企業としては評価できるはずだ。
結論から言うと高卒での採用はなかなか増えないだろう。大学全入時代と言われるようにそもそも大学進学率が上昇していることがその要因として挙げられる。企業が高卒を採用したくても勉強のできる優秀な学生は大学に進みたがる。

しかしながら、大学生のインターンが増えているように、ベンチャー企業は高校を卒業した時点から戦力としてみなしている部分も大きい。大学入学直後にベンチャー企業で働き、それなりのポストを得た段階で大学を中退というパターンは十分に増えるのではないだろうか。