ビズリーチは人材サービスを変えるのか


近年、急速にテクノロジーが進歩を遂げる中で、それが普及しづらい業界も存在する。
その中の1つが人材業界だ。その人材はどんな能力を持つのか、その仕事はどんな仕事なのかそういった部分はまだIT化が進んでおらずアナログだ。そこへITを導入しようとしたのがビズリーチである。

ビズリーチが37.3億円を資金調達

ハイクラス人材特化の会員制転職サイト「ビズリーチ」、20〜30代をターゲットにした転職サイト「キャリアトレック」、そして2015年5月リリースの求人検索エンジン「スタンバイ」の3つの転職サービスを展開するビズリーチ。

同社は3月29日、YJキャピタル、ジャパン・コインベスト投資事業有限責任組合(三井住友トラスト・インベストメントが運営)、Salesforce Ventures、電通デジタル・ホールディングス、グリー、楽天、リンクアンドモチベーション、EFU Investment Limited、East Ventures、IMJ Investment Partners Japan Fund 1号 投資事業有限責任組合の計10社から、総額37億3000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。リードインベスターはYJキャピタル。同社は今回約16億円をビズリーチに出資している。これは同社として最大額の投資案件となる。

出典 http://jp.techcrunch.com/

転職サイトで知られるビズリーチが資金調達を行ったのであるが、その金額が37.3億円。転職市場は決してそこまで大きいものではなく、その中で37.3億円というのは非常に大きな資金調達であろう。いったいなぜビズリーチはここまで大きな期待を受けているのだろうか。

ビズリーチ、新規サービスの開発も

今回の資金調達によりビズリーチは開発中の事業を進めるという。また、クラウド型の採用管理システム『HRMOS(ハーモス)』をはじめとした新規サービスの開発も視野に入れているという。既存の3事業のみならず、新規事業も考慮しての資金調達であったのだろう。クラウド型の採用システムは既存の転職のシステムを大きく進歩させるサービスになる可能性もある。

すでにビズリーチ事業は単月黒字化しており、スタンバイはサービス開始から約10カ月が経っているが、400万件以上の求人を掲載しており、サービスの開発を本格化する時期になってきたとのことである。求人検索と言えばリクルートなどがシェアを大きく握る市場であるが、そこで成果を出すことを狙っているのであろう。

人材サービスでのデータマイニング

ビズリーチ代表取締役南壮一郎氏は『今まで人材サービスは『採用したら終わり』というものがほとんどだった。人をモノのようにするつもりはないが、採用者のパフォーマンスデータを見て、PDCAを回すということもできれば』と語っている。採用するまではいいものの、その後のデータが残らず、企業は常に自社のみの経験を基に感覚で採用を行っていた。

それを一変することができるのがテクノロジーの力である。つまり、ビズリーチには求職者の元のスペックと、転職先で収めた業績という結果がある。その2つのデータを照合することによって、求職者のスペックからおおよその能力やどの程度の結果を残すのかを統計的に弾き出すことができるだろう。人工知能などの得意とする分野である。そのことによって、1社ではまかなえない膨大なデータから正確な予測を弾き出すことができるようになる。ただ、求職者と企業をつなげる存在ではもはやないだろう。ビズリーチでどこまでそうした部分に踏み込むかは謎であるが、そうした変化は必ず業界に起こりうる。