モノづくりのamazon『モノタロウ』とは


今ECで注目を浴びる企業がある。
しかし、その企業の名前を多くの人は知らない。モノづくりを支える『モノタロウ』とははたして。

amazonの1人勝ちが強まるEC業

ECと言えば一大産業だ。全世界ではamazon、中国ではアリババ、日本では楽天とECでトップに立つ企業は企業としてもかなりの規模を有する。人間が物を買うことをやめることはないし、その中で電子商取引の割合は当然のごとく増えていくだろう。ECが今後さらに大きくなることは間違いない。

とはいえ、その中で1つの懸念がある。それがamazonに全てが飲み込まれるのではないかということである。旅行代理店リフォーム、さらには自動車も販売するなど、amazonはあらゆるものを販売しようとしている。その中で人間は全てのものをamazonから買うのかもしれない、もはやamazonには勝てないかもしれないということはおおよそ大げさなことでもないだろう。

しかし、日本にはamazonをもろともしない企業が存在する。

モノづくりのamazon『モノタロウ』

その企業の名は『モノタロウ』。
おそらく聞いたことのある人は多くはないはずだ。何を隠そうB2BのECである。企業に向けて工具の販売を行っているのがモノタロウだ。『モノづくりのamazon』と呼ばれるほどで工具の取り扱い品数はなんと900万点を超える。2014年度の売上高は440億円、2015年の売上高は550億円とこれまた右肩成長かつ非常に大きな売り上げを誇っている。

15時までの発注で即日発送、翌日までに届くというのはB2Bの中では非常に優れたスピードだ。B2Bは本来、そういった納品スピードなどはB2CのECに比べ劣り、しかもそれが当たり前のように業界で慣習化していたが、それを覆したのがモノタロウと言えるだろう。
しかし、こうしたB2BのECができるまでには多くの苦労があったという。

モノタロウの裏にある苦労

株式会社MonotaROは兵庫県尼崎市に本社を構えている。多くのインターネット企業が渋谷など東京に拠点を置く中、尼崎にあるのには理由があるという。それが、多くの工具を取り扱う商社が大阪にあることに起因している。ECというものが抱える1つの問題が取り扱いの品数を増やす必要がある部分だ。
従来、小売などは仲卸業者を挟んで流通が行われている。その中で業界の慣習は非常に多く、値段もなあなあで決めていたり、企業間のつながりが強いところも多い。特に工具ともあればそうした風潮は強い。そのことで、モノタロウは仕入れに非常に苦労している。全体として見ればプラスは大きいが、そのことによって仕事がなくなる仲卸業者、値段が白日の下にさらされることによって従来のような取引ができなくなる企業もあるだろう。

こうした課題を克服した上でモノタロウの今の地位がある。B2BのECは今後も注目が集まるがなかなか難しい展開は続きそうである。