世界で活躍する”和僑”とは


今、和僑という言葉が注目を集めている。
はたしてその意味とはどんなものなのだろうか。

世界にその名を轟かせる華僑

華僑が世界で活躍するエリートであることは言うまでもない。華僑の定義自体は、『中国大陸・台湾・香港・マカオ以外の国家。地域に移住しながらも中国籍を持つ漢民族』のことであると厳に定められているが、日本では一般的に中華系にルーツを持ち、それ以外の地域で活躍するものを指す場合が多い。

華僑が世界で活躍するゆえんはマイノリティながら、華僑間形成されるコミュニティーと、これをもとにした同業者の集団ができあがり、現地の経済・政治で大きな力を発揮する部分にある。先行してその土地で商売を始めた経営者が、同じルーツを持つ人を雇い、やがては独立してそれが連鎖していくことによる。異国でも中華系の結束が強いことからこうした形が出来上がっている。また、そこから政治に関する影響力を持つケースも非常に多く、政治面での例としてタイのタクシン元首相にその妹のインラック元首相、フィリピンのコラソン・アキノ元大統領、ミャンマーのネ・ウィン元首相、テイン・セイン元大統領は華僑の血を引いた者だ。

華僑の他、印僑も

こうした華僑の文化は当然中華系特有のものではない。同じ境遇のインド系に対しては印僑という言葉が使われることもある。そして、今日本では、和僑という言葉ができつつある。
在住の日本人が4万人を超えたバンコクでは、2013年に『和僑世界大会』が開かれた。2014年に香港で2015年にはホーチミンで第7回が開かれた。この和僑世界大会は香港で開催されて以来、年に1回各国で開催されているという。この場合の和僑は海外で起業する日本人のことを指している。

和僑世界大会を主催する和僑会は香港で会社経営をしていた筒井修氏が、勉強会を始めたことに起源をもつ。それ以来海外で活躍する起業家が徐々に集まり、アジアを中心に起業家のネットワークができているようだ。なんと全て起業家のボランティアで運営されており、自主的な活動を和僑会の精神としているのだという。

和僑世界大会で広がるネットワーク

和僑世界大会では、ただ集まるだけのイベントではない。商談スペースを兼ねた物産展では、日本全国の中小企業が軒を連ねており、それらは日本から海外への展開もしくは海外から日本での展開をねらっている。イベントの中では、ビジネスへの意気込みが熱狂となって感じられる。

このネットワークから多くの和僑がまた生まれるだろう。そして、大成功を収めたスターが現れたときにまた状況は一変するという。
その1人の影響で数々の和僑が生まれ、そこから成功者が出てくる。そうした連鎖が起こっていくはずだ。和僑が華僑を超える日はそう遠くないかもしれない。