ブロックチェーン実用への課題とは


まだまだ過大山積みのブロックチェーン。
その実用化に向けた最大の課題とははたして。

ブロックチェーン最大の課題

ビットコインが登場してから金融業界ではブロックチェーンの重要性が多く語られるようになってきた。今まで当たり前のように存在した管理者を置く仕組みは、ブロックチェーンの非中央集権の在り方によってディスラプトされる可能性すら存在している。FinTechという言葉が世を騒がせる中でその中心にある銀行業のコアにあたる技術であるブロックチェーン。はたしてそれが実用されるのはいつになるだろうか。

ブロックチェーンの最大の課題はセキュリティだ。2016年6月18日に起きた事業投資ファンド『The DAO』の受けたサイバー攻撃は関係者を震撼させるものだっただろう。ブロックチェーンプラットフォームであるEthereum上に構築されたThe DAOは、Ethereum上のプログラムコードに基づく自律分散的な投資ファンドであるのだが、その脆弱性を攻撃されることとなった。これを機に、ブロックチェーンのセキュリティは疑問を向けられることになった。では、具体的にどのような課題がブロックチェーンには存在するのだろうか。

ブロックチェーンのとはどんな技術なのか

そもそも、ブロックチェーンとはいかなる技術なのだろうか。
ブロックチェーンはビットコインが発明された際に仮想通貨の送金機能とその安全性を担保するために採用された技術である。簡単に言うと、中央管理者がいなくともユーザーそれぞれの持つデータによって安全性が担保されている。

では、なぜそのようなことが可能になるのか。まず、各ユーザーはウォレットを持つ。ウォレットには公開鍵(ID)と秘密鍵(パスワード)が存在し、送金がしたかったら公開鍵に対していくら送金するのかを指定すればいい(厳密には手数料をいくら払うかを選ぶ)。秘密鍵は誰にも教えてはならないのであるが、その秘密鍵をブロックチェーンに通すと公開鍵が現れる。これが一致することでユーザーはそのウォレットの持ち主であることを証明する。
それならば、公開鍵から秘密鍵を割り出せるのではということを考えるかもしれないがそこがブロックチェーンのみそでこれを割り出すのにはコンピュータを用いて何年という時間がかかる。そのため(現実的に)不可能なのである。

そして、中央管理者がいなければ送金を行ったデータはどこに管理するのだろうか。それは、ユーザー1人1人のPCの中にある。P2Pという仕組みが利用されており、サーバーなどを介すわけではなく、各ユーザーが通信し合う仕組みになっている。それでは、偽のデータが紛れた際にどう対処するのかということになるが、その場合ユーザーがどれだけの通貨を移動させたかを証明する台帳をもって誰がどれだけの資金を持っているかを記録するが、この台帳は長いものが正しいものと扱うようになっている。そのため、多くのユーザーによって管理された正しい台帳は常に複製され、10分に1回更新されるため最も長い台帳は正しいということが言える。

ブロックチェーンはまだ実用レベルにはない

そうした技術がブロックチェーンの肝なわけであるが、暗号技術を利用したブロックチェーンは、安全性の定義も定まっておらず、安全性がどれだけあるかというのが明確に測られていないのである。その上に上述のような事件があるとなっては慎重になってしかるべきだろう。システム上の安全が証明されなければ実用は遠い。

また、スケーラビリティも問題の1つだ。現在のビットコインでは10分間に1Mバイトのデータが追記される仕組みになっており、これ以上の処理は不可能となっているため、これ以上の処理はどうなってもできない。それをいかにして増やすかどうかが大事になる。これはその他のブロックチェーンにも当てはまる問題だ。

非常に期待できる技術ではあるものの、ブロックチェーンはまだ実用レベルにはない。これをいかにしてFinTechとして通用する技術にするかが課題だろう。